英検8級を受けた話
先日、中学時代のALTの先生に会った。
中学時代から英語に興味があって、休み時間や放課後に喋ったりした。
親密な関係を築いていたわけではないし、
私よりも海外に興味がある奴(どの学校にも3~4人くらいいる、1Dとか好きで海外かぶれ女子みたいな)の方が仲良くしていたんじゃないかな、というのはあるけど
まぁ、4年に一回会うくらいで年々ALTにも興味が薄れていっているが、
久しぶりに会ってみるか〜と思い、スターバックスの偽物みたいな店で待ち合わせた。
どんな話の流れだったか正確に思い出せないが、
「英検受けたことある?」→「はい、2級だけ持ってます。」
「6級受けたことあるか?」→「いいえ、2級だけです。」
みたいな感じだった気がする。
ここから、そもそも6級なんて表向きには存在しないことを明かされた上、
実は「そういうプロジェクト」?が進んでいて、面白いから受けてみなよと勧められた。
余談だが中学時代、英会話の授業中に
ある生徒(真面目だけどそんな英語できない奴)が、
「なんで日本に来たんですか?」と質問したことがあった。
すると「アメリカの実家で大麻栽培してたことがあって、お縄になったことがある。なんやかんやですぐ出れたんだけどね。」
「あんまり知られてないけど、アメリカとかイギリスには暴力や殺人以外の犯罪で捕まった人間の更生プログラムの一部として、日本で英語教えるのがあるんだよ。」
「ほとんどのALTは軽く犯罪してるよ、こっち来たらほぼチャラやからな、HAHAHA」
みたいな事を言ってたけど、俺以外は誰も聞き取れてなかったっぽい。
当時そんな風には見えなかったけど、
やたらラップとか詳しいし、裏カルチャー的なのも垣間見えた気がする。
まぁこんな人が言ってるし、
6級が存在するのもまぁまぁリアルな話なんやろなと思ったし、
なんか面白そうだと思った。
それで受験方法を聞くと、今願書持ってるからとその場で書かされた。
それで会合は終わった。
ALTには存在と受け方くらいしか聞いてないので詳細は書けないが、
聞けた事を簡単にまとめると
級数:6~8級の3つ。
受検料:一律 12000円。
受験方法:
本来、書店等で受検料を払って受付をするのだが、
願書だけもらって名前と住所のみを書く。
すると後日、英語検定協会から裏英検の願書が届き、
コンビニ等で受検料を払いこちらから、協会宛に必要書類を送付する。
受付完了のハガキが来たら、記載されている会場で受験する。
会場は大阪と東京の2会場のみ。
名前も聞いた事ないような大学の使われてない理科室に集められた。
大阪での受験者数は30人ほど、層は20代~30代の男性。どっぷりM1層。
これは完全に偏見だが、坂口杏里のトークライブに行ってて、カルチャーばっかり摂取して独特の視点でtweetしてる、フォロワー2万程度のツイッタラーの何故かいい匂いするヒゲお洒落オッサンみたいなのがちらほら見えた。
ここで英語検定の難易度目安を確認したい。
2級は高校卒業レベル、1級は大学上級レベル、
表英検の最低級数-5級は中学1年生レベル。
となると、6級は小学生レベルと予想できる。
しかし、6級だというのに緊張からか手汗をかいていた。
ペンを持つのにちょうど嫌な位の汗の量。
実を言うと脇汗もかいていた。
これに受からないと死ぬといった類の緊張より、
未知の生物に出会う時のワクワクとちょっぴりの恐怖。
ドキドキしていた。
試験が始まった。
まずは問題だ、これが気になっていたんだと目を通すと驚いた。
ほとんどの問題が記述式。
全30問ほどあって10問のみが4択だった。
その問題というのが、
「英語の挨拶をできるだけカタカナで書きなさい」
とか
「ごはんはライス?orディナー?」
英検だというのに、英字が1文字も出てこなかった。
そんな問題ばっかりだったが
簡単になるとはこういう事なのかと面白かった。
問題のレベルもレベルなので、
結果的にはまぁまぁ早く終わったのだが、解き進めていくにつれて
最初に感じていたドキドキ度が高まっていくのだ。未知のものに遭遇する楽しさ。
6級を解いている最中から、既に8級への存在に引っ張られていた。
どんな問題が出るのか、これ以上に簡単な問題とはどんなものなのか。
これ以上に余白がないと思い込んでいた物に、新たな角度から「しろ」を提示される。6級の問題に驚いているのに「余白はまだ2級分残っているぞ」とだけ予告されている。興奮が収まらない。8級がどんなものか気が気でない。
試験が終わってもその熱は冷めない。頭の回転も速くなっている気さえした。
なんて魅力的な試験なんだ。次はどんな問題を見せてくれるのかとニヤニヤしながら会場を後にするが、その時の自分のスケベ顔は最高のオカズを手に入れた世のどの男性たちよりも、はしたない顔をしていたに違いない。
受験後、英語検定協会から封筒が届いた。
中にはIDとパスワードか書かれた紙が入っていた。
ネットで合格証明書を見るタイプのやつだった。
まぁ表向きにやっているものではないので、そうなるよなと。
よく見ると、封筒の中にもう一枚紙が入っていて、
次の級を受験しますか?と受験を促す案内紙だった。
誰もいないのに
はっきりと「もちろん」と一人でに言ってしまったので、まだ脳が麻痺してるなとか思った。
1年1回しか開催されないので、来年まで待ち遠しいなと思いながら、
何かするでもなく1年が過ぎた。
まぁ英語でこっちから向かうことなんてYouTubeにて金曜日くらいに違法アップロードされる「ワンピースの最新話」を英語で読む事くらいだ。
前日なんかうわの空で、小中学生ぶりに遠足前夜の気分を味わった。
1年前に受験した時から薄々気がついてはいたが、この夜に、
英語検定協会のこれ程にまで受験者を楽しませる、エンターテイナー力というか、
作り手の素晴らしさ?藤井健太郎すげーみたいな、協会側の凄みが確信になった。
完全に協会に酔っていた。1年間こんなにワクワクした年はない。
そして8級受験日、大阪に向かうバスで2回ゲロを吐いた。
1回目は「やば、風邪ひいた?病気かな」と思ったが、
2回目で「ちゃんと病気や」と思った。
英検に精神を冒されている。
会場に到着して、指定された席に着く。
なるほど、前回より受験者の年齢層がワカメになってる。(ワカメ-)
そして同じ部屋で違う級の受験も行われていることに気がつく。
最初の時には緊張して気が回らなかったが、2回目ともなると余裕が出るというものだ。
同世代の奴らはまだ知らないんだろうなぁ、この楽しみをと優越感を味わう。
試験が始まる。
お馴染みの形式かと思いきや、全問記述。
「友人が昼ごはんを食べていたら、それはBreakfastか?」とか
「Aの成り立ちを答えよ」とか
意味のわからない答えようのない問題ばかりが並んでいた。
しかも英語?日本語?どっちで答え書くの?とかも考えた。
こういうテイストの問題ばかり並んでいた。
全くわからないし、そもそもこれが英語能力を測るテストですらない、
今更何を言っているのか、6級の時点でそうだっただろう。7級を受けていないのが仇になったかぁ、いやなってないか?すみません。などと考えているうちに、試験は終了した。
頭も心もボロボロだった。
こんなに頭使ったことないし、まぁまぁ自分は物知りだという自負もあった。
惨敗。それに、全て英語検定協会の掌の上だという事実。
カイジのように金持ちが底辺を見て楽しんでいる様子。
悔しい悔しい悔しい。
色々な感情を持ちながら、会場を出ようとすると
「すみませーん」と聞こえた。
声の矢印が完全に私だと思ったので振り返ると、
大学院生みたいな男がこちらに向かってきた。
「受験者さんですよね」→「そうです」と返すと、
まぁこんなところでもなんですのでと、スターバックスのパチモンみたいな店に連れられた。
色々話していると、この人も元受験者であり、検定協会でバイトしているらしいことを知る。
この人から裏英検について聞いたことを簡単にまとめる。
・この検定は協会ではなく委託された会社が問題を作成している。
・元々、ゲーム性というか新たなエンタメみたいな目的で作られている。
・どこから出ているかわからないが、このバイトかなり給料がいい。
・少ない受験者数ではあるが、年々受験者増加の傾向にあり、東京では100人ほど受験者数がいたそう。
・この委託会社は私が体験したような体系のエンターテイメントの先駆けとなる会社らしく、これからに向けて人員を確保したいらしい。
そういうことがわかった。
そこで彼は私にこの会社で働いてみないかと持ちかけてきた。
最初はバイトみたいな感じで、裏英検を人に紹介したり、こうやって受験者の声をかけたりしながら、社員の人と新しい企画や問題考えるらしい。
僕も作り手に憧れがあったし、完全に心を掌握されていのでYesと。
それではまず、協会登録料として2万円を払って欲しいと言われた。
公益財団なので登録しないと、給料の振込ができないと。
1回目の給料の支払いで2万円は返ってくるよと。
こういったお金は渋らずに出すタイプなので、すぐに払って登録した。
しかしいつまでたっても、仕事の連絡は来ないし、返金もされない。
あれから一度もバイトしていない。
たぶん2万円とられただけだった。
どこから騙されていたのか境界線が分かりにくすぎるが、
おそらく声をかけてきた院生が悪いやつだったんだと思う。
しかしながら、最近FacebookでALTの先生を見つけたので、
投稿を見ているがキラキラな生活をしている。
英米人は羨ましいかぎりだ。
にゃーん