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コント『駆け落ち直後』

登場人物

王子(男)
恋に真っ直ぐな国の王子。

ドロシー(女)
恋に真っ直ぐな田舎町の一人娘。

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王子「はぁはぁ…、ずいぶん遠くまで来たね…。」

ドロシー「…。」

王子「もう僕らの愛を邪魔する人は誰も居ないよ!ドロシー!」

ドロシー「あ、うん。」

王子「これからは僕らは自由に愛し合えるんだ!家族や生まれのしがらみもない。これから一生愛を育んでいこうね!」

ドロシー「あー、あのさっ。」

王子「なんだい?」

ドロシー「やっぱり……別れない?(笑)」

王子「何を言ってるんだいドロシー!」

ドロシー「いや、なんかちょっと冷静になったというか…」

王子「ドロシー!僕らはお互いに恋に落ちた!しかし僕は一国の王子。一方君は田舎町の一人娘。その二人が恋に落ちる事を僕の両親は決して許さなかった!だからこうして!誰も僕達を知らない街まで二人で逃げてきたんじゃないか!」

ドロシー「うん、それはそうなんだけどぉ。その二人で逃げてる時にぃ、『あーこの人、恋愛で燃え上がったら一国の王子って立場まで平気で捨てれる人なんだぁ。なんか一緒に居て将来不安じゃない?』って思っちゃって。(笑)」

王子「駆け落ちした相手にそんな事思う…?」

ドロシー「いやだって王子だよ?その立場捨てるくらい恋愛に没頭しちゃうのってちょっと痛いよなぁ…って。」

王子「言い過ぎじゃない?!恋愛に没頭して駆け落ちしたのは君も一緒じゃないか!」

ドロシー「うんうん、そうなんだけど!そのぉ、女が恋に没頭!はなんか可愛いじゃん?男が恋に没頭!全て捨ててでも恋愛第一!はキツいなぁ…って。(笑)」

王子「めちゃめちゃ言うね。」

ドロシー「あと衝動的にこんな事する人、なんか急に高い買い物とか相談なしにしそうで人生のパートナーとしてはなぁ…って。」

王子「ホントに好きだったんだよね?!僕の事。」

ドロシー「そうだけど、女ってぇ一回冷めちゃうとその人の悪い部分ばっか見えてきちゃうっていうかぁ。」

王子「とんでもない生き物だな女って。」

ドロシー「悪い部分見えたついでに言うとぉ、あのSNSでちょくちょくしてた『ドロシーだけは死んでも守ったる。』みたいな投稿?あれも今考えるとめちゃめちゃ気持ち悪い。(笑)」

王子「ほっといたらどんどん言うなこいつ!よく一瞬の盛り上がりで駆け落ちなんか出来たな。(笑)」

ドロシー「ホント、ラブイズブラインドよね。」

王子「でも別れるって言ったってこの後どうするんだよ!僕達はもう家には帰れないんだぞ!」

ドロシー「私は帰れるよ?」

王子「え?」

ドロシー「いや、私とあなたでは置かれてる状況が違うし。」

王子「状況?」

ドロシー「そう。あなたはそりゃ一国の王子という立場を一度捨ててしまっているんだからまず無理よねぇ。どの面下げて戻ってきてるんだよ!って国中から思われるわよねぇ。」

王子「国中?(笑)」

ドロシー「そ。お父さんも怖そうだし。だからあなたは戻れないでしょうね。でも私はただの田舎町の一人娘。おばあちゃんと二人暮らし。おばあちゃんの好きなお菓子でも持ってごめん!おばあちゃん!の一言ではい!戻れます!」

王子「だんだんめちゃめちゃ嫌な女に見えてきたぞ。」

ドロシー「という訳で私は帰ります。」

王子「もうかえんの?(笑)」

ドロシー「でもあなたとの時間も楽しかったわよ。たまにお茶くらいなら行っても良いかも。これからおともだちってことでっ。じゃ!」

ドロシー、その場を去る

王子「女ってやつは…。」


おしまい。

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