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「ヤバい」英語。究極の多義語「ヤバい」の英訳を考える【Z世代の最新スラング】

ここのところずっと、韓国のものが好きなわが娘。

韓国系カナダ人のBestie(Best Friend、仲良し)がいることもあって、コスメや雑貨、アーティスト、お料理などに興味があり、韓国語も独学で勉強しています。

娘が最近ハマっている韓国系ラーメン「Buldak」。なかなか本気で辛いです!


それで、今度、その韓国人のお友達と言語交換(お互いの母国語を教え合う)をするのだそう。

で、娘がいうには

「ママが教えるとしたら『楽しい』とか『おいしい』とか『怖い』とかの言葉を教えると思うけど、私がそれを友達に教えるならぜんぶ『ヤバい』だね

とのこと。

なるほど。たしかに。

かつて「悪い」という意味だった「ヤバい」という言葉、いまや、「ヤバい美味しい!」「ヤバい楽しい!」「ヤバい大好き!」と、どちらかというと「ものすごくいい」という意味で使われるときの方が多いですよね。

かつ、「状況が悪い」とか「罪深い」「怖い」といったマイナスな意味でもまだ使います。

「『ヤバい』だけ知ってれば、だいたい日本語の会話が成り立つよw」
と娘。

そこで、言い方ひとつでどんな意味にもなる「ヤバい」のような言葉、英語だとなに?ということを、北米の現地校に通うZ世代の娘と一緒に考えてみましたよ。

「いろんな感情に乗せて言えば、全部の意味になるよ」的英語表現の決定版はこれだ!というお話を、今日はシェアします。



何にでも使えるのは、やっぱりあの言葉


娘の提案は

Oh my God! Slaaaay! 
Yas, queen!

というフレーズ。ひとつずつ見ていきましょう。

Oh my God!(オーマイガ!)

「ヤバい」くらい使いまわせる表現は?というとこれかな? というのはやっぱり「Oh my God!」。
これは小学生から大人まで、本当によく使われているフレーズです。

カタカナで発音すると「オーマイガッ」ですね。
頭文字で「OMG(オーエムジー)」と書いたり言ったりもしますね。

キリスト教の信者じゃなくても使って大丈夫?

でも自分はキリスト教徒じゃないし……って思うあなたも、実は使って大丈夫。

北米では「Oh my God」は宗教的な意味を持たずに一般的な感嘆詞として広く使われています。キリスト教を信仰していない人でも、このフレーズは驚きや感情を表現する際の日常的な言葉として使用します。

この現象は、言語が変化し、特定のフレーズが文化的に定着していく過程、宗教的言葉の世俗化(secularization)の一例ですね。

むしろ、クリスチャンはこう言い換える


むしろ、キリスト教を信じている人の方が「Oh my God」を使わない傾向があります。
特に敬虔なクリスチャンは「God(神)」の名を軽々しく口にすることを避けるために、代わりに「Oh my Gosh(オーマイゴッシュ)」や「Oh my Goodness(オーマイグッネス)」といった表現を使うことが一般的。

これは、キリスト教の教義の中に第三戒として「汝、主の名をみだりに唱えてはならない」という教えがあるためです。「神さまの名前をやたらと口にしてはダメなんだよ」という意味ですね。それを尊重するための選択としてGoshGoodnessなど、音の似ている言葉で代替表現とします。

上品な女性などは、信教に関わらず「Gosh(ゴッシュ)」を使っていることが多いかな、という印象。「Goodness(グッネス)」は少し目上の人から聞く気がします。

なので、大人の女性が言うとしたら「Oh my Gosh」が無難。
つい「オーマイガ…」と口に出てしまうなら、「God」をはっきり発音せず、なんとなく「ガ」と弱めに発音して「オーマイ」の方に重きをおくといいと思います。


Slaaaay! (スレーーーイ)

はい、これは北米西海岸英語ですよね。

「Slay」の元々の意味は「倒す」や「打ち勝つ」です。
(アニメ『鬼滅の刃』の英訳が『Damon Slayer(魔物を倒す者)』ですね)

が、スラングとしては「すごくかっこよくやり遂げる」「完璧に成功する」といった意味になります。
「Slaaaay(スレーーーイ)」と伸ばして発音するのは、その賞賛の強さを強調しています。ロサンゼルスあたりの、西海岸のゆったりとした英語の話し方、という感じ。

「めっちゃイケてる!」というポジティブなニュアンスなので、「ヤバい!」をいい意味で言いたいとき(カッコいい、楽しい、美味しい、etc)、「オーマイガ」とセットで使うとイイ感じになります。

ただしかなり若者用語なので、大人が使うとちょっとアレかな。
淑女のみなさまは使用注意で!


Yas, Queen!(ヤス、クイーン!)

「Yas(ヤス)」は「Yes」の意味の強調です。「めっちゃ同意!」「すごくそれ!」ということですね。
とてもポジティブな言葉で、LGBTQ+コミュニティで使われ始めたのが最初だそう。「その調子!」や「最高!」といった称賛のニュアンスがあります。

「Queen(クイーン)」は、「女王」という意味ですが、スラングとしてはカリスマ的な人物や堂々とした女性を指す言葉です。

なので、「Yas, Queen!(ヤス!クイーン!)」というのは、女友達に対して絶対的に同意して称賛する言葉。まあ、当のZ世代はそこまで重い意味を込めずに使っていますが。意味としてはそういうことです。


その他の「ヤバい」言葉


その他、「ヤバい」のように使われる言葉としては

Sick(シック)、Lit(リット)、Dope(ドープ)あたりを耳にするかなあ、という感じです。

Sick(シック)

「Sick」は本来「病気である」という意味ですが、1970年代から1980年代にかけて、スケートボードやBMXのコミュニティで「素晴らしい」「かっこいい」という意味で使われ始めました。意味が逆転した、という観点からも「ヤバい」に通ずるものがありますね。中高生含め、若者の間で使われているのを聞きます。

Lit(リット)

「Lit」はもともと「light(明かりを灯す)」の過去形で、昔は単に「灯された」「点火された」を意味していました。しかし、1920年代のアメリカでは、アルコールやドラッグで酔っ払った状態を「lit」と表現するようになり、これが徐々に進化し、現代では「最高に盛り上がっている」や「すごい」というポジティブな意味で使われています。

Dope(ドープ)

「Dope」はもともと「薬物」や「薬物中毒者」という意味で使われていました。しかし、1980年代以降、ヒップホップ文化の影響で「かっこいい」「すごい」という意味で使われるようになりました。
この意味の逆転も「ヤバい」と通ずるものがありますね。こうしたスラングの特有の進化形態は、英語も日本語も似ています。


若者専用なので、使い方注意!

こうした若者用語、実際には私は使わないのですが(使うと失笑されるw)、子どもたちがこんな言葉を口にしていると、文化や友達のコミュニティになじんでいるように見えて親としてはちょっと微笑ましかったり。

スラングなんて本来使わない方がいいのですけど、ところ変われば、ってやつですね。まぁ、スラングもマナーのよい言葉遣いも、どちらもできるといいですよね。

思えばマレーシアにいたときはこうしたスラングはほぼ使っていませんでした。イギリス系の学校だったからか、英語が第一言語の人(特に子ども)が少なかったからか……その両方だと思いますが。

北米に来たなら、若者的にはちょっとは使えた方がいいみたい、な感じです。

おまけ:娘作のトッポギ。辛い!おいしい!OMG, It's sick! Slaaaaay!

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娘がよろこびます

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Yuriko | バイリンガル海外子育て6年目☕
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