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サンタさんはいるんですか?

Merry Christmas!
友人たちのお子さんがサンタに書いた手紙が、あちらこちらのSNSにアップされていて、胸がキュンとなっている飼い主です。ほっこり〜。

その一方で、小学校高学年のお子さんでもサンタを信じていることに、やや驚きつつ、夢を与えている親御さんの涙ぐましい努力が垣間見え、頭を垂れずにはおれません。独り身・子ナシの私ですが、仮に、万が一、子どもがいたとして、サンタさんがいるんだよと夢を与えられる自信がまるでありませんから。

なぜなら、私が幼稚園児の時に「サンタさんはいない!」と確信し、サンタさんの話に興じるクラスメートたちを論破したような人間だからなのです。

どんな風に論破したのか、長い時間を経た今でも鮮明に記憶しています。今日はそれをお伝えしようと思います。

どんな幼稚園児だったのか?
​「サンタさんを信じない」と聞くと、クリスマスに縁遠い環境で育ったと思われそうですが、実家は真言宗の寺の檀家であるものの、私は教会の幼稚園に3年間通っていました。

幼稚園では毎年恒例のクリスマス会が開催され、年長さんになるとイエス様の生誕を描いたお芝居をやります。私は準主役であるマリア様役を狙っていましたが、残念ながら星の役をやりました。ただの星ではなく、「ベツレヘムの星」です。この星のエピソードだけとってみても、どれだけクリスマス英才教育を受けていたかが伝わるのではないでしょうか。

クリスマス会ではみんなで賛美歌を歌い、イエス様の生誕を喜ぶのです。クリスマス会の終盤には園長先生からのカードをプレゼントされました。そこには西洋風の美しいイラストとともに、イエス様の生誕に関するちょっといい話が書かれており、純粋無垢な私はそれはそれは大切にしていました。

家ではどんなクリスマスだったのか?
​団塊世代の両親は、戦後の混乱期に子ども時代を送ったせいか、私たち兄弟に対して、豊かであたたかな家庭生活を提供したいと考えていたようです。真言宗の寺の檀家でありながら、クリスマス・イブは食卓にごちそうと不二家のバタークリームのケーキが並んでいました。余談ですが、母が小さい頃、クリスマスの時だけ飼育していた鶏が食べられたそうで、私の祖父がナタで鶏の首を落とすのを見るのが嫌だったと、モヤモヤする話を母から聞かされるのもクリスマス・イブの食卓ならではの風物詩でした。

さて。幼稚園のお友だちの話と違うなと思ったのが、お友だちの家庭ではサンタさんが届けてくれるようですが、我が家では両親からクリスマスプレゼントをもらう点でした。クリスマス・イブだけは、共働きだった両親が揃って帰宅するのが印象的でした。プレゼントの包みを抱える両親を兄弟で出迎えていました。きっと、帰りにどこかで待ち合わせして二人でおもちゃ屋に行っていたのかもしれません。そして、堪え性のない私や兄弟は玄関で包みを開けて、喜んだり、あるいはリクエストがうまく伝わっておらずがっかりしたりしていました。

我が家にもサンタさんはやって来ていた
両親からプレゼントをもらっている私の元にもサンタさんは来ていました。25日の朝、目が覚めると、枕元にサンタさんからお菓子(不二家のサンタブーツ)が届いていました。

興奮気味に両親に報告すると、「子どもたちを起こさないでと頼まれた」など、それっぽいことを言われました。しかし、嘘が下手な両親の表情の変化を私が見逃しませんでした。「煙突がないのにどうやって来たの?」と聞くと、「窓から」と言う父と、「玄関から」と言う母で、違う回答が返って来る始末。ますます疑惑は深まるばかり。両親をしつこく追求して面倒がられていました。その一方で、無邪気な弟はサンタさんの存在を信じて疑っていません。そんな姿にも軽くムカついていました。親にとっては、無邪気な末っ子の方が可愛いに決まってますから。

サンタさんをおびき寄せる仕掛け
幼稚園のお友だちに話を聞くと、どの家にもサンタさんはやって来ていて、プレゼントをもらっている様子。私にはお菓子なのに、高価なプレゼントをゲットしたお友だちもいて、やや不公平感を覚えました。中にはサンタさんとお話したと言うお友だちも。ねぇ、サンタさんて日本語が通じるの?

どうしたら、高価なプレゼントがもらえるのかヒアリングをすると、いくつかのポイントが判明しました。

 ・プレゼントを入れる靴下を用意する
 ・軒下に靴下を吊るしておく

我が家では靴下を用意していませんでした。だから、お菓子しかもらえなかったんだ。そして、靴下を設置する場所は屋外がいいらしいのです。なぜなら、屋外なら子どもに見つかるリスクもなく、希望通りのプレゼントが置けるからなのだとか。てるてる坊主と混じっている気もしなくはないが、次の年こそは、軒下に靴下を吊るそう!そう誓ったのです。

無事に靴下を仕掛ける
翌年のクリスマス・イブ。例年通り、プレゼントを抱えた両親が揃って帰宅し、兄弟たちは玄関で包みを開けてはしゃぎ、バタークリームのケーキを平らげた時、私は両親に「軒下に靴下を吊るしたい」とお願いしました。変なことを言い出す子だと思ったかもしれません。しかし、私の願いを聞き入れてくれ、吊るせられるように祖母が靴下にループを取り付けてくれ、父が軒に釘を打ってくれたような記憶があります。

弟も便乗することになり、寒空の下に2つの靴下がぶら下がっていました。私がお友だちから必死に情報を集め、両親や祖母に訴えかけて、ようやく実施できたと言うのに、「ぼくも〜!」の一言であっさり手に入れるなんて、ムカつく以外の言葉が見つかりませんでした。

その年もサンタさんはやって来たのか?
一夜明けて、例年のように、枕元には不二家のサンタブーツが鎮座しておりました。サンタさん、軒下の靴下に気がつかなかったのか!?と、思いつつ、直感でこれは父が置いたものだと確信したのです。きっと靴下の方が本物のサンタさんに違いないと、パジャマ姿のまま庭に飛び出すと、何やら靴下が膨らんでいました。「プレゼントが入ってる!!」私の胸は高鳴ります。

父に頼んで取ってくれと頼むと、「サンタさんの足音がした」「トナカイが庭の草を食べてた」だの、適当なことをベラベラと話しながら、靴下を取ってくれました。

息を弾ませて、靴下の中を覗くと、そこに入っていたのは「五家宝」でした。え? サンタさんなのに、日本のお菓子をチョイスするの? しかも、祖母がいつも食べている五家宝だよ。私ががっかりする傍で、弟も一緒になって、まさかの五家宝にがっかりしていました。弟よ、その気持ちわかるよ。

その日からお友だちに「サンタさんなんていないんだ」と力説しまくりました。否定するお友だちに「サンタさんが五家宝をセレクトすると思うか?」と聞くと、皆いちように納得するのでした。



きっと昨夜も、誰かが誰かのサンタさんだったのでしょう。
Merry Christmas to you all!!

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