コント『真夜中ポエマー症候群』
患者「…っていう症状なんですけど。」
医者「あー、これは重症だねぇ。」
患者「やっぱり病気なんですか…?」
医者「ほっとくと命の危険すらある重大な病気だよ。」
患者「そうなんですね…。それで…病名とかはあるんでしょうか…?」
医者「あぁ、病名?もちろんあるよ。君の症状はねこれ、『真夜中ポエマー症候群』だね。」
患者「真夜中ポエマー症候群…?!」
医者「そう。君の話を聞かせて貰ったけどね、なんでも君はお店や家でお酒を飲むと真夜中に必ずと言って良いほどSNSに熱いポエムを投稿するんだよね?」
患者「はい。そりゃもう暑苦しいポエムを何個も…。」
医者「ああ、やっぱり。最近、この症状の人多いんだよねぇ。」
患者「そうなんですね。何度も何度も繰り返してしまうのでもしかしたら病気なんじゃ?と思って病院に来てみたんですけど…。」
医者「うむ、慢性化しやすい特徴まで一致している。確実に『真夜中ポエマー症候群』だね。しかも君は最近シラフでもたまにやるんだろう?」
患者「はい、お酒を飲んでなくても夜中になるとなんかこう…『もっと!色々やってさ!皆で幸せになろうぜ!マジ感謝!』みたいな感情になってポエムっちゃうんですよね…。」
医者「うわぁ、重症だ。(笑) しかも君、それ次の日の朝、うっすら覚えてるんでしょ?」
患者「はい、朝起きるとなんとな~く『あれ?もしかして俺、またポエムった…?!』ってなってSNSを確認しに行くんです。そしたら暑苦しいポエムが何個も…。それがもうキツくてキツくて。」
医者「死にたくならない?(笑)」
患者「めちゃめちゃなります。」
医者「ほら、命の危険すらある。(笑)」
患者「先生!なんとかなりませんか?!」
医者「これの治療はなかなか根気が必要だよ?」
患者「それでもどうにかして治したいんです!僕のSNSをフォローしてくれてる友達に会う度に『あ、熱血真夜中ポエマーだ。』とか心の中で笑われるのはもう嫌なんです!」
医者「『あれ?実際に会う時は意外とおとなしいんだな。(笑)』とかも思ってるだろうねぇ。」
患者「いやぁぁぁぁぁぁ…。(両手で顔を覆う)」
医者「すまんすまん。うん、なんとか一緒に治していこうじゃないか!私に出来る事で全力を尽くすよ!」
患者「ホントですか?先生!」
医者「ああ。実は私もね…昔君と同じような病気だったんだよ…。」
患者「え?先生も真夜中ポエマー症候群だったんですか?」
医者「いや、私は症状は似ているが別の病気でね。『真夜中元カノ連絡症』っていうんだけどね。」
患者「真夜中元カノ連絡症…?」
医者「うむ、これも真夜中お酒を飲んでいる時に起こりやすいんだけどね?ずっと連絡していなかった昔の恋人にふと連絡をとってしまう病気なんだ。」
患者「なぜそんなとてつもなく無駄な行為を…?」
医者「男はね、今までの恋人は皆心のどこかで自分の事をまだ想ってくれてると勘違いしやすい生き物なんだよ。そのせいかもねぇ。」
患者「それは別に病気じゃなくて、ただ勘違い男なだけじゃ…」
医者「やめたまえ!世の中には病気にしておいた方が救われる人もいるんだよ。」
患者「はぁ、そういうもんなんですね。」
医者「他にも似た病気で、『真夜中ネットショッピング促進病』『真夜中暗闇独り泣きシンドローム』『突発性真夜中暴食症』なんてのもあるねぇ。」
患者「そんなにたくさん…。」
医者「どれも病気だから仕方がないんだね…。さぁ、これらの病気には一貫した治療法があるんだよ。」
患者「おお、そんなものが!教えて下さい!」
医者「その治療法は……、とにかく早く寝ることだね。」
患者「え?」
医者「もう夜更かしなんかして真夜中に色々考えるからよくないのよ。夜中ってこわいんだから、夜中ナメんなって話。食ってないで買ってないで泣いてないでポエムってないで勘違いしてないでさっさと寝ろ。うん、それが一番良いの。」
患者「それは治療法じゃなくてアドバイス…」
医者「うん、良い枕置いてあるお店に紹介状書いてあげるからね。」
患者「そんなのいらないです。なんすか枕買う紹介状って。でも確かに夜更かしが良くないんですもんね。先生も早く寝てるんですか?」
医者「私は凄いよ。太陽沈むか沈まないかで寝てるよ。」
患者「はや。なんかもう囚人みたいですね。」
医者「だってぇ!そうじゃないと元カノにガンガンLINEしちゃうからぁ!どんどんブロックされてっちゃうからぁ!どんどん元カノの周りの友達からもキモがられてっちゃうからぁ!(泣)」
患者「先生も大変なんですね。」
医者「そうよ、この病気を治すのには根気が大事なんだから。この間もつい夜更かししちゃってLINE送りそうになったからほら?(粉々のスマホを取り出し)スマホぶっ壊しちゃった。へへへ。」
患者「こわ!やり過ぎですって…。まぁでもそんくらいしないと治んないって事ですよね!僕も頑張ります!」
医者「おお!その意気だ!」
患者「はい!今日も帰ってさっさと寝ます!ありがとうございました!!絶対に治します!!」
医者「うむ!頑張りたまえ!」
患者、部屋から出ようとする
医者「あ、でも君のポエム、私は好きだよ?」
患者「(恥ずかしそうに)…やめろよぉ。」
おしまい。