頭部疾患と撮像技術(腫瘍・炎症)
腫瘍・炎症・脊髄疾患を中心とした対策問題です。
★過去問CHECK★
第19回(1)読影(33)頭部疾患
第17回(34)読影
第16回(32)読影
第15回(2)撮像法
第14回(40)造影検査
第13回(17)DWI
第12回(48)頭部疾患
第11回(6)小脳橋角部(9)DWI(18)下垂体
第10回(2)頭部疾患(15)頭部疾患
第9回(33)頭部撮像技術
第8回(11)頭部疾患(16)DWI(17)下垂体
第7回(11)脳疾患所見
第6回(1)脊髄疾患(5)下垂体
過去問は日本磁気共鳴専門技術者認定機構のホームページにPDFデータが公開されておりますのでそちらをご活用ください★
★脳神経解剖に関する対策はこちら★
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問題1 頭部撮像法
正しい記述はどれか.
高濃度酸素を投与しているとSWI(susceptibility-weighted imaging)で静脈を過大評価することがある.
高濃度酸素を投与しているとFLAIR(fluid-attenuated inversion-recovery)で脳溝が高信号になることがある.
小脳橋角部ではThin sliceなどの高分解能画像が有用である.
造影剤は血液脳関門の破綻した部分で血管内の造影増強効果を示す.
頭部造影MRI検査において骨転移を判読するために少なくとも横断像には脂肪抑制を付加する必要がある.
【解答】
静脈を過小評価することがある
O
O
X 血管外の造影増強効果を示す.
O
【解説】
SWIでは静脈内のデオキシヘモグロビンを低信号域として描出する.高濃度酸素投与により静脈血内のデオキシヘモグロビン濃度が低下する(オキシヘモグロビン濃度は上昇)と,静脈描出の過小評価につながることがある.
高濃度酸素の投与はFLAIRにおいて脳溝が高信号になるため,くも膜下出血や髄膜炎などのようにFLAIRで脳溝が高信号になる病変と誤診してしまう可能性があるため,読影医とのコミュニケーションするなど注意が必要である.
FLAIRでくも膜下腔が高信号を示す病態としては,くも膜下出血や髄膜炎の他に髄膜播種,もやもや病,脳梗塞,静脈洞血栓症などがある.小脳橋角部の撮像は撮像範囲を絞り,高分解能かつ薄いスライスで撮像するのが望ましい.ただし病変についての情報が少なく,範囲が明らかでない場合などは,頭全体ルーチンとしてのT2強調像Axialを撮像してから範囲を絞ることも必要.造影剤の投与はほとんどの腫瘍性病変で必須となる.
造影剤使用による臨床的有用性は,脳血管関門を有する臓器では関門の破綻の程度に応じた増強効果が得られる点である.
関連問題として第9回(33)では「脳内には血液脳関門が存在するので,通常は髄膜,脈絡叢,脳室周囲器官以外は造影されない」という設問があったがこれは正しい.
また第14回(40)では「松果体は早期に増強効果を示す」という設問があったがこれも正しい.松果体は血液脳関門が存在しない脳室周囲器官にあたるため,早期に造影される.頭蓋骨骨転移の推奨シーケンスについて明記されている文献を見つけることができなかったが,一般的には正しいと考える.頭部は脂肪抑制が均一にかかりやすく,正常骨信号が均一に落ちるため造影T1強調像で転移部分が染まる.単純T1強調像でも横断像はルーチンで撮像しているはずなので,撮像断面は造影前と造影後の比較ができるように横断像で問題ないと考える.
ちなみにわが国で骨転移しやすい原発がんは①乳がん,②前立腺がん,③肺がんである.
問題2 頭部疾患の撮像技術
以下の記述は正しいか答えよ.
(1)転移性脳腫瘍
小さな転移性脳腫瘍の検出が求められる場合は造影剤の倍量投与が有用である.
【解答】O
転移性病変の検出能はGd造影剤の投与量を増やすことで向上させることができる.転移性脳腫瘍の大部分はGd造影剤でよく造影され,造影CTで検出できないような多くの転移性病変を鋭敏に検出することができる.
(2)神経鞘腫
神経鞘腫は造影効果が低い.
脊髄の髄内腫瘍の代表的なものに神経鞘腫がある.
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