局所をとことん考える!変形性膝関節症に対する評価とアプローチ
皆さん、こんにちは!
LOCO LAB.の塚田です。
3月の第1週に変形性膝関節症の進行予防に向けた運動療法というタイトルで膝OAに対するアプローチが石橋さんから投稿されました。
そこでは膝関節にかかるストレスを歩行の視点から考え、多関節に対するアプローチが主でした。
そこで今回ボクの方では力学的なストレスにより膝関節のどの組織が影響を受けているのか、また膝関節自体にどのようにアプローチすれば良いのかという局所に絞った話をしたいと思います!
●変形性膝関節症の病態
変形性膝関節症(膝OA)はX線画像での構造的変化に基づいて診断される疾患名で慢性対候性疾患です。X線画像での診断は荷重位で前方正面からの所見により分類されているKellgren-Lawrence Grading Scale(K-L分類)が用いられます。
日本で約3000人を対象としたコホート研究であるROAD studyによると50歳以上でK-L分類 グレード2以上の患者は2400万人で、そのうち痛みを有する患者は820万人と約1/3程度です。すなわち変形が生じて軟骨がすり減ったから痛いかというと、そうではないということになります。
では何が痛みを生じているのでしょうか?
痛みは痛覚神経や痛覚の受容体である自由神経終末が存在するところで生じます。
膝関節でそれらがあるところは以下の組織です。
このように膝OAでは様々な組織が疼痛を生じさせる可能性がある為、その疼痛を引き起こしている組織をある程度同定し、そこにどのようなストレスが生じているのかを考え治療しなければなりません。
●膝関節に対する疼痛評価
では、膝関節に対してどのように疼痛評価すれば良いでしょうか?
疼痛で見るポイントは
①いつ痛いか
②どこが痛いか
③どうすると痛いか
です!これを順を追って説明します。
①いつ痛いか
関節における疼痛で重要なことは炎症性か、非炎症性かです。
炎症性の疼痛では関節内圧が上昇し、疼痛が生じていることや筋活動が抑制されており、関節の保護作用が高まった状態です。これに対して負荷をかけてしまうとより炎症症状が強くなる危険性があります。
ではそれを知るためにはどうしたら良いか。ポイントはいつ痛いかです。
このようにいつ、どのくらいの時間痛いかを把握することにより病期を適切に判断し、治療介入することが可能になります。
②どこが痛いか
次のポイントはどこが痛いかです。
どこが痛いかを聞いた際に指1本で示せる場合(finger sign)はその部位に原因がある可能性が高いですが、もし手掌で示すような広い範囲の疼痛である場合はそこに疼痛の原因が存在するだけでなく、神経原性の疼痛である可能性も視野に入れます。
また膝関節の場合、圧痛も重要な評価ポイントです。
圧痛の存在は、その部位に炎症や損傷などがあることを示していて、スクリーニングとして役立ちます。もちろん圧痛だけで決めつけることはよくないですが、他の検査と合わせることで、より疼痛の原因の推測が正確になります。
③どうすると痛いか
上記で自発痛や圧痛の有無を確認し、ある程度疼痛の部位を把握したら、今度はそこにどんなストレスが生じた時に疼痛が生じるかを見ます。
膝関節で主に生じるストレスは「伸張ストレス」もしくは「圧縮ストレス」です。
これらのストレスを徒手的に再現し、圧痛が生じている部位で再現痛が見られるとある程度正確な疼痛部位の推測がたてられます。
疼痛部位は大きく内側部、外側部、前部、膝窩部の4つに大きくわけられますが、先日樋口さんの記事で外側部及び前部の疼痛についてかなり詳しく書いてありましたので、僕の方では膝OAでも多い内側部と膝窩部の疼痛について評価を方法を紹介していきたいと思います。
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