コント『作曲界の巨匠風』
作曲家の巨匠の様な見た目の男(大澤田)がパソコンの前で苦悩している。
その様子を不安そうに加藤が見ている。
加藤「先生、新曲出来そうですか…?」
大澤田「うむ…。良いメロディが全く降りて来ない…。」
加藤「数々の名曲を世に送り出して来たと言われている作曲界の巨匠、大澤田進先生にもスランプってのはあるんですねぇ…。」
大澤田「こんな事は二度目だよ…。」
加藤「前にもあったんですねぇ。その時はどうやってスランプを切り抜けたんですか?」
大澤田「その時か…。はっ!そうだ。前回こうなってしまった時は自分の過去の作品を振り返っていたらまた良いメロディが浮かぶ様になってきたんだよ。」
加藤「おお!それですよ!聴きましょう!過去の先生の曲!実は申し上げにくいのですが、僕もまだこのレコード会社に入ったばかりでして、先生の過去作を詳しく聴けてなくて…。」
大澤田「あぁ、そんなのは良いんだ。じゃあここで私の生み出した子達を一緒に聴いてくれたまえ。じゃあまずは…。」
大澤田パソコンを操作する
大澤田「この曲は私の代表作でねぇ、今でも根強い人気のある子なんだよ。」
加藤「おお!代表作!楽しみです!!」
SE「♪ドンドンドンドーンキドンキホ~テ~」
加藤「え?え?え?あー、なるほどそういう…。ちょっ一回止めて下さい一回。」
大澤田「む?どうしたのかね?」
加藤「僕、この曲知ってました。」
大澤田「おお、それは嬉しいねぇ。」
加藤「でも…そういう感じなんすねぇ…。」
大澤田「ん?そういう感じ?」
加藤「いや、あの、先生めちゃめちゃ巨匠感出てたんでこういう人ってもっとこうクラシックとか作曲してんのかなぁ?と思ったらバリバリポップな感じで…。(笑)」
大澤田「む?クラシック?ああ、そういうのが好みかね?ではそういった子を…。」
大澤田パソコンを操作する。
加藤「ああ、ちゃんとあるんですねそういう曲も。」
大澤田「これなんてどうかな?」
SE「♪ピアノ売ってちょうだ~い♪みんなまぁるくタケモトピアノ~」
加藤「違う違う違う違う、クラシックじゃないなぁこれは。ド直球のCMソングだな。」
大澤田「この子も思い入れ深い曲だねぇ。」
加藤「あと多分こういう曲作る人自分の作品の事『子』とか呼ばないと思いますよ。(笑)」
大澤田「あ、思い入れ深いと言えば今までで一番制作に時間がかかった曲はあれだなぁ。確か10年くらい練ってやっと出来たんだよ。」
加藤「10年?!そんなに費やした作品があるんですね…。それは聴いてみたいですね…。」
大澤田「確か…、これだな。」
SE「♪本を売るならBOOK・OFF」
加藤「これに10年ですか?!え、この2,3秒に?!」
大澤田「この2,3秒に。」
加藤「10年?!」
大澤田「10年。」
加藤「かぁ~きつい仕事だなぁ。(笑)」
大澤田「なんどもBOOK・OFF側から『まだですか?』と催促されたもんだよハッハッハッ。」
加藤「そりゃそうですよ。BOOK・OFF側もえ?え?そんなに難しい仕事依頼しましたっけ?ってなってたでしょうね。」
大澤田「あぁ、そうだ。昔インストゥルメンタルにハマってた事もあるんだよ。」
加藤「インストゥル…あぁ、あの歌とかが入ってない音だけの曲ですよね。」
大澤田「ああ、そうだ。この曲なんだがね。」
加藤「はぁ…。まぁでも歌とかが入ってないならCMソングとかでもなさそうだし…。」
SE「ピーーーーーンポーーーーーン(JRの駅で流れる効果音)」
加藤「ん?ん?ん?なんすかこの音?」
大澤田「これはJRさんに頼まれて作ったインストゥルメンタルだよ。」
加藤「あー!なんか駅で聞いた事ある!どこからともなく聴こえてくるこの音!!わー、全然インストゥルメンタルじゃない。(笑)」
大澤田「ぐわぁあ!!!!」
加藤「びっくりしたぁ!なんすか…。」
大澤田「きたきたきたきた!降りてきたよ!素晴らしいメロディが!!」
大澤田、パソコンに曲を打ち込む
加藤「おお!それは良かった。いやでも今の感じだと大した曲は生まれて来なさそうですけど…。」
大澤田「出来た!」
加藤「はや。(笑)」
大澤田「聴いてくれ…。」
大澤田、パソコンから曲を流す。
壮大なオーケストラの曲が流れる。
加藤「え?え?え?これ出来たんすか?!」
大澤田「出来たぁ。」
加藤「今の聴いてこれぇ?!」
大澤田「すっごい降りてきたぁ。」
加藤「流石この見た目だけあるなぁ…。」
おしまい
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