自律分散型安全保障
国家主権に代わる新しい統治の仕組みとして、自律分散型組織(DAO)がある。
国家主権の主機能の一つである、徴税による財政出動は、GAFA/FANGにより、機能停止に向かっている(国家主権としてはBEPSによる、現在の枠組みを変えない手法を狙っているが)。
安全保障分野における自律分散型対応について考えてみたい。
現代の軍事行動は高度にIT化、デジタル化が進んでいる。
そういった環境のもと、自律分散組織としてのIT軍、アノニマスによるホワイトハッカー的攻撃などが始まっている。
これらは軍事行動が「得をしない」ことが仕組みとして成立することが必要である。
イーロンマスクがスターリンクをウクライナ紛争対策として提供したが、もともとスターリンクは国家主権を脅かすもので、これは自律分散型インフラとしてのインターネットを国家主権のもとにコントロールしようとする施策に対するアンチテーゼとも言える。
衛星を使ったテクノロジーであるが、これは気球(成層圏レベル)を使った国家主権の無効化テクノロジーも有効と言える。
自律分散型モデルは、極めて民主的である一方、集団知が暴走した場合(衆愚)、それを抑えることは中央集権よりも困難な課題であるが、自律社会による現在の中央集権型国家主権(企業主権も類似)の課題を解決するための発展過程として乗り越えなければならないのかもしれない。
安全保障のためには物理的な制裁手段についてはどんなことがあるのか。
一つは、現在すでに実行に移っているホワイトハッカー的攻撃がある。
物理的にはドローン、それも軍事的ドローンまでは必要なく、トイドローンであったとしてもその和宮が数十万、数百万以上集まるとそれはあたかも「飛蝗」(大量のイナゴの集団飛行)のような破壊力を持つことになり、なおかつ中央集権型軍団とは異なり、個人のアセットとしてのトイドローンが軍事兵器を無効化することも可能になる。例えば、戦車であろうがミサイルであろうが的確にコントロールされて(配置場所等のコントロール)大量なトイドローンで封鎖されてしまう(例えば砲身が閉されてしまう)。
一つ一つは小さなものでも大量に集まることで大きな力を持つことになる。自律分散型モデルの社会的影響はここにあるわけであるが(現在でもSNSや暗号資産がこのモデル)、この機能は安全保障にも使えるということである。量から質への転化(弁証法)の一形態とも言える。
DDOS程度の単純な攻撃であっても大量になると大変な攻撃力となり、中央集権型の大規模兵器の無効化が可能になる。例えば、10億人が参加するDDOS攻撃など、とても恐ろしい(直接人命は奪わないが)。
その他、自律分散型金融は、国家主権を脅かす一方、国家という存在に対する経済制裁が成立する(例えば、軍人に多額の金銭を支給することで、軍隊を成立させない等)。
こうなると治安維持機能(これも中央集権型から自律分散型に移行していくが)があれば、軍隊はいらない、ということになる。
これらは社会発展のプロセスの中で具現化していくものと考えている。