百合小説「絵里と紗耶の帰り道」
友達だと、思っていた。
半袖だと少し涼しく感じられる季節の境目。いつもと同じ下校中の、私と紗耶の分かれ道の曲がり角で、紗耶は振り返って私を見つめた。いつもなら「また明日」と別れるところなのに、紗耶は私を見つめたまま黙っている。
「どうしたの、紗耶?」
真剣な眼差しで見つめ続ける彼女に耐えきれなくなり、私は声を掛けた。彼女は黙ったまま「ううん」と首を振り、私を見つめ続ける。いつもと違う彼女の様子に、私は少し不安になりながら彼女の言葉を待った。
私たちの横を車が通り抜けた