願いは何型?
『ねえ、カナは願い事、何にする?』
ミホは七夕の短冊を手にしながら嬉しそうに言った。
ここは学校帰りにふたりで寄る馴染みの喫茶店。私たちは学園祭の企画で飾ることになった七夕の短冊にそれぞれの願い事を書こうとしていた。
『うーん、どうしようかな。こういうの、小学生以来だよね?』
『うん。こうやって想いを紙に書くのは、あんまないよね』
『願い事って、いざ書こうとすると、なかなか思い浮かばなくない? ミホは未来型と現在型どっちにするの?』
『未来型と現在型?』
『うん。未来型はホニャララが実現できますようにって願うやつで、現在型は今のホニャララな幸せが続きますようにっての』
『ああー。それなら、私は・・・過去型かな』
『過去型ぁ〜? 過去はもう終わったことだから叶ってるんじゃないの?』
『うん。見えている過去じゃなく、見えていない過去だよ』
『見えていない過去?』
『そう。言い換えたえら、すでに起こっている未来のことかな』
『わー、久々のヘンテコ発言だね。でもそれってたしか未来も過去も、今ここにあるって意味でしょ?』
『そうそう。すべてはここにあるって捉えちゃうと、いろいろヘンテコ発言になっちゃうのよね。つまり未来が、先の未来ですでに起こっているとすれば、それは叶ってる未来なの』
『そっかー。けど、そんな未来、どうやって願うの?』
『もう起こっている未来。それは感謝だよ。私はホニャララな未来をありがとうって書こうかな』
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