【マレーシア教育移住の理想と現実】「白人いっぱいの学校」に行きたいなら、最初からカナダあたりに行く方がいいのでは?(前編)
マレーシア留学・教育移住の魅力のひとつである「費用面」。学費も手ごろだし、生活費も安い。
そんなイメージを持っておられる方も多いと思います。
実際のところ、マレーシアは「コストパフォーマンスのよい留学先」になり得ると思いますが、今日は「マレーシアに何を求めるか」が重要、というお話を、マレーシアとカナダの2か国に教育移住の経験のある私の視点で語ってみます。
🏫学費の高い学校・安い学校と「白人率」
マレーシアに180校あるとも言われるインターナショナルスクール。
学費の幅が広いのが特徴で、通学生の場合の学費で、下は年間50万円以下から、上は年間300万円超えまであります。
(寮生の場合は、寮費は学費と同額かやや安いくらい、が目安)
マレーシアのインターナショナルスクールの学費が高くなる要素は主に4つで、「欧米からの先生の数・割合」「設備」「立地」「学年」です。
「設備」と「立地」に関しては、言わずもがなですね。
一般的に、都心部や便利な場所にあれば狭かったり高かったりする傾向があるのはどこの国でも共通事項ですし、新しく作られた立派な校舎、コンサートホールのような豪華なシアターなど、キラキラな設備がある学校はそうでない学校より学費が高い傾向があるでしょう。
「学年」と学費の関連についていうと、基本的には学年が上がると学費も上がりますので、長年の留学を検討していたり小学校から中学校の端境期である場合は、該当学年以降数年間の学費にも注目してもいいかもしれません。
ざっくりいえば、小学校より中学校、中学校よりAレベル(※)と上がっていきます。1学年ごとに学費が上がっていく学校もありますし、ある学年を境に学費がガクンと上がる学校もあります。
なお、物価の上昇につれて、毎年か2~3年に一度、全学年の学費が数パーセント上がることも一般的です。
(※Aレベルとは、イギリス系の教育カリキュラムの大学入学準備過程のことで、ハイレベルな教育を行う約2年間のことです。日本の高校2~3年生にあたる年齢で受けるもので、「よいAレベルの教育を受けたいと思ったら、学費は年間300万円はかかる」と言われています)
また、上記にあげた4要素以外で細かなプラス要素としては、「スクールバス代」や「ESL(EAL)など英語補強クラスの授業料」、「放課後の課外活動(クラブ活動)費」などです、これらが授業料とは別途で設定されている学校も多く、継続して支払うものであり金額的にも小さくないことが多いので、これらが必要かどうか・含まれているか否かも「学費」に実質関係してきます。
そして、保護者が気になる部分での学費を左右する大きな要素が、「欧米からの英語ネイティブ教師の数や率」になるかと思います。
(以下、イギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリアなど欧米の英語ネイティブの国出身の先生のことを「ネイティブ教師」と表現します)
🏫ネイティブ教師率が高くても授業料の手ごろな「お得な学校」もある
ネイティブ教師の数と学費は正比例するわけではないので、中には「ネイティブ教師率が高いのに学費は中くらい(いわゆる松竹梅の竹クラス)」という学校がいくつかあります。年間授業料が100万円前後~100万円台前半、日本の私立中学や塾代を考えるなら十分検討内に入る価格帯です。
そして、そのいくつかの学校は「英語ができれば入れる学校」と「英語ができなくても入れる学校」にわかれます。マレーシア人は基本的にみんな英語が話せるので、英語ができない生徒を対象としていない学校の方が全体から見ればむしろ一般的です。
そしてその後者である、「ネイティブ教師が多くて、英語ができなくても入れて、学費もそこまで高くない」学校で、なおかつ立地も設備も悪くなければ「日本人に人気」になり、「日本人率の高い学校」になりがちです。
学校もそうした日本人層をマーケティング的にターゲットとして捉えているので、日本のエージェントに情報を出したりプロモーションを行ったりと、日本語での情報が増えます。日本語で情報が入手しやすくなれば、ますます日本人が集まります。
(「日本語で紹介されていることが多い学校に日本人が多い」のは、学費帯に関わらずみられる事象です)
「日本人率」は学年によっても異なりますし、「日本人率が高いから」と敬遠されて「日本人離れ」が起こる、というサイクルに入ることもあります。でも逆を言うと、入学したときは日本人生徒がさほど多くなかったのに後から日本人が増えてしまって、望んだ環境ではなくなってきてしまう、ということもありえる、というわけです。
概ね、Year6~8あたりは、その学校の中でも日本人が多い学年だと思われます。学校によっては、学校中の日本人のほとんどがその学年に集中している、ということもあり得ます。
🏫「インターナショナルスクール」というと「白人の生徒」を期待する人
また、「インターナショナルスクール」と聞いて無意識に「白人の生徒」の存在を思い浮べる人も一定数いると思います。
マレーシアのインターナショナルスクールでも、公式サイトやパンフレットなどに生徒が3~4人いればその中の1人が白人の子ども、という写真を採用している学校も少なくないのですが、実際はその比率通りに生徒の3割も白人の生徒がいる学校の方が稀でしょう。
そして、「インターナショナルスクールの写真」といって見せられた写真が東アジア人(日本人と見た目があまり変わらない。特に制服など同じ服を着ていると特に見わけがつかない)だけしか映っていないと「インターナショナルスクールっぽくない」と感じる人もいるのではないでしょうか。
人によってはそこにマレー系やインド系の子どもが混ざっていても、「白人・ネイティブの子がいない」ことでそう感じる人もいるかもしれません。
生徒の9割がマレーシア人、と聞くと「もはや『インターナショナル』スクールじゃないじゃん」という感想を持つ人もいるかもしれません。
マレーシアのインターナショナルスクールにいる「白人・ネイティブの生徒」はどんな子かというと、1.先生の子ども 2.欧米からの駐在家庭の子ども 3.両親のどちらかがネイティブの国出身でどちらかがマレーシア人でマレーシア在住の家庭の子ども、といった感じです。3.は少ないです。
欧米からマレーシアに駐在している家庭の数も、さほど多くないと思われます。そのためなおさら、そうした家庭は特定のエリアの特定の学校に集まります。駐在員は基本的に学費は会社持ちで住まいも都心部でしょうから、それは「都心エリア」にある「学費の高い学校」となるでしょう。「駐在員の子弟が集まる学校」「学校として駐在員家庭を歓迎している(母子留学を基本受け入れない)」という学校も存在します。
つまり、学校にいるネイティブの生徒は、ほぼ「1.先生の子ども」だけ、という学校も珍しくないので、ネイティブ先生が少ない・いない学校は生徒もアジア人が圧倒的に多い、ということになります。それが、マレーシアのインターナショナルスクールの「普通」です。
「インターナショナルスクール」と聞いて、「3~4人の生徒のうち1人が白人」な写真のパンフレットのイメージを持っていると、それは違うかな、ということになります。
後編記事に続きます。
後編の見出しは、
🏫日本人が多いかローカル度が高すぎるかのどっちかで「期待外れ」
🏫「お得」なカナダ
🏫マレーシア留学・教育移住で重視すべき大切なことは
になります。
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