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未来を身近に感じる3週間|ParsonsのSummer Intensive Studiesを終えて
イントロダクション
コース概略と参加した目的
こんにちは。この秋からParsons School of DesignのStrategic Design & Managementコースに進学予定の森川です。修士プログラムがはじまる前に、Parsonsが一般向けに提供しているSummer Intensive Studiesに参加してきました。
SIS(Summer Intensive Studies)では、Parsonsの看板学部・ファッションデザインや、インダストリアルデザインを含む多くの学部がコースを提供しています。今回は進学先であるStrategic Design領域が提供している「Design Strategiesコース」を受講しました。
期待と実際の経験の比較
期待を大幅に上回り、非常に満足度の高い3週間でした。コース登録時にはインストラクターも未定で、実はあまり期待していなかったのです。が、蓋を開ければインストラクターもクラスメイトも素晴らしかったです。19歳以上であればParsonsの学生以外でも誰でも受講できるため、デザインスクール留学を考えている大学生/少し長めの夏休みが取れる社会人など、多くの方におすすめしたいです。
コースの概要
Design Strategiesコースとは何か
授業では、カルチャー/トレンドから未来を描くSpeculative Designの領域がメインで扱われました。講義/ゲストスピーカーによるレクチャー/フィールドワーク/チームワークが効果的に組み合わされ、3週間で未来をデザインするアプローチを理解できます。
ちなみに、最後までインストラクターから「デザインストラテジーとは何か」を明確に語られることはありませんでしたし、Speculative Designのコースであると言われたわけでもありません。コースのネーミングは非常に難しく、何度も試行錯誤した結果、今の形に落ち着いているとのこと。
コースで扱われた主要なトピックとテーマ
Generative AIをデザイン戦略のツールとして使うことを根底に、未来の食、未来のブランド、未来のXX(テーマも各自が設定)について扱いました。
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週別ブレイクダウン
第1週:未来の食|ChatGPTとMidJourney
Foodの未来がどうなっていくかについて1週間かけて考えていきます。考察に向け、必要となる講義・フィールドトリップ・ゲストスピーカー・チームワークが用意されています。
フィールドワークにはMCNY(Museum of the City of New York)へ行きました。ちょうどFood in New Yorkの展示をしていたため、発想を膨らませていきます。
この週で一番驚いたことは、Generative AIを使い倒すことでした。ChatGPTに「食に関する未来のアフォーダンスをリストして」と言えばあっという間に発想の骨子が出来上がります。また、それらをもとに「XXXXな未来の食のサービスをイメージして」とMidJourneyに指示し、自らが思いもよらなかった発想が可視化されていきます。
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第2週:未来のブランド|Semiotics, Codes, Emergent Archetype
Brandとは何か、Brand Strategyとは何かについて考えを深めていきます。Semiotics / Codesに関する簡単な説明があり、言葉の持つ意味からBrandの表現しているメッセージにどのようなコンテクストが反映されているかを深掘りしていきます。
SignやCodeに関する理解を深めるため、この週はCooper Hewittミュージアムでシンボルに関する展示にいきました。
最終的に、既存のブランドアーキタイプと新興するアーキタイプについてSignやCode分析を通して可視化し、新たなブランドのコンセプトを考えていきました。
第3週:未来のXX|Design Fiction, Contextual Known/Unknown
いよいよ最終週です。ChatGPTやMidJourneyの使い方は格段に良くなり、終始使われていたMuralの操作性にもすっかり慣れた頃、最後のプロジェクトとして「未来のXX」を考えていきます。インプットとして、Design Fictionとは何か、ジョハリの窓の考え方を使った「Unknown」領域の特定について学びます。
授業で紹介された"The future of"というNetflixのシリーズで「死後の世界」が扱われていたことをきっかけに、「未来の死」について考えていきました。
https://www.netflix.com/title/81123425
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学んだこと
未来洞察はただの妄想ではない
未来洞察は調査力/論理的思考力/抽象化のオリジナリティの賜物であると痛感しました。
🔮未来シナリオ
— kodo🗽デザインスクール留学 (@_3101m) July 25, 2023
Matt Klein(https://t.co/hw67ED6BWB)にお会いしました。
Futuristの仕事は想像以上に調査力/論理的思考力/抽象化のオリジナリティが必要と感じました。文化と人への眼差しが鋭い。
つい目新しさで顧客に提案しそうだけど、業界水準を下げない成果物になっているか考えないと…🧐
上記のゲストスピーカーだけでなく、インストラクターの知識量、分析量、そしてそれを抽象化するオリジナリティは並大抵のものではないと感じました。さらに、最前線に立っている人々は「クライアントが次の一歩に踏み出せる未来洞察」に徹底的にこだわっていました。
流行っているからという理由で、初心者が未来シナリオ策定を顧客に提案し「結局未来シナリオって何に使うの…?」となってしまわないよう、本当に気をつけるべき分野だと感じます。
デザインはパターン化/抽象化の力
トレンド分析に関するゲストスピーカーの話を聞いていた時です。調査によってバラバラに抽出されたTraitsに対し、フューチャリストが鮮やかにラベリングし、点と点が確かに一つの「Trend」として浮かび上がった瞬間がありました。
デザインとは、論理的にパターン化/抽象化し、一見バラバラに見えるものに規則性を与え、だからこそ美しく見える/見せる営みなんじゃないかなと、何度も感じた3週間でした。
それはグラフィックデザインであってもフューチャーデザインであっても同じで、根幹にはパターンの力があるのではないかなと。そして、そのパターン化の際のフィルターの掛け方にデザイナーの個性(センス)が反映されるものなのだとも感じます。
GenAIはデザイナーのお供だと繰り返していた先生も、最終的にパターンを抽出するのはデザイナーの仕事だと主張していました。大いに同意します。
結論
3週間の時間は、濃く、学びが多く、新たなスキルをたくさん習得できた時間でした。コースインストラクターが知識が豊富で、一つ聞いたら10返してくれるようなパッションのある先生で、大変ありがたかったです。また、12名いたクラスメイトたちも全員が課題に真剣に取り組み非常に高いクオリティの考察を繰り広げていたことも刺激につながりました(先生曰く、今までで一番良いクラスだったとのこと。運が味方しました)。
「ものづくりを伴わないデザインってなに?」「興味はあるけど本当のところどうなの?」という方に、是非お勧めします。
なにか気になる点がある方、是非お気軽にご連絡ください!