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Instagramに載せた短歌

2023年夏からインスタに自作の短歌を載せています。
Xにも、同じ短歌を載せることがあります。

instagram : @mrkmrk1987
X : @mrkmrk1987

この記事はインスタに載せた短歌を見やすいように一覧にしたものです。

・上のほうが最近載せたものです。
・不定期更新で、数首ずつまとめて書き加えていく予定です。
・インスタには過去作から順不同で掲載しているので、古めの歌も新しめの歌もごちゃまぜです。
・インスタ用の画像(手書きのもの)は、インスタ上での見えやすさを優先して2~3行に分けて書いているため、一字空けなどが分かりにくくなっていますが、歌の正式な表記はこちらのページの通りです。



ラップ越しの焼きそばパンの手触りで青春めいた記憶なだれる

シャンシャンはもう親に会うことはない 私の実家暮らしはつづく

地下鉄で水族館へ 気づいたらこんなに海のそばに来ている

この町へ季節の移ろいを知らせるバイパス沿いのココスののぼり

夏の夜のイオンモールの駐車場つないでないほうの手で指す星

低下する気圧を感じる朝 私、本当に地球生まれなのかな

手をつなぐ腕をからます汗をかくGUにもう秋物がある

買った花をときどきのぞきこみながら商店街を歩いて帰る

命日も死因もきっとばらばらで家族それぞれ違うシャンプー

目をつむるだけでも脳は休まって静かな脳は紫陽花のよう

鈴の音で気が狂う日もあるだろうリンリンリンリン遠ざかる猫

イヤリングを外し忘れていつもよりおしゃれな顔で湯船に浸かる

さっき見た景色がツイートされている君の名のアルファベットきれい

柔軟に生きる強さよ祖父好みになんでも甘く煮てあげる祖母

かさぶたを剥がすたび血の赤色に動物として少しおびえる

冷房が寒い電車で抱き合える人がいなくて髪をほどいた

三日月の名の付くパンを食べている この世の終わりはきっと満月

いつまでもここにいちゃだめ画数の多い住所に慣れてしまって

肩こりがひどいと奥歯まで痛い 黄砂は国境を超えてここへ

恋人にならなかったね信号は君の歩いて行くほうが青

空がもう夏になってる メンバーが減ったバンドの物足りなさよ

ずっと好きでいられるのかな 画面越しのキスは君より自分を見てた

花筏にはなれなくてベランダの小さな水たまりにひとひら

老犬の頭に載せた花びらが振り落とされないまま続く春

廃番になったお菓子の歯ざわりを思い出したりして春の夜

いつもなら挨拶だけのおじさんが「楽しみだね」と指さす桜

駅ビルのあちらこちらが春なのに似合うベージュがまだわからない

有名になりそうな人第3位だから捨てない卒業文集

何百個目の薬かな厚み増すお薬手帳はパイ生地のよう

両親は二人がかりで愛犬に服を着せる 孫のいない二人

ホテルでの120分 家に着くまでの片道一時間半

Amazonに自己啓発本ずらーっとおすすめされる私が好きだ

オムライスのやぶれた卵から呪文が逃げないように塗りたくる赤

階段でロングスカートを摘まめば優雅な気持ち 改札口へ

また君が「未来は明るい」と言うから占い全部どうでもいいわ

北風が吹き抜けてゆく無人駅 ちいさくちいさく私がしぼむ

ディストピアみたいな町の銀だこに列 たこやきはハッピーなもの

雪の降る車窓は水墨画のようで目を閉じぬまま終着駅へ

パーカーのフードをかぶり妹は卵焼き焼く 春待つように

S音の名前が似合う恋人とさらりと話す将来のこと

ここじゃない場所でこれじゃないくらしをしたい 早めにめくるカレンダー

満月と聞いて体をくねらせて小さな出窓から空を見る

「猛犬に注意!」あなたが猛犬になってしまった理由きかせて

一日中眠い今日なら夢でみた知らない家にたどり着けそう

君が撮った観覧車ドラマチックでスマホの壁紙にちょうどいい

ストリートビューで眺める街並みの日差しが夏で待ち遠しくて

夜のiPhoneは鈍器の冷たさで(笑)は笑っていない

ひとりでは歩けそうにない雑踏をウォーリーに似た恋人と行く

仕事休みたいと思う暇もなく早々と冷めてゆくポタージュ

ペットショップで飼うことのない子犬抱くことにも慣れて悪い女だ

見た目より不幸なんですクリスマスカラーの下着すすめられても

図書館で本を返してまた借りる 生きられました、まだ生きます、と

できるだけ優しく言おうとする君のゆっくり減ってゆくチーズケーキ

幸せはミスタードーナツの箱に宿っているよ 冬晴れの午後

平積みのマンガこんなに積み上げて都会の本屋はビルの形で

夕食のペペロンチーノを謝られ数十分後のキスを思うよ

三つある持病がどれも死ぬほどのやつじゃないからずっとくるしい

太陽光パネルが増えて故郷の景色だんだん黒っぽくなる

花よりも先に葉っぱが枯れてゆく つらいときほど笑うみたいに

生き別れなんて嫌だな恋人はヴィレッジヴァンガードの藪のなか

残り物のおでんを朝ごはんにして一日がんばれる気がしない

いちょうの葉だけ詰められたゴミ袋 終わらないパーティーがしたいよ

ユニクロを着ない季節がないことが少しこわいね冬の早朝

恋人にしてくれない人ばかり好き みんな名字に濁点がある

「ゆううつ」とフリック入力する指が軽快すぎるから見においで

穏やかに暮らしたかったイニシャルのM.W.が波打っている

お金には困らない人生だって信じているよ小雨を浴びる

間違いじゃないけれど不安な気持ち 広すぎる駐車場を歩く

マスクしたままでキスするふりをしてエレベーターは下界へ向かう

私には学歴も職歴もない百円ショップは物であふれて

ゆるせないけどあきらめるはためいた洗濯物が窓に触れてる

「海老だよ」と知らせてくれる君と行くフードコートにたくさんの海老

がんばれる体が欲しい 冷たいと分かっていてもベンチに座る

「ディズニーランドみたいだね」って指差した東京駅のレンガの駅舎

君の住む街の色合いを眺める 街と町では彩度が違う

妹のものだとわかる金色の抜け毛を捨てる もう似てないね

夕暮れの空や落ち葉の色合いを気にも留めずに生きられたなら

できるだけ涼しい場所で眠らせる君にもらったブローチの犬

辞めるのはどの子だろうかタップして知らないアイドルを拡大する

パンケーキ一口分けてくれるとき君は恋人というより親鳥

閉店の張り紙が好き 会ったことないあなたにも人生がある

自撮りするカップル以外無表情マクドナルドの夜は更けゆく

この町へ「ダーツの旅」が来るかもと思って暮らす希望のように

今はもう死にたくなくなったんだな非常食としてソイジョイを買う

「今年蚊に刺されてない」と言う従姉ずっとあなたになりたいんだよ

おたがいに初めて見るおたがいの絵 ホテルのメモ帳を持ち帰る

君の口から知らない星の名を聞く 私たちよく出会えましたね

何もかも気圧のせいにしておけば誰も傷つかない空の下

目を閉じて蝉の声を聞く古書店は不安なく目を閉じられる場所

夏フェスに行くことはなく洗顔をおろそかにして日曜の朝

蚊以外の虫は素手ではつぶさない好きなことしてお金が欲しい

どの花が私っぽいか選んでる君は花より木のような人

音はするのに見えなくて夏の夜の暴走族は花火のように

私まだ何もしてない 朝ドラのヒロインはもう子どもが生まれ

祝日も命日も忘れてしまう私のバッグ今日も重たい

あかい月 「この世の終わりかもね」って言われてそれでいい気もしてる

ハミングでイントロクイズする 残したい瞬間はいつも撮れない

手を振って別々の家へと帰る 「さみしそう」って言うのに、君は

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