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J-TEC、決算発表とともにCAR-T療法の治験開始を発表

ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)は2024年11月1日、2025年3月期第2四半期(2024年4~9月)の決算説明会を開いた。同社の2025年3月期第2四半期の売上高は11億6100万円(前年同期比6.8%減)で、営業損失2億700万円(前年同期は1000万円の営業損失)を計上した。

 再生医療等製品事業の売り上げは7億4318万円(同12.4%増)だった。個別の製品では、「ジェイス」(ヒト〔自己〕表皮由来細胞シート)が4億7748万円(同19.9%増)と伸長。医療機関への情報提供が奏功し、受注が伸びたという。「ジャック」(ヒト〔自己〕軟骨由来組織)も需要が高まり、2億254万円(同24.7%増)を売り上げた。「ネピック」(ヒト〔自己〕角膜輪部由来角膜上皮細胞シート)、「オキュラル」(ヒト〔自己〕口腔粘膜由来上皮細胞シート)の売り上げは6295万円(同37.3%減)だった。発売初期の拠点施設での移植が一巡し、売り上げが伸び悩んでいるが、同社は「片眼にオキュラルを移植した両眼性疾患の患者について、もう片方の眼に移植するための受注が入り始めている」(決算短信より)と説明している。

 再生医療受託事業の売り上げは3億951万円(同34.1%減)だった。前年同期に帝人からのマイルストーン収入があった関係で、減少幅が大きかったという。研究用ヒト培養組織「ラボサイト」シリーズを含む研究開発支援事業の売り上げは1億917万円(同5.6%減)だった。同社は「海外からの引き合いは増加しているものの、国内大口顧客の利用が一段落した」(決算短信より)と説明している。

開発中のパイプラインについて、J-TECは今回の説明会で、CD19を標的とした自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法について進捗を明かした。悪性リンパ腫に対する医師主導治験が、名古屋大学で2024年4月に開始されたという(臨床研究等提出・公開システム〔jRCT〕の登録番号はjRCT2043240071)。同社はこのCAR-T療法について、2026年3月期中の販売開始を目指している。

 通期の業績予想としては売上高29億4400万円(前年同期比17.1%増)、営業利益1億2000万円(同17.0%減)を見込み、2024年3月期に引き続き黒字を維持すると予想した。白斑治療を対象に2023年3月に承認を取得した「ジャスミン」(メラノサイト含有ヒト〔自己〕表皮由来細胞シート)が、2024年10月に保険収載され、発売されたことを受け、畠賢一郎代表取締役社長執行役員は「2025年3月期下期にはジャスミンの販売開始による売り上げ増を目指す」と話した。

 ただしジャスミンについては、保険適用に関する留意事項の中で、使用する医師の要件として(1)皮膚移植術を術者として3例以上実施した経験を持つ常勤の医師であること、あるいは、(2)(1)の要件を満たす医師の指導下で手術を実施する常勤の医師であること──が定められた。畠社長はこの点について、「要件に合致する医師はジェイスの使用経験がある医師に近く、白斑を専門とする皮膚科の医師とは分野が異なる。今後、白斑を専門とする医師に対してジェイスの移植を経験した医師が指導を行うなど、医師との連携を強化し、ジャスミンを使う体制を構築する」と話した。

また、今後の事業について、畠社長は「再生医療等製品は承認を取得して販売することがゴールではない。販売済みの製品について、製造の自動化でコストを削減したり、医療機関への営業活動を進めたりといった活動に一定のリソースをかける。一方で、現時点で詳細には開示できないが、細胞の培養技術や間葉系幹細胞などについて基礎的な研究も進めており、新たなパイプラインのネタもいくつか持っている」と語った。

J-TEC(ジャパン・ティッシュエンジニアリング)のCAR-T療法は、悪性リンパ腫を対象とした革新的な治療法です。以下に詳細を説明します。

CAR-T療法の概要: CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)は、患者自身のT細胞を遺伝子改変してがん細胞を攻撃する能力を高めた細胞を用いる免疫療法です。具体的には、患者の血液からT細胞を採取し、がん細胞の表面にある特定の抗原を認識するように遺伝子改変を行います。その後、改変されたT細胞を再び患者の体内に戻し、がん細胞を攻撃させます。

臨床試験の進捗: 2024年4月に名古屋大学で悪性リンパ腫を対象とした医師主導治験が開始されました。この治験は、患者の安全性と有効性を評価することを目的としています。J-TECは、このCAR-T療法の2026年3月期中の販売開始を目指しています。

期待される効果: CAR-T療法は、従来のがん治療に比べて劇的な治療効果が期待されており、体内で長期間にわたって効果を持続することが確認されています。特に、化学療法や造血細胞移植後に再発した患者に対して有望な治療法とされています。

このように、J-TECのCAR-T療法は、がん治療の新たな可能性を切り開く重要な取り組みです。今後の進展が期待されます。


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