非特異的腰痛 どう診て、どう考える?
皆さん、こんにちは^ ^
LOCL LAB.ライターの塚田です。
今月はクリニカルリーズニングがテーマということで、自分は非特異的腰痛に対するクリニカルリーズニングについて書いていこうと思います。
皆さんは、非特異的腰痛って聞いたことありますか?
非特異的腰痛とは明確な器質的異常や神経学的所見の異常がない腰痛のことを指します。例えば、腰椎圧迫骨折では骨に器質的異常があり、これは要因がはっきりしている為、非特異的腰痛ではありません。また椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症なども神経への圧迫など器質的な異常が確認される為、非特異的腰痛ではありません。
これら要因がわかっているものは特異的腰痛と呼ばれ、それに応じた治療が必要となります。ただし、この特異的腰痛は腰部疾患のうちの15%程度しかおらず、残りの85%は原因がはっきりしない非特異的腰痛との報告もあります。
(What can the history and physical examination tell us about low back pain?
JAMA 268: 760-765, 1992)
また画像上、椎間板に変性が生じていたとしても、必ず疼痛や神経症状が生じるとも限らない為、疼痛の要因が本当に椎間板の変性によるものなのかということははっきりと言えません。
それらを考慮すると、自分たちが普段臨床の中で出会う腰部疾患は、非特異的腰痛が概ね多く、この原因のはっきりしない腰痛に難渋することも多いと思われます。
そこで、今回はこの非特異的腰痛に対して、どのようなメカニズムで疼痛が生じているのかを考え、それに対してどのようにアプローチするのかを紹介していきたいと思います。
今回のケースに対する評価と治療の考え方を、実際に自分がやっている評価と治療の流れで書いていきますので、皆さんも推理しながら読んでみて下さい(^ ^)
●症例紹介
皆さんは、下記のような患者さんが来た時に、まずは何を評価しますか?
自分はまずこの腰痛自体が理学療法の適応外である、Red flagsではないかを確認します。これにより重篤な疾患を見落とし、介入することで症状の悪化や患者の生命を脅かすリスクを避けます。
余談ですが、この症例ではなく実際に他の症例でリハオーダー後に拍動性腹部腫瘤に気付き、その後腹部大動脈瘤が判明し、Opeに至ったケースもありました。
●疼痛部位の評価
Red flagsの所見が見受けられなそうであれば、次に疼痛の問診や再現痛の確認に移ります。
理由として、非特異的腰痛は大きく分けて骨盤帯由来の問題なのか、腰椎由来の問題なのかに分けられ、疼痛の起こる領域によりある程度、どちら由来の疼痛なのかを推測することが可能だからです。
仙腸関節由来の問題の場合、疼痛部位は腸骨稜より尾側で特に上後腸骨棘付近に疼痛を生じることが多いです。また上後腸骨棘だけでなく坐骨結節や仙結節靭帯、鼠径部などに疼痛が生じます。
さらに大腿外側など神経根領域と一致しない下肢痛なども仙腸関節由来の疼痛である可能性もあります。一方で腰椎付近への疼痛が少ないことも特徴の一つです。
(・小澤浩司. 仙腸関節痛の診断. 脊椎脊髄 2016;29:171-9.)
(・川上純, 黒澤大輔, 村上栄一. 仙腸関節障害 と腰椎疾患の座位時疼痛領域の比較. 整形 外科 2014; 64: 513-7.)
また一方で、腰椎由来の問題であれば、棘突起間や椎間関節部の圧痛を評価した際に、その問題となる分節に圧痛が存在することが見られる為、上記の仙腸関節由来の疼痛と区別することが出来ます。
このテストにてこの症例の場合は下記のような評価結果でした。
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