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1月なのに春霞? 〜超大三角と惑星一網打尽の野望〜

1月も後半になると時々冬型の気圧配置が緩んで山陰でも快晴になったりするものですが, 今年はなんだか変な感じもします. 冬が途中でヘタれてしまったのか? 毎日寒くない. 気圧配置もハッキリしない.

カーテンをしめてシゴトとにらめっこしつつも夜の悪巧み(笑)のため天気が気になり, 時々外を眺めると, なんだか春霞のように遠くの山が白い. 夜になって近場の秘密の場所へ出撃してみると, やはり星空も春のようにぼんやりした感じです.

なお, 「超大三角」「惑星一網打尽」という謎のキーワードについては, 前のこちらの記事をご参照ねがいます↓

訝しく思いつつも店開きをして, まず西の空に沈みそうな方々から…

早く撮らないと土星が行ってしまう… ということで急いでC8(20cm F10シュミカセ)にいつもの3xバローレンズを付けて… とやるのですが, PC画面に映し出される土星像がやたらと暗くて輪っかが見えない.…

高度が下がってシーイングも良くないし霞でかなりの減光があるのかもしれません. バローをやめると小さすぎるし…とかジタバタしているうちにとうとう土星は行ってしまいましたTT

気を取り直して金星. これはとにかく明るいので何とかなります. ですが, やはり高度が低く揺らぎが大きいので輪郭は少しボウっとなります.

金星: C8, TeleVue 3xバロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MCASICapで撮影(gain 270/ss 10ms, 4000コマ), AutoStakkert!4で50%スタック, Gimpで調整.

そして海王星! ファインダーでも見えない8等級なので, 見える星からたどって行って見つけるというハイテクを駆使します. 予め星図(Stellarium)で位置を調べておき, 周囲の特徴的な星の並びを探して…

Stellariumで海王星探しの作戦を立てる(目盛りは縦(赤緯)が1°, 横(赤経)が5m=1.25°)

海王星はこの日金星の約9°東にあって, その辺の見える星の並びをまず見つけ, そこからの位置関係で望遠鏡を向ける, という方法. なんとか見つけてカメラに導入しますが, とにかく暗いしゆらゆらと踊る. 一応撮りましたって感じ.

海王星: C8, TeleVue 3xバロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MC
ASICapで撮影(gain 580/ss 500ms, 500コマ), AutoStakkert!4で50%スタック, Gimpで調整.

太陽系の果てで微かな陽の光を受けているわけなんでそもそも暗いのですが, この日は高度が低いのと空の霞と揺らぎで「丸」にさえ見えません.

天王星は空の高いところにあるので大丈夫. すばるからたどって見つけることができました.

Stellariumで天王星をさがす作戦(目盛りは縦(赤緯)が1°, 横(赤経)が5m=1.25°)
天王星: C8, TeleVue 3xバロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MCASICapで撮影(gain 500/ss 230ms, 500コマ), AutoStakkert!4で50%スタック, Gimpで調整.

ちゃんと光る青白い「丸」に写りました.

あとは木星と火星で明るい方々なので普通に撮ります. シーイングが今一つですが, 模様などを捉えるべくフォーカスに気合を入れる(笑)

木星の表面には衛星のイオの影が落ちているようです. 右側にイオが見えます. 木星の衛星たちは強力な重力に引っ張られてかなり高速で木星のまわりを回っていて, 一番近くのイオはわずか1.8日(日=地球の1日ね)で1公転します. なので, 1時間も見ていると衛星と影の位置が動くのが分かります. 木星はいろいろダイナミックな星.

木星: C8, TeleVue 3xバロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MCASICapで撮影(gain 360/ss 25ms, 4000コマ), AutoStakkert!4で25%スタック, Gimpで調整.

そして, このところ2年2ヶ月ぶりに地球に接近している火星. 火星の軌道は地球より歪の大きな楕円で, 地球と火星の軌道の間隔は場所によってかなり違います. それで, 2年2ヶ月毎に地球と火星は近づく(地球が火星を追い越す感じ)のですが, その場所によって接近時の距離がかなり変わります. 2018年と2020年の接近はかなり近かったのですが, 今回は少し遠め. 次の大接近は2033年らしい. 見かけの大きさが14"から24"くらいまで, 1.5倍以上変わります.

火星: C8, TeleVue 3xバロー, IR/UVカットフィルタ, ASI385MCASICapで撮影(gain 350/ss 12ms, 4000コマ), AutoStakkert!4で25%スタック, Gimpで調整.

ちなみに, ここに並べた惑星たちの写真は全て同じ光学系で撮って, 画像処理の途中での拡大やトリミングも同じスケールでしているので, 惑星の見かけの大きさの違いを比べられるようになっています. (海王星だけは揺らぎがひどくてかなりボケてるので大きさがいい加減ですが...)

そして, 霞んだ感じではありますが, シリウス〜火星〜木星が作る2024〜2025年冬限定の「冬の超大三角」が撮れました.

2025年限定「冬の超大三角」: Samyang 12mm F2 @F2.8, Kenko ProSofton Clearフィルタ, Fujifilm X-T20 ISO1600 19x1min (19min), AstroPixelProcessorでスタック, RawTherapee/Gimpで調整.


Shooting!

ZZzz..

【了】

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