2022カタールW杯試合分析 大会6日目

この日からグループリーグ2試合目。
1試合目の内容や結果を踏まえた上での戦いになる。

グループB ウェールズvsイラン


ウェールズ

KO前の予想フォーメーション


イラン

KO前の予想フォーメーション


ウェールズは攻守での可変式。守備は3-4-3の前プレ。BU時は3-2-5のような形で相手4DFをピン留め。

イランは後ろがピン留めされているものの、何とか前線からプレスをかけていく。しかし、やはりDF陣は相手のマークが気になり、押し上げることができない。

結果イランは間延びを起こし、1stDFがかわされた後の中盤のスペースが広大になってしまった。

ウェールズとしての狙いはこの中盤のスペースをどう攻略していくかというところだったが、特にその後のPA侵入までの意図は感じられず、、、

むしろイランの守備に修正が加わり、4-4-2のミドルブロックで相手を引き込んでカウンターを発動するという技が嵌っていた。


ただアタッキングサードまでのミスや最後の精度が伴わず、ボールを失う回数が多く、イランはせっかく奪ってカウンターでゴール前に迫るも、すぐに失って逆にウェールズのカウンターをくらうなど、試合全体を通して目まぐるしい展開になっていた。(お互いにレベルが高くて目まぐるしい感じではない。)

イランにはポジティブトランジションでの約束事はアズムンの背後を早くつくことのように思えたが、0-0だったので、どこかでゲームを落ち着かせるためのボール保持を行ってもよかったのかも。

ただ、その背後を狙い続けたイランの効果が、後半ATのウェールズGKのDOGSOを誘い、退場。

今大会はATが長く0-0にはならないと予想はしたが、AT中に2点を奪ったイランが勝ち点3を獲得した。

ウェールズは勝ち点4を失ったゲームとなり、3試合目のイングランド戦に希望を残すのみとなる。


試合MVPはアズムン。相手DF裏の背後へ何度もアクションをとり、守備でも1stDFになり続け、攻守ともにイランには欠かせない選手であった。

グループA  カタールvsセネガル


大会初勝利を目指すカタール


1試合目に丁寧な攻撃の組み立てを見せたセネガル

5-3-2のミドルブロックで待ち構えるカタールとビルドアップで打開を図るセネガルという構図。

カタール5-3-2の中盤3人のIHがセネガルSBにプレスに行くので、相当な運動量が必要とされる中、この体力がどこまでもつのかが見もの。また、ゲームのポイントになると予想。

カタールとしてはセネガルのボールをそこに誘導している部分もあり、セネガルはSBからの前進を試みる。

セネガルは相手IHが出てきて空いたスペースにCFがターゲットとしてボールを受けるシーンがあった。
しかし、その後のサポートが確立されておらず、そこで失う(カタールからしたら狙いどころで奪えている)ことが多かった。

攻略するには、SBが三人目のサポートが確保できる距離・タイミングをつくり(ドリブルなどで)楔を入れると効果的なのかな、とも思ったり。

ただ、その中で得点を入れることができたセネガルは初めより余裕をもってボールを保持することができていた。

後半になるとカタールのボール保持が上がったが、セネガルは得点差もあり、無理に奪いに行くのではなくボールを持たせているような印象もあった。
そこからカウンターで2点目を奪ったセネガルは攻守ともに試合を支配していた。相手の変化にも柔軟に対応しており、アフリカ王者としての貫禄も見せつけていた。

カタールはW杯初得点となるゴールは、3-5-2のメリットであるWBで相手SHを押し下げ、そのスペースを使ったサイドからのクロスでチャンスを作ったものだった。

狙い通りに得点をとることがこの大舞台で発揮することができたが、試合全体の入り方や変化への対応などは、初出場国という感は拭いきれなかった。

MVPはクリバリ。相手のカウンターなどをシャットアウトし、BUでも起点になり続けた。

グループA オランダvsエクアドル


2FWの守備の立ち位置が特徴的なオランダ


筆者注目のエクアドル

オランダの守備はFWの立ち位置から決まる。
2FWは中央を閉めてサイドに誘導するのが定石のSOCCERにおいて、世界のFOOTBALLは進化していることを知らされる。

オランダ2FWは相手CBの外へのパスコース(SB側)を切り、中央へのパスを誘導する。その縦パスを2VO、対人能力に長けたCBで回収するというものだ。
中盤の枚数と形を相手に合わせることで、ボールの出しどころを失うCBは必然的に前方へのパスルートを探る。
前線を同数にしていることもあり、オランダの守備ラインは数的同数であるため、一つのミスが命取りになるのだが、数的同数の場合アドバンテージになるのは”質”である。

つまり対峙した選手の能力が”上”の方が勝つ。
世界最高のCBを言われている選手を擁するオランダには至極当然の守備戦術なのであろう。

ただそこを上回り、利用するのが筆者一押しのエクアドルのBU。
相手FWが切っているSBに対して、オランダはWBをあてているが、その選手を引き出し、CBからの縦パスをより効果的にしていた。

SBの位置をCBと同じ高さにすることで、WBを釣りだし、空いたスペース、それもCBがついていくのか迷う場所(オランダVOの脇)にボールを収めることのできるFWを入らせるというもの。

物凄く再現性があり、1試合目のオランダの試合の対策だということが見て取れた。

中堅国といわれる国は自分たちのスタイルをもつことよりも、相手に併せて柔軟に姿を変え続けるカメレオンのような戦術をとることで、世界の強国と渡り合える。

試合結果も1-1の引き分けと文字通り渡り合ったエクアドルは見事であった。

ただMVPはガクポ、フレンキーのオランダ2VO。シンプルに上手い(笑)ボールの出口になり続け、ライン間ではアクセントになりながら、ゴール前に迫る姿は見ているものを虜にした。


グループB イングランドvsアメリカ



FOOTBALLの国


SOCCERの国

FOOTBALL vs SOCCER

このグループでは一番見応えのある試合かな、と思う。

試合はボール保持のイングランドに対してカウンターを狙うアメリカという構図。ただアメリカもボールを奪ってからは保持に移行という意志もみられた。

英はビルドアップの変形が1試合目の際にはSBの位置で大きく変わっていたが、今回もVOのピックアップがベリンガムorライスで、ベースは4-3-3のような感じ。ただ、狙いはワイドに立ち位置を取る選手からのポケットへのパスでの侵入。

特にSBが幅をとり、WGの選手が内側からポケットをとりに行くとき、必ず相手SBは食い付かざるを得ない。その意図的に開けたスペースのSB-CB間に2列目からのランニングをしてマイナスのグラウンダーのクロスという形は効果的だった。

米はカウンターからゴール前に迫り、CKなどからチャンスをつくる。
CBの③はのファー詰めは約束で⑩も高いボールをファーに供給していた。

互いに多くのチャンスを作りだせたわけではないが、戦術も含めた細部のレベルが高く見応えのある攻防が展開されたゲームであった。

MVPはアメリカからデストを選出。BUの組み立てや攻撃参加してのクロスなどボールに多くかかわり、まさにアメリカの影の功労者であった。






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