HerBESTの365 #2018

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彼女はちょうど一年前の12月からHerBESTで働き始めた。今はすっかりエースに成長したしっかり者のマーエイ。1年前の今頃、彼女がまだあどけない顔つきでやってきたあの日と、大違いだ。

そうだ。2018年も年の瀬。彼女があどけない顔で入ってきたあの日から今日まで、せっかくだからHerBESTも1年を振り返ろう。

HerBESTとは

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HerBESTはミャンマーのヤンゴンという都市でハウスキーピングのサービスを提供しているまだまだ小さな会社だ。2016年年末、私はヤンゴンにやってきて、そしてサービスを開始した。

「ヤンゴンのビジネスパーソンの生活をサポートする」

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ヤンゴンの生活は決して楽なものではない。度々起こる停電や洪水、少し買い物に出ようと思っただけなのに簡単に渋滞にはまってしまう。住居は清潔感がないものが多く、食べ物だってきちんと選ばなければ病院行き。雨季には湿度が80%以上になり、クローゼットの中はカビだらけだ。

生活を少しでも楽にしようと思ってメイドさんを雇う人も少なくない。しかしどうだろう。せっかくメイドさんを雇っても、トレーニングを受けていないためお掃除の知識がないから0から教えなければならないし、無断欠席や遅刻は日常茶飯事だ。物やお金が盗まれてしまうなんてケースもあるけど、補償がされるわけでは全くない。

私たちはだから、ここでハウスキーピングの事業をスタートした。ヤンゴンで活躍するビジネスパーソンの生活をサポートすべく、きちんとトレーニングされたスタッフが、気持ちの良い空間と生活スタイルを届けるのが、私たちのサービスだ。

なぜ私たちは事業をするのか。

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私たちはなぜこの事業をするのか。それは「メイドさん」と呼ばれる職業を変え、貧困層の女性たちがイキイキと働く社会を作るためだ。

ミャンマーでは「お掃除」は最下層の人の仕事だと考えられている。当然給料も安い。メイドさん一人に支払われる給料は月80USDほど。田舎から出てくる彼女たちは、雇い主の家に住みで働くのが一般的だ。

彼女たちの労働環境は決して恵まれているものではない。もちろん仕える家によって差はあれど、みんな休みなく働き、そしてひどい時には、雇い主からの暴力や性暴力などにあってしまう。

それでも彼女たちがメイドさんという仕事を選ぶのは、他に選択肢がないからだ。田舎には農業以外の仕事はないし、教育を受けていない彼女たちが他につける仕事はそれこそ、売春婦などで働くことだ。

私たちHerBESTは、そこに一本、「新しい道」を作ろうと思っている。
それは「メイドさんでもきちんと稼げる道」だ。そして彼女たちが「自分の仕事に誇りを持ってイキイキと働ける道」だ。

そしてそれをするためには、当然きちんとしたお掃除のスキルや、衛星の知識を身につけなくてはならない。遅刻連絡や欠席連絡などのマナーも身につけなくてはならない。そして何より誠実でなければならない。

HerBESTでは日々の習慣やトレーニングのなかで、それらを培っていく。だから私たちはこの国で事業をしている。

2018年のHerBEST

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2018年は、私たちにとってHerBEST2年目。一年ってたったの365日なのに、365日前の私たちは今とはずっと違っていたように感じる。

今年1年の感想をざっくりいうと、「苦しかった」という感じかもしれない。真っ暗闇の中を進んでいるような気分。日々スタッフのトレーニング、お客様とのコミュニケーション、気をぬくとすぐ低下してしまうクオリティ。どれもこれも初めて出会うものの連続で、スタッフや自分の感情に揉まれて試行錯誤していた。

果たして前に進んでいるのか、と日々重たいタイヤを押しながら思っていたのだけど、365日前のことを思うとやっぱり進んだこともあったみたいだ。

サービス提供件数と回数
15件(2017) → 30件(2018)

立ち上げの2017年HerBESTのサービスを受けてくださっていたお客様は15件。2018年で30件まで持ってくることができた。なんとか50件まで持って行きたかったところだけれど、成長率200%。まぁまぁ頑張れたかなというところ。お客様への訪問軒数は1500回を越えた。

HerBESTスタッフ人数(インターンを含まない)
4人→7人

スタッフの数は7人になった。今までHerBESTを始めてから短期インターンを除いて離職した人はたったの1人だ。離職率の高いミャンマーでスタッフで悩むことが少ないのは本当に有難いと思っている。前述したように、私たちはミャンマー人の女性がイキイキ働く未来を作る会社なので、これは非常に大事なことだと思っている。来年もここは引き続き頑張って行きたい。

オフィスの移転と拡大
間借りのキッチン→小さいけど個室!

2017年のHerBESTのオフィスはなんと、人様のオフィスのキッチンスペースだった(笑)。快くキッチンを使わせてくれた方々には感謝しかないけれど、やっぱり自分たちで個室を持てる、それこそアジトを持てる幸せは格別だ。まだ小さい個室だけど、洗濯物のよく乾く明るくて感じのいいオフィスを結構私もHerBESTメンバーも気に入っている。これによってものの管理がとてもスムーズになった。お客様に提供できるサービスのクオリティもずっと上がった。

社内で進めたこと
村上(私)の脱オペレーション
トレーニングの仕組み作り
評価制度の作成と給与システムの変更
田舎採用の開始(エイヤワディ・カレン・バゴー・モン)
寮の運営
Clean Yangon Green Yangon (19回目!)

今年前半の山場は私の脱オペレーション。いつかnoteにも書いたけれども2017年は私もお部屋のお掃除に行っていた。そこから実際、それをスタッフに渡すことがまずは一番大変な山場だった。渡すこと自体、精神的にとても大変だったのだけど、渡してからも日々、問題やクオリティコントロールとの戦いでした。

後半の山場は評価システムの変更と給与の仕組みの変更。スタッフにとっても大きな変化が起こることで、クオリティにも関係するこれは、かなり考えたし、いまだに試行錯誤している。ただ一応、一つの形に持ってこれたことはよかった。

個人的に嬉しかったことは田舎採用の開始。今まではヤンゴン近辺での採用だったものを田舎(4箇所)に出向き、地道に話をし、理解をしてもらってHerBESTでの採用を開始できたことは、私たちのミッションにとってとても意義のあることだったと思う。

Clean Yangon Green Yangonはヤンゴンの街の清掃イベント。派手ではないが粛々とHerBESTの手で続けている。12月で19回目。一度も休んでいない。これからもずっと続けていく。2018年はClean Inre Green Inreがニャンシュエでも始まったところ。2019年はマンダレーにも拡大予定。

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2019年のHerBEST

こうやってみてみると地味だけど、やっぱりちょっとずつ進んだんだなと思う。2019年は、今までとまたちょっと違った事業展開を予定している。とってもわくわくしているのだけど、引き続きヤンゴンの皆さんの生活を支える会社でありたいし、スタッフの幸せを作っていける会社でありたい。

昔住んでいたルワンダのことわざに、
「ブホロボブホロ ニルゴロジェンド」という魔法の呪文のような言葉がある。「少しずつだけど確実な一歩を」歩んでゆくことを表す言葉だ。

2019年も、ゆっくりでも確かな一歩を歩んでゆく。

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