2022カタールW杯試合分析 大会8日目
グループE 日本vsコスタリカ
前節対照的な試合結果がでた国同士の試合となった。
日本は優勝候補のドイツにジャイアントキリングを、
コスタリカは優勝候補のスペインに0-7で大敗。
なのでコスタリカは何が何でも勝ち点を獲得したいところ。
でしたが、、、
5-4-1のブロックで日本にボールを持たせてミスを誘ってカウンター狙い。
日本は前半なかなかブロックのライン間にボールを供給することが出来ず、攻めあぐねていた。
サイドにボールは運べるものの、そこからは準備された上での1vs1になるので、WGの質が問われる試合となった。
日本のBUもテンポがあがらず、相手のスライドに対応されていた。
左サイドの相馬はサイドからの個人技で”縦”にしかけるのに対し、
右サイドの堂安は前節の活躍からのスタメン抜擢であろうが、足元でボールを受けて”中”に仕掛けていく違いがあった。
山根が効果的な”斜め”の楔を2本程前半に入れていた。
その際は1タッチや3人目を使って相手をはがすことができていたので、やはりブロックを組む相手に対してはボールを動かす”方向”が大切になると痛感。
ただ筆者は前節大敗を喫しているコスタリカが、勝ちに行く姿勢を見せていないところに少し不気味さすら覚えていた。
後半は日本は3-4-3にするも、ボールは外循環が多く、そこからの打開が見られなかった。
日本中が三苫の投入を期待していたものの、彼にとって出場時間は短く、右サイドの伊藤純也とともに交代のタイミングの意図がみえてこなかった。
自分が監督であれば、山根は交代させない。
前半に唯一といっていいほど効果的な崩しのキーマンになっていたからだ。
また2VOもBUの際にボール受ける位置が低かったので、田中碧、柴崎の2枚替えで攻撃のテンポを変えに行く。
アタッカーの投入で局面を変えるというよりは、試合トータルの流れを変える交代。
FWも少ないスペースでも背後へ繰り返し動き、ライン間を創り出す前田の投入、など。
失点シーンは吉田麻也の唯一のミス。
集中がきれそうになるのは様々な理由で分かるが、代表のキャプテンがW杯でしてはいけないし、そのレベルではダメ。
その一発に沈んだ日本は決勝T進出を確定させることができずに、優勝候補のスペイン戦に一縷の望みをつなぐ。
振り返りとしては、交代枠5枚を上手く使えたのでは?ということ。
イングランドは選手の投入によってまるで別物のチームに変化する。
そういったことを日本もしていきたい。
MVPは山根。理由は上述。
グループF ベルギーvsモロッコ
この試合あたりから筆者の体調がおかしくなってきた。
ベルギーのBUは4-2-3-1からの右肩上がりの可変で3-4-2-1へ。
デブライネを中央でプレーさせるためのものか?
使いたい選手の組み合わせでチームの姿を変えるという好材料だ。
モロッコは4-3-3のBUで守備時には4-1-4-1のアタックラインをハーフラインに設定。
ゴールキック時にはCBをペナ内に配置し、3FWは相手4バックをピン留め。
相手を間延びさせることによって、中盤のスペースを意図的に作り出す。
互いの「ボールを保持しながら局面を打開していきたい」という狙いがよく見えた試合だった。
ベルギーは中盤のコンビネーションからサイドへ展開し、CFに合わせる。
モロッコはWGにいかに良い状態で1vs1をさせるか。アイソレーション。CFは長身エンネシリ。最悪クロスでもOKという感じ。
MVPはモロッコのアムラバト。4バックBUではアンカーとして、相手が4-2-3-1でアンカーを捕まえにきた場合は、2CB間に落ちて3枚でBUをするなど、柔軟に変化をさせた。
解説は、モロッコのジャイアントキリングだ!といっていたが本当にそうか?モロッコには十分力があるようにも見えたのだが、、、
グループF クロアチアvsカナダ
試合開始早々にカナダが得点し、予想とは裏腹な試合展開になるかと思ったが、クロアチアの隙のないフットボールで試合は決着した。
カナダはブキャナンのボールを失う回数が多く、またボールロスト後に不要なイエローカードをもらったり、失点に繋がったりと全体的な未熟さがみてとれた。
対照的にクロアチアはベテランを含めてBUやカウンターどれをとっても隙がなく、PA付近でのゴールの貪欲さや推進力はシンプルなプレーであるが、脅威になっていた。
クロアチアはプレーモデルはシンプルながらも、相手はわかっていても止められないというような感じで、個々の質の高さが伺えた。
2チームは平均年齢の差があるようにみられたが、その差が試合内容にもでたのかな、と思う。
カナダは36年ぶりの出場でまだ若いチームであり、次回の共同開催にむけての礎にした。
MVPは右SBのユラノビッチ。ボールを運ぶことが出来、相手をはがしてアドバンテージをつくることができていた。
グループE スペインvsドイツ
恐らく今W杯の予選組み合わせが発表されてから、世界中が待ちに待った一戦だろう。
ともにW杯優勝国であり、現在までのフットボール界を牽引し、なおもトップを走り続ける両国。
ドイツは立ち上がりからギュンドアンがトップ下の位置に入り、ブスケッツをマンマーク。組み立てを許さない構え。
なのでスペインは1FWに対して、2CBでボールを保持することができるので、出口を探しながらボールを動かす。
スペインのIHにはドイツのVOがマークをつく形になるが、中盤がマンツーマンのような構成になるので、IHがボールをもらいに行くとマークがついてくる。
つまりは偽9番で配置されたアセンシオへのパスコースを開けることができる。それを意図的につくり出しているスペインは流石というところか。
またドイツはGKを含めたBUを試みるもスペインはハイプレスでノイアーに利き足とは逆の左足でプレーさせるように追い込んでいる。
そのロングボールを回収し、またボール保持にうつるというスペイン。
ドイツは選手同士の距離感が遠いためか、ノイアーやCBからのロングボールを引き出されているような感じである。
拮抗した中で、得点を奪うドイツは流石であるが、総じてスペインは勝ち切ることができなかった印象。勝負弱い部分はこの後の3戦目や決勝Tにつながるのか。
MVPはダニオルモ。東京五輪の際から筆者は注目しているが、今までの「スペイン」という印象のフットボールに、縦への推進力、背後へのアクションを生み出したアタッカー。
ダニオルモがいるいないで、ドイツも守備のやり方を変えていたと思うと、この試合のMVPにふさわしいと感じる。