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フォークシンガー・ばんばひろふみ氏と、音楽プロデューサー・長戸大幸氏が圧倒的な音楽知識と豊富な経験で、1950~70年代の洋楽を中心に多くのアーティストがカバーする大ヒット曲やここでしか聴けない激レア音源等を紹介してくれる「OLDIES GOODIES」をご紹介!
ばんばん)こんにちは、ばんばひろふみです。
大幸)長戸大幸です。
ばんばん)今週も始まりました「オールディーズ・グッディーズ」。今週はロックンロールをね。
大幸)そうですね。「ロックンロールの創始者たち」を紹介します。
ばんばん)創始者!
大幸)まず基本の、リトル・リチャード(※注釈1)から。
ばんばん)僕らもやっぱり、全て始まりはロックンロール(※注釈2)でしたよね、日本でもね。
大幸)まずロックンロールって、3コードと言われているギター・コード。最初ギター持って、アレが分かるまで僕らも時間がちょっとかかりましたよね。
ばんばん)ですね。それでみんながセッションするのはロックンロールの「ジョニー・B・ グッド」(※注釈3)とか色々ね。
大幸)「ハウンドドッグ」(※注釈4)とかもみんな同じ。コード進行が一緒なんで。
ばんばん)一緒ですよね。でもそれぞれに個性がすごく出るという。
大幸)はい。
ばんばん)今日はそのロックンロールの魅力をたっぷり大幸さんに説明してもらいます。
大幸)まずは、ビートルズの「のっぽのサリー」(※注釈5)から聴いてください。
大幸)ポールが高い声を出して歌ってますね。
ばんばん)僕らビートルズ世代の人間っていうのは、ロックンロールといったらやっぱりビートルズで知りましたよね。
大幸)はい。
ばんばん)で、ポールがコレを歌ってて、すげえかっこよかったやないですか。ほんで「コレ、誰や?」ということで遡っていくと、実はビートルズで。僕もみんなも、最初はポールのオリジナルかと思ってましたよね。
大幸)(笑)。僕はね、もう少し古かったんですよ。(ロックンロールは)プレスリーから入ってます。
ばんばん)エルヴィス・プレスリー(※注釈6)っていうと、「ハウンドドッグ」とかあの辺でね。
大幸)では、まずリトル・リチャードの「Long Tall Sally」(※注釈7)を。タイガースの岸部一徳さん(※注釈8)が「サリー」っていうのは、ロングトールだったからなんです。
ばんばん)あっ、あの人背が高いから? そうか、それで「サリー」っていう名前になった(笑)
大幸)そうそう。
ばんばん)なるほど。あの〜、リトル・リチャードっていう人は、後で見た時に驚いたんですけど、なんか化粧をして服装もきらびやかな風貌で、それでピアノを弾きながら歌うと突然ワーッとなるんですよね。すごくかっこよかったですけど。
大幸)はい。でも彼は同性愛好者って小さい時から自分で言っていて。
ばんばん)そうですよね。当時からカミングアウトしてんるですよね。
大幸)そう、カミングアウトしてるんだけど、もう家では養えないってことで父親から追い出されるんです。それで白人家庭の養子になるんですよ。
ばんばん)へ~そうなんですか。だからああいう、ある意味女装みたいな恰好でロックンロールを歌うという。
大幸)はい。
ばんばん)そのミスマッチのすごさが、なんか良かったですよね。
大幸)そうです。しかも足を上げて歌ったりだとか、後のエルトン・ジョン(※注釈9)たちがやってたようなことを。
ばんばん)あれの原型は全部。
大幸)彼ですよね。
ばんばん)ポール・マッカートニーなんて、リトル・リチャード大好きですよね。
大幸)そうそう。あの「フゥー♪」っていう所とか、そっくり真似てる。
ばんばん)似てますよね。
大幸)じゃあ、そのリトル・リチャードで「Long Tall Sally」。
ばんばん)リトル・リチャードを聴いていただいんですけど、これは彼自身が作ったんでしょう?
大幸)はい。
ばんばん)で、「あ゛ぁー♪」「アゥー♪」とか。
大幸)「フゥー♪」とかね。
ばんばん)そう。アレも全部リトル・リチャードが編み出したというか。
大幸)そうでしょうね。
ばんばん)すごいですよね。
大幸)だからもう本当にロックンロールの創始者ですよ。
ばんばん)ですよね。それ以前が何もなかったじゃないですか。
大幸)そうですね。
ばんばん)突然、こういうことを作ったわけでしょう?
大幸)はい。プレスリーとかにもすごく影響を与えてると思います。
ばんばん)プレスリーも結構ロックンロールですよね。
大幸)はいはい。この「Long Tall Sally」(※注釈10)も歌ってるんで。じゃあプレスリーを聴いてください。
ばんばん)エルヴィスの「Long Tall Sally」を聴いていただいてますけど、やっぱりビートルズとエルヴィスを聴き比べたら、ビートルズの方がリトル・リチャードのエグさみたいなものをそのまま継承してますよね。
大幸)はい。
ばんばん)エルヴィスになるとちょっとこう、変えてますよね。そこら辺が面白いなと。大スターやったからですかね。
大幸)はっはっ、どうでしょうね(笑)。ところで、僕はリトル・リチャードは「Jenny Jenny 」(※注釈11)って曲で初めて知ったんです。
ばんばん)コレ、鈴木やすし(※注釈12)さんの「Jenny Jenny Jenny~♪」ってやつでしょう?
大幸)そうそう、それをちょっと聴いてください。
大幸)リトル・リチャードって1955年にデビューして、1957年に突然引退するんですよ。2年後に。
ばんばん)あっそうなんですか、何してたの?
大幸)大学に行って神学を学んで、牧師になるんです。牧師になってゴスペルを歌ってた。
ばんばん)え~牧師になるんですか? はあ~。
大幸)だからたった2年間で辞めちゃったので何かあったのかな? 例えば事務所と喧嘩したとか、分からないけど。
ばんばん)あ~当時ね。まあそういうただたんに神の教えを求めるために牧師になったんじゃなくて、そういう風に追いやられたというようなことなんですか?
大幸)う〜ん。それでまた1962年にカムバックするんですけどね。
ばんばん)ほう。
大幸)そのカムバックした時の前座がビートルズだったんです。
ばんばん)はあ~、時代がそこへ遡ってくるわけですか。それでビートルズはリトル・リチャードを生で聴いて影響を受けた!?
大幸)そうそう。で、その時リチャードのバックでギターを弾いてたのがジミー・ペイジ(※注釈13)。後のね。
ばんばん)へえ~、リトル・リチャードのバックで?
大幸)スタジオ・ミュージシャンやってたジミー・ペイジが、ヤードバーズ(※注釈14)に入る前のことです。
ばんばん)ほう~、そうなんですか。
大幸)ヤードバーズをエリック・クラプトン(※注釈15)が辞めた後にジミー・ペイジに話すんですけれども、「ちょっとやっぱやりたくない」と言って、ジェフ・ベックに譲るんです。バックミュージシャンの方が食えてたみたいで。でも結局、入るんですけどね、ヤードバーズに。
ばんばん)そうですね、最後はね。
大幸)入って、名前を変えてレッド・ツェッペリンになってということだけども……。今日のテーマは「KANSAS CITY」(※注釈16)という曲がありまして。
ばんばん)これも、僕らビートルズで知りましたけど。
大幸)そうなんですよ。これ元々はジェリー・リーバーとマイク・ストーラーっていう人の曲、いわゆるリーバー&ストーラー作品(※注釈17)っていうのが当時業界では有名で、この人たちが作った一番有名な曲がベン・E・キング(※注釈18)の「STAND BY ME」(※注釈19)。
ばんばん)映画でも大ヒットして、もうスタンダード・ナンバーですよね。
大幸)そうそう。あと「Hound Dog」(※注釈20)も「監獄ロック」(※注釈21)も彼らの作品なんですよ。
ばんばん)すごいじゃないですか。この人は白人?
大幸)白人です。「Hound Dog」っていうのは別にプレスリーに最初書いたんじゃなくて、違う女性に書いたんだけど、それがプレスリーに話がいくんですけどね。
ばんばん)まあ、僕らはプレスリーのヒット曲で知ってますよね。
大幸)はい。知ってるけど、まずは彼らが作った1952年の「KANSAS CITY」を聴いてもらいましょう。リトル・ウィリー・リトルフィールド(※注釈22)っていう長い名前ですけど、リトルが付いてるからやっぱり若かったかもしれないですよね。
ばんばん)うん。じゃあリトル・ウィリー・リトルフィールドのバージョン「KANSAS CITY」をどうぞ。
ばんばん)僕が持ってるビートルズのポールの歌のイメージと違って、原曲はもっとなんかリズム&ブルースっぽいですね。
大幸)そうですね。これはやっぱりリーバー&ストーラーの感じでヒットしたんですけども、1952年なのでロックンロールが出てくる前ですよね。(※注釈23)
ばんばん)はっは~。
大幸)で、コレをですね〜。あっ、説明に入る前にそのリーバー&ストーラーのベン・E・キング聴いてみましょうか。「Stand By Me」。
大幸)ベン・E・キングは、元々ザ・ドリフターズ(※注釈24)のヴォーカルです。「ラストダンスは私に」(※注釈25)とか。
ばんばん)ねっ。「アンダー・ザ・ボードウォーク」とか。
大幸)そう。そのグループのヴォーカルだったんですよ。
ばんばん)この歌は、またジョン・レノンがカバーして大ヒットしてますね。
大幸)そうですね。またどこかでかけましょうか。まっ、今日かけてもいいんですけど(笑)。かけます?
ばんばん)ジョン・レノンもいきましょうか。
大幸)ジョン・レノンの「Stand By Me」(※注釈26)もかけてください(笑)
大幸)それでまたまた「カンサス・シティ」に戻るんですけど、1959年かな?「カンサス・シティ」のカバーレコードがいっぱい出てまして。
同じ頃にカバーした中で元の原曲に近い感じでやってるのがウィルバート・ハリソン(※注釈27)っていう人で、これもジャケットを見たらブルーのジャケットで。
ばんばん)なんかドラをゴーンとド突いてる写真で(笑)。
大幸)はい(笑)。まずこれ聴いてみましょう。
大幸)それで、この曲で話しとかないとまずいのは、ビートルズのこの曲って「hey hey hey hey」って出てくるでしょう?
ばんばん)「hey hey hey hey~♪」。
大幸)リトル・リチャードで「Hey Hey Hey Hey」(※注釈28)って曲があるんです。
ばんばん)ああそっか、その曲を二つ繋げたと。ビートルズが?
大幸)そう。だから結局、僕らはみんな「カンサス・シティ」として聴いてるんだけど、当時問題になったのは「カンサス・シティ」っていうのは、いわゆるリーバー&ストーラーとリトル・リチャードの共作という形になってまして、最終的に「KANSAS CITY / HEY HEY HEY HEY」っていうタイトルに変わるんですよ。
ばんばん)あ~そうなんですか。
大幸)そのリトル・リチャードの「Hey Hey Hey Hey」聴いてください。
ばんばん)これはすごいですね。
大幸)うん。だからビートルズはリトル・リチャード・バージョンをカバーしたんですよ。だから「Hey Hey Hey」が出てくる。
ばんばん)ということは、リトル・リチャードはその「カンサス・シティ」を歌って、ほんで自分が作った「Hey Hey Hey Hey」を繋げてやったわけですか。
大幸)入れて、やってたんです。
ばんばん)で、それをビートルズが聴いて、それが「カンサス・シティ」だと思ったと。
大幸)そう。
ばんばん)はっは~。
大幸)というわけで、ビートルズの「カンサス・シティ」(※注釈29)を聴いてみてください。
大幸)「カンサス・シティー」も聴いていただきましたけど、これ1997年にモントセラト島救済コンサート(※注釈30)っていうのがあって、ここにカール・パーキンス、エルトン・ジョン、スティング、エリック・クラプトン、ポール・マッカートニーが出てるんです。その時の「カンサス・シティ」を聴いてください。
ばんばん)ほう、錚々たるメンバー! どうぞ。
ばんばん)今のは色んな人がセッション?
大幸)はい。
ばんばん)ポールが歌ってるんですよね?
大幸)そう。まずカール・パーキンスが最初の間奏で弾いて、ジョージ・マーティンがピアノを弾いて〜。
ばんばん)すごいピアノでしたね。リード・ギターは?
大幸)リードは、最後のソロがクラプトンですね。
ばんばん)すごいメンバーでやった「カンサス・シティ」でした。
大幸)はい。ではそのリトル・リチャードの「カンサス・シティ」(※注釈31)聴いてみましょう。
ばんばん)今リトル・リチャードを聴いてふと思ったんですけど、ビートルズが演奏してる「カンサス・シティ」って結構カントリーチックでしょう? でも、リトル・リチャードが演奏するとやっぱり違いますね。カントリーにはならない。これが正規の「カンサス・シティ」なんですか?
大幸)まあそうでしょうね。彼はいわゆる最初のゲイですからね。黒人のゲイっていうことは、これ結局グラム・ロックにも影響を与えるじゃないですか。T-REX(※注釈32)とか。
ばんばん)T-REX 、マークボラン(※注釈33)ですね。
大幸)あとロキシー・ミュージック(※注釈34)やプリンス(※注釈35)とか。
ばんばん)ああ~、全部脈々とリトル・リチャードから、そういう見た目も繋がっていってると。
大幸)そうですね。でもう一つ、リトル・リチャードに「愛しておくれ」って曲があるんですけど。
ばんばん)タイトルが、「センド・ミー・サム・ラヴィン」(※注釈36)。
大幸)これ、僕ね高校一年生の時に、ポール岡田(※注釈37)という人と一緒にバンド組むんだけども。
ばんばん)ああ、お友達の同級生と。
大幸)そうそう。彼と初めて話していた時のレコードがこの曲だったんです。私としては忘れられない曲なんですよ。
ばんばん)じゃあわりと思い出の曲なんですね。
大幸)はい。
ばんばん)では、リトル・リチャードで「センド・ミー・サム・ラヴィン」。
ばんばん)リトル・リチャードって、ロックンロールでバリバリガンガンいく、それとこういうバラードっていったら変ですけど、こういうのもすごくいいですね。
大幸)ロックンロールの創始者の一人で、そのいわゆるゲイみたいに足を上げて弾くんではなく、ちゃんとピアノを弾きながらブギウギをやってる人が、ファッツ・ドミノ(※注釈38)って人がいるんですけど。
ばんばん)ファッツ・ドミノね。丸山音楽堂でファッツ・ドミノ来た時観たら、びっくりしたのがピアノを押しながら楽屋へ消えていった。あの人ごっつい太ってるでしょう?
大幸)うわぁ〜。
ばんばん)すごいな~みたいな。
大幸)まあファッツっていうくらいですから(笑)
ばんばん)そうですね、太ったドミノ(笑)
大幸)(笑)。さっきのリトル・リチャードもそうだけど、スティービー・ワンダー(※注釈39)も昔デビューした時はリトル・スティービー・ワンダーって呼ばれてましたね。
ばんばん)そうでしたね。
大幸)リトルっていうのは、「かわいい」とか「若い」とかそういう意味があると思うんですけどね。だからリトル・ペギー・マーチも、後々ペギー・マーチ(※注釈40)になりましたね。
ばんばん)あ~そうですね、リトル付きましたね、昔はよく。
大幸)はい。で、その前に「レディ・マドンナ」ってビートルズの曲があるんで、これをまず聴いてほしいんです。「レディ・マドンナ」は結局、「ファッツ・ドミノのブギウギみたいな感じで作ってそれ風に歌った」ってポールが言ってるんですよ。ちょっと声を変えて。
ばんばん)はいはい。
大幸)その「レディ・マドンナ」(※注釈41)をまず聴いてください。続いてファッツ・ドミノの大ヒット曲「ブルーベリー・ヒル」(※注釈42)を。
ばんばん)ばんばん&大幸の「オールディーズ・グッディーズ」。今週はロックンロールということで、リトル・リチャードを中心に聴いていただきましたけど、なんか僕らの世代でロックを聴くとやっぱり血が踊りますね。
大幸)はい。
ばんばん)ということで、来週は?
大幸)チャック・ベリー(※注釈43)で。
ばんばん)ロック&ロールが続きますか! リトル・リチャード同様、チャック・ベリーも紹介しないとロックが語れないですよね。是非お楽しみにしていただきたいと思います。それではまた来週。
二人)さようなら。