ユカリ

出版社勤務24歳/漫画・読書・映画・料理について。バイブルはジブリ・70年代少女漫画・…

ユカリ

出版社勤務24歳/漫画・読書・映画・料理について。バイブルはジブリ・70年代少女漫画・スピッツ。

最近の記事

初めて心から人の死を悼んだ話

気づけば7月も終わろうとしているのに、昨年末から書かなければと感じることを溜め込んでいる。 祖父の葬式、自分の結婚式、先輩が亡くなったこと、社会人一年目の私の悩みを辿っている後輩の話を聞いたこと。あ〜これは書かなきゃと思うのに、思ったこと自体忘れていくことに対して、いい加減もったいなく思ってきた。 まずは祖父の葬式から書こうと思う。 取り返せない2日 2023年11月末、入籍してから1ヶ月経ち、愛媛に住む祖父母に、結婚の挨拶をしに行く予定だった。 祖父の具合は前から悪か

    • 私の結婚は所謂「女の幸せ」じゃないみたいだけど

      今、入籍一週間前。たぶんマリッジブルーだ。 マリッジブルーとは結婚生活や結婚相手に対して不安になり、憂鬱な気持ちになることを指すらしい。私は沈んでいるわけではないけど、ぼんやりと、浮かれてられないな・・・と思っていて、そうかこれは孤独を感じているのだと気付いたところだ。 まず、私の結婚相手というひとは、私とはかなり精神構造が違う。私は人とのつながりの中に幸せを見出して、感動を大切に生きているけれど、彼はもっと合理的な世界に住んでいて、自分の周りの狭い範囲での充実や居心地を追

      • 結婚する理由

        同居人と年度中に入籍しようと話している。 彼と出会うまで、同年代の友人と結婚願望について話す時は、なんとなく「したい」側にいた。 なぜか明確にはわからなかったし、かの有名なコピーの前半「結婚しなくても幸せになれるこの時代…」はその通りだと思う。 大学進学を機に上京し、あまり深く交際した恋人はいなかったので、ひとりで暮らす自分にも慣れていた。 それでも直感的に「したい」側を選んでいるので、理由を聞かれた時に答えていたのは、 私は誰かと一緒に住むこと自体は向いていると感じていた

        • 『木を植えた男』とマスター

          『木を植えた男』 という絵本をご存じだろうか。 1931年、フランス・プロヴァンスの荒れ果てた山岳地帯で、一人の寡黙な男が、来る日も来る日も木を植える。その様子を偶然出会った男の視点で描いている。 もう誰も住んでいないその地は、戦争で炭を作るために禿山となり、人々は苦しい労働と貧しい生活で心がすさび、争いも絶えなかった。 男は妻子をなくし、孤独に引きこもるなら何かためになることをしようと、途方もない作業を何十年と続けたことで、緑が再生を遂げる。人々はまた集まり、笑い声の絶

        初めて心から人の死を悼んだ話

          「千と千尋」と就活

          小さいころから出版社で働くのが夢だった。 本や漫画が大好きで、それを作る側にまわりたかった。でも自分に創作の才能は感じない。 それなら、出版社で編集者として働いて、何か面白い企画を考えたり、面白いものを描ける人に出会ったりしたらいいのだと、漠然と考えていた。 では、面白いとは何か。 作品は何をもって人を感動させているのか。当時の私は、意気揚々と憧れの職業を目指し、その大切な問いについて深く考えていなかった。当然ながら途中で壁にぶち当たり、理想と現実の間で苦しめられることにな

          「千と千尋」と就活