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【カヌーポロ】ポジションとその役割の話

記事を書き始めて3年が過ぎ、初めて読者からリクエストをいただきました。
テーマはカヌーポロにおけるポジションとその役割という話。これは非常に難しいお題です…。
英語のpositionは直訳すると「位置」。仕事においては役職などを指す場合もあり、球技などのスポーツでは自分の受け持つ位置を言います。
まずはポジションについて詳しく知りたいので、試しにAIにサッカーのサイドバックのポジションについて聞いてみました。

サイドバックの役割は次のとおりです。
・相手のウイングやサイドハーフを止める
・相手陣内まで駆け上がり、クロスボールからチャンスを作る
・サイドハーフと連携した攻撃を行う
サイドバックは、試合中に何度もポジションを移動するため、スピードとスタミナが求められます。また、相手の陣地まで行ってクロスを上げ、自陣に戻り守備をするなど、常に動き続ける必要があります。

(AI Overviewsより)

これを読んで思ったのはポジションによってオフェンス・ディフェンスの役割が決まっているという事です。これは他のポジションも同じでした。
また、バスケ、ハンドボールなどの球技についても調べてみるとも概ね同様でした。

カヌーポロのポジションとは

カヌーポロのポジションはどうでしょうか。
攻撃時に右サイドだからディフェンスも右サイドしかしません、なんて選手はあまり聞いたことがないと思います。
もちろん左右によって多少の得意・不得意はあるかもしれませんが、基本的にディフェンスに関してはどちらかサイド専門という考え方はあまりないと思います。
オフェンスについては、利き腕や得意なシュートの向きなどよって左右
どちらのサイドが良いなんてこともありますが、前後については前衛(ゾーンの中に入る)、後衛(外側で球回しをする)の役割があり、オフェンスの前後の区分けがディフェンス時のポジションと連動するわけではありません。
オフェンス時にインサイドで崩すのは、どちらかと言えばパワーがあり重さのある選手が向いていると思います。こうした選手はディフェンス時は主にセンターなどゾーンディフェンスのラインを保つための役割を担うことが多いです。
カヌーポロはディフェンス・オフェンスの陣形が一致していないため、攻撃と守備のポジションもあまり連動していません。むしろ選手の特性によってやるべき役割が当てはめられるのがこの競技の特徴だと思います。
これに加えてゴールキーパーも誰が入っても良いルールです。チームの正キーパーは存在するものの、攻撃時はフレキシブルにポジションが入れ替わることができます。さらに言えば5人+控えの3人がいつでも何度でも交代可能なので、その時フィールドにいる選手によって役割が変わるなどポジションが固定されていないケースもあります。
・・・いつもならここら辺で終わらせてしまうのですが今回はリクエスト。もう少し頑張って役割について考えてみましょう。

守備のポジションから見る役割

せっかくなので、私なりにポジションとその役割について解説してみます。

トップ

海外のカヌーポロに関するウェブサイトではChaser(チェイサー)とも表記されることもあるポジションです。日本でもだいぶ昔にはそう呼ばれていた頃があったと記憶しています。2-2-1が主流だった時代、チェイサーの役割は名前の通りボールを追い回す係でした。練習でやる鳥かご(ワニ)に近い動きで2人のチェイサーで、相手の球回し要員を追っかけていた記憶があります。今にして思えば非常に効率が悪いうえに、ディフェンスの穴が空きやすく脆弱なディフェンスだったと思います。

鳥かごは少人数でできる上にカヌーポロに必要な要素がたくさん含まれているいい練習です。

現在、主流である1-3-1のディフェンスにおいては、ボールを追い回すような動きはあまりせず、ゾーン内に侵入してくる敵を止めるような役割が多いです。危険度が高いところを防ぐのが一番の目的なので、必然的にボールを持って侵入してくる選手や危険な位置にドライブしてくる選手を優先的にマークすることになります。
また、後ろの3人のディフェンスラインを補助する役割もあります。

高い角度からのドリブルやドライブを止めるとともに縦パスを防ぐ役割もあります
サイドの選手が膨らんだ場合、中パスのケアに入ることもあります


サイド

サイドのディフェンスの役割はゾーンディフェンスのディフェンスラインを守ります。
外から押し込んできたりインサイドにポジション取りをしようとする敵選手を排除するなど、パワーと艇操作が必要です。
また、外側からのミドルシュートへの対応、インサイドへのパスを防ぐなどの役割も求められるため、ポジショニングとその場その場での判断力が必要です。
時には外側の敵選手にプレッシャーをかける動きなども織り交ぜてオフェンスを妨害します。カウンターに出やすい位置なのでボールを奪った際は素早い切り替えが求められます。

センター

サイドと同じくゾーンディフェンスのラインを守りますが、役割が違います。
サイドの選手と違い外側へのケアをしない分、ゴール下の敵選手の妨害をすることが主な仕事です。
妨害というのはDFラインを押し上げる、良いポジションを取らせない、シュートを防ぐなど多岐に渡ります。また、左右から攻撃を受けるので、一方だけ守れていたとしても反対側は崩されているなんてこともあり、広い視野が求められます。サイドやトップの選手にも声掛けして連動させる役割もあります。
パワーがあり艇操作も上手、豊富な運動量と広い視野、統率力も必要というチームの要となるポジションです。

キーパー

守備の最終ライン、最後の砦なわけですが、シュートを止めるだけが仕事ではありません。最も試合の状況が見えるので、ディフェンスの選手に指示を出すことも求められます。。また、ボールポゼッションが自チームに移った瞬間、起点となるのがキーパーの役割です。
ボールを持っていれば当然、初手のボールを捌くので、ここで上手く前にボールを進めることができれば相手の守備陣形が整う前にカウンター攻撃が可能です。
また、ボールを持っていなかったとしてもゴールキーパーは基本的に敵選手と接触していないはずなので、自由度が高いです。
パスの受け手になったり、混戦の合間を抜けて、カウンターの前線に飛び出すこともあります。

個人的な意見

今まで触れてきたポジションの役割は私なりの考えです。チームの戦術によっては役割が全然違う場合もあると思います。
そして、個人的にトップのポジションを長くやってきたので、細かく書いてしまいました。もちろん他のポジションもある程度経験してきたのですが、ここに関しては思いも強いです。
そんな私がよく感じるのはトップのポジションは軽視されがちということです。
というのもセンター、サイドといったDFラインのポジションはある程度、パワー・艇操作がないとできないので、「とりあえず初心者はトップやっといて」となりがちです。また、その指示も「とりあえずボールが来たら当たって」というアバウトな指示で、本人はわけもわからずやらされていることが多いです。
そのうちに上達してくると自然と後ろのDFラインをやるようになり、トップのポジションを卒業していきます。そう、残念ながら成熟した選手はトップのポジションに残ってくれないのです。
もちろん、後ろのDFラインが安定する方が戦略上大事なのはわかるので、当然のことだと思います。ただ、トップの動きが機能すると、チームの安定感は確実に増します。そして、ここのポジションを本格的に取り組む選手はあまり多くないので、ある意味ブルーオーシャンと言えるかもしれません。
とはいえ、複数ポジションできることで初めて視野が広がるので、上手くなってきたら一度は他のポジションを経験することをオススメします。なんならキーパーに関しては全員練習すべきだと思っています。

以上で今回の記事は終わりますが、攻撃のポジションの詳細については別の機会に挑戦するかもしれません。気長にお待ちください。

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