読書記:「HELLO,DESIGN 日本人とデザイン」(石川俊祐者、幻冬舎)(2019.5日経産業新聞寄稿)
最近、経営にデザイン思考を導入する取り組みが官民で進められている。ここで言う「デザイン」はデザインのテクニックのことではなく、デザインにおけるものの見方を意味する。
著者はデザイン思考でビジネススクールのケースにもなっている米IDEOでの経験をもとに「日本人にとってのデザイン思考」を論じている。
主観的な「自分がほしい!」からイノベーションが生み出されるのは、本書が紹介しているアマゾンの例からも明らかであるが、「人間中心」「ビジネスモデル」「テクノロジー」の3つが重なるところで、助け合う多才な人の集まりがイノベーションを起こすのがデザイン思考。
日本人はデザイン思考のポテンシャルは有しているという。質をとことん追求してお客様に尽くす「人間中心」型サービス、伊勢神宮の式年遷宮のような循環型経済の「ビジネスモデル」も具現化した。にもかかわらず、それをパッケージ化して世界展開するには至れなかった。
しかしながら、この日本人のポテンシャルとテクノロジーを掛け合わせることによって世界標準を生み出すことは可能、という考えに共感した。
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