【詩】1DK+Lタイプ
孤独を家具に例えるなら、セミダブルベッドになる。一人で寝るには広すぎて、二人で寝るには狭すぎる。分け与えあったぬくもりを知ってしまえば、もうなかったことには到底できやしない。深夜、枕を濡らした涙の味はいかがでしょうか。それすらももう確かめることなく、夢の向こうで手を振っている人の顔は毎晩塗りつぶされていく。
(気の抜けたノンアルビール、昔はもっと美味しくなかったはずなのに 限りなく限りなくどんどん本物のような気持ちになれる 偽物の中の本物 イミテーションのジルコニアだって、シチュエーション次第では本物以上 なのに 意味を求めてしまったらおわり、おわりのはじまり、はじまらなければおわらない 殺された愛は致命傷でも絶対に失血死しないまま 冷凍庫に保存されて こころの片隅が霜焼けしていく、だけなんだって)
天窓から陽が差し込み、毎朝のように「ゆるさないよ」と叫んでくる。まどろみの呪縛を背中に抱えたまま、キッチンのシンクに折り重なっているストゼロの死骸の上で顔を洗うと、どこからともなく孤独がやってきて、祈りを託すように一筋の煙をたなびかせることしかできなくなる日々を繰り返してやいませんか。扉の向こうは社会です。私が私でいられる場所は、仮面のような笑顔で過ごせば求められる会社でしょうか、子どものように泣きながら慰めてもらうネット世界でしょうか、それとも荷物だらけでただいまが反響するこの家の中でしょうか。
左薬指が21g軽くなったことを、
周りからの気遣いを失笑話に変換することを、
カメラロールの写真を消そうと試みることを、
そして、
夢の中くらいは怒れるようになることを、
ぜんぶ等しく、正しくなんて
自分都合と正義の殴り合い
処刑台のような夜が来る。
ロフトへお上がり、おやすみ世界。
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