全日本大学駅伝関東予選2023

全日本大学駅伝関東選考会概要

ルール

・10000mのタイムレースを4組行う
・各校1組あたり2人走る
・走った計8名の合計タイムの早い順に順位決定

特徴

例年6月に開催されます。6月は高温多湿で、レース条件としてはかなりタフになります。

特に高温という条件は、脱水症状を引き起こしやすく、力のある選手でも、フラフラになりながらなんとかゴールしたり、あるいは途中棄権となったりします。

実際、近年では、2018年に中央大学が最初のレースである1組目から途中棄権が出ました。この当時は、中山顕(現Honda)、堀尾謙介(現九電工)が4年生で、久々の突破も期待されてただけに、インパクトも大きかったと思われます。

そんなこともあり、箱根常連校ですらもこの予選を突破できないという大波乱が起こりうる、目が離せないレースとなります。

また、選手起用は、エース格を1番後ろから順に置くという戦略がよく取られます。すなわち、4組目がエースの対決となります。

それでは次から各組のレースをざっと振り返ります。

1組目

例年、スタートから牽制し合い、スローペースとなる1組目、トップのタイムも30:00を切ればというところで、今年もそのような展開になりました。

最初は、砂川大河(山梨学院3年)や福田翔(帝京3年)が引っ張っていきます。

そんな中3000m過ぎ、大野悠翔(芝浦工業3年)の足が釣るアクシデントがありました。なんとか走り出そうとしますが、歩くのもままならない状態にもなり無念の途中棄権となりました。やはり、6月の全日本予選は鬼門であると改めて感じさせられました。

中盤は喜早駿介(東海4年)、永本脩(東海1年)の東海コンビが引っ張り、8500mに佐竹勇樹(大東文化4年)が飛び出します。まずこの飛び出しに反応したのは、安藤圭佑(立教3年)、林晃耀(城西3年)でした。

最終的にラスト一周で、城西の林が大爆走スパートをかけ見事30:03.40で1位を獲得しました。
林といえば、第99回箱根駅伝で7区を任され1:03:58 区間順位9位 タイム偏差値52.41の記録を残しました。そこでも次の区間につながるラストスパートをかけてましたね。城西にとっては波に乗っていける1着になりました。

2組目

レース前から、ワンジル(大東文化3年)がいるため、また独走するのではという予想があったり、そのワンジルと10000mの自己ベストが2秒しか変わらない実力者の白井勇佑(東京国際3年)がついていくのではという予想も立てられたりはしました。

スタートして1周、真っ先に前に出たのは、志賀智也(芝浦工業3年)でした。1組目で、途中棄権となった同学年の大野のために、少しでも爪痕を残そうという勇気のある飛び出しとなりました。

しかし、気が付けばそこにワンジルがついていき、あっという間に追い抜き、あとは一人旅。今年もワンジル劇場の幕が上がりました。

ただ後ろから、宇津野篤(神奈川4年)が一人集団から抜け出す場面もありましたが、2600m付近で吸収されたりと、以降は集団はひとまとまりで走っていました。

トップのワンジルが6600mが通過するあたりに大事件が起こりました。それは、ワンジルが後ろの集団に追いついてしまったのです。つまり全員周回遅れにしてしまいました。さらにあろうことか8000m過ぎからは、その集団から抜け出してしまうというカオスな状況になりました。

さすがに、この状況に対して集団も黙ってられません。白井、水野龍志(東海3年)がこの状況を打破するべく抜け出します。

そのように集団がばらけてるのを横目にワンジルが見事今年も1着(29:00.50)でフィニッシュしました。

3組目

最初の1周は大牽制。みんなが「え??マジで??誰もいかんの??」と言わんばかりの表情でした。そこから高槻芳照(東京農業4年)、山中博生(帝京3年)、山本羅生(立教3年)の3人が飛び出していきます。

5000m付近から徐々に山本が遅れ始め、高槻と山中の一騎打ちというか、引っ張り合いが続きます。

8000m付近から全体的にペースアップ、集団がばらけ始め、野村颯斗(城西4年)西川千青(大東文化3年)西代雄豪(大東文化3年)が抜け始めます。

ラスト1周、ずっと先頭を引っ張ていた東京農業・高槻、帝京・山中を、ついに城西・野村が追い抜き、見事29:40.85で1位を獲得しました。

特に、ラストは小刻みに速い足の回転でグイグイ前に出る野村と、長い足でガンガン前に出ていく高槻・山中の走りのコントラストは、見ていて気持ち良いものでした。

4組目

エースの集う4組目、留学生が先頭集団を作り、少し後方で日本人先頭集団ができるという構図になりがちです。

最初の2000m過ぎたあたりでは、留学生の作る先頭集団に、吉田礼志(中央学院3年)橋本章央(芝浦工業3年)松永怜(法政4年)並木寧音(東京農業4年)山本唯翔(城西4年)片川祐大(亜細亜3年)前田和摩(東京農業1年)が果敢についていきます。

5000m過ぎ、先頭のムトゥク(山梨学院2年)がペースを一気に上げます。このペースアップに一時はついていける選手もいましたが、そこから1000m経った6000mの通過、タイムも16:50前後とこんな暑い中で28分切りも夢ではないペース、先頭集団を形成していたのは次の5人でした。

・ジェームスムトゥク(山梨学院2年)
・ピーターカマウ(国士館3年)
・アモスベット(東京国際1年)
・デイビットシュンゲヤ(麗澤2年)
・カズママエダ(東京農業1年)

やっぱり全員留学生か、、、んんん??
そうですね、カズママエダは日本人です。なんとルーキー、まだ大学に入学して2か月の前田が、過酷な状況下で異次元のペースを刻んでいました。しかもトラックでの10000mは初なのです。

そしてなんとラスト1周手前、全員を置いて彼はついに先頭に出ました!!これには、東京農業の応援スペースも大盛り上がり!!全体のうち28:03.51で3着を勝ち取りました。

総合結果

  1. 城西 ※3年ぶり

  2. 大東文化

  3. 東海

  4. 東京国際

  5. 東京農業 ※14年ぶり

  6. 帝京 ※2年ぶり

  7. 国士館 ※7年ぶり

結果としては、通過濃厚とみられた明治、中央学院や昨年トップの神奈川が落選するという波乱の展開となりました。


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