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物語の物語『OU』紹介と感想(Switch・Steam)
概要
ジャンルは「ピクチャレスク・アドベンチャー」となっており、主人公「OU」を操作して話を進めていきます。
ルート分岐があるため、プレイ時間は人によって前後すると思いますが、自分は4時間を超えるぐらいでした。
OUを先導してくれるのは、オポッサムのサリーです。
ゲームの基本は、マップの左端を目指して歩き、左端まで行くと水に飛び込んで次のページへ行き物語を進めていく形になります。
OUは付箋を投げることができ、この付箋は画面内の物に貼り付けて説明を読めるようにしたり、時には敵に投げつけたり、仕掛けを解いたりするのに使う重要なアイテムです。付箋は何種類もあり、コレクション要素となっています。
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物語は幾つもの分岐があり、その内のいくつかを観ることで真ルートが解放されます。全てのルートを観なくても真ルートへ進め、難易度も高くないので、物語を楽しみながら自然と最後まで行けるようになっています。
企画・脚本・アート担当の幸田御魚さんが手がけた作品中のアートワークは、幸田さんの心象風景を描いているそうです。それが、「どこかにありそうで、どこにもない」ウクロニアの魅力となっています。
素晴らしいアートワークと、雰囲気にピッタリのBGMに浸りながら、OUの記憶、そしてこの世界の真実について、ゲームだからこそ楽しめる物語を体験できます。
感想
新年最初にクリアしたゲームは、かなり好みな傑作でした。
どこを切り取っても一枚絵となる描きこまれた背景の中を、サリーと二人で記憶を探す旅をしていくうちに、この世界について、住人について、そして物語を読むということについて、色んなことを感じ、考えていきます。
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物語を読んでいるうちは、メタ的な構造も強い構成や会話のため、聞いただけではすんなりと理解できず、整理しながら染み込ませていきました。
そうすることで、最後には作品世界や語りたいことが、ゲーム全体として構成されていることに気づき、一気に視界が通る感じがしました。
物語としても、複雑さはありますが、「どうぞ好きに考えてください」と曖昧に終わるものではなく、しっかり作品内で答えを提示してくれており、その上で色々と考えるのが楽しい内容になっています。
OUは無口なので、旅の間はサリーがたくさん話をしてくれます。サリーは気のいい奴なので、一緒にいる時間が長いほど愛着が湧いてきました。
この物語は、OUの物語であり、サリーの物語でもあったのです。
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アートワークや物語だけでなく、印象に残るメロディアスなBGMも素晴らしかったです。ギターメインに絞った事で物語への没入感が高まっていました。
真エンディングまででも満足感を得られますが、クリア後コンテンツも最高だったので、忘れずに観ることを推奨します。
自分が物語を観る時に行間から感じたり、行間とか関係なく想像したりする部分が、こんな感じで一つの世界になっているといいなと思いました。
物語が好きな人、物語について考えるのが好きな人、雰囲気に惹かれるものがあった人は、間違いなく楽しめると思います。
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(クリアした日:2024年1月7日)
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