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コント『最愛ではない。』

さとみ、しゅん、二人でソファに座りながらテレビを観ている。

さとみ「わぁ、俳優の竹内君また新しいCMやってる~。ホント最近人気だよねぇ。」

しゅん「へー、そうなんだ。」

さとみ「前一緒に観た映画にも出てたじゃん。」

しゅん「えー、そうだっけ?」

さとみ「出てたじゃあん!あのラストシーンホントカッコ良かったなぁ。」

しゅん「そんなにカッコ良かったんだ。」

さとみ「最後竹内君が彼女を抱き締めるシーン!私もあんなのされてみたぁいっ。」

しゅん「へー。」

さとみ「へーってなによっ。ちゃんと興味持ってよね!しかも竹内君歌も上手いんだよぉ?」

しゅん「…。」

さとみ「この間のドラマでは歌とダンスやっててそれもチョーカッコ良かった!いや、あんなにイケメンなのに歌もダンスも出来て演技も上手いって何?!しかも料理もプロ級らしいよ?!え?今なんぶつ??神様ぁ、竹内君になんぶつ与えてんのって話ぃ~。あー、あんな人の彼女とかめっちゃ幸せなんだろうなぁ~。」

しゅん「そんなにその俳優が良いならその俳優と付き合えば良いじゃん…。」

さとみ「え?」

しゅん「そんなにその竹内ってやつが良いんだろ?!じゃあそいつとでも付き合ってろよ!なんだよ。ちっ。」

しゅん、ソファから立ちどこかに行こうとする

さとみ「いや、ちょっとしゅん!」

しゅん「ホントは俳優の竹内と付き合いたかったんだろ!俺とは妥協なんだろ!人の気持ち何にも分かってねぇな!クソ女が!!」

さとみ「…。自己評価高ぇなお前。」

しゅん「は?」

さとみ「何、お前いっちょまえに竹内君相手に嫉妬してんだバカ。」

しゅん「バ…カ…。な、なんだよ!元はと言えばさとみが竹内君カッコいい~!みたいな事ずっと言ってるから悪いんだろ!!」

さとみ「あのな今のこの状況、完璧にお前が間違ってるからな?説明してやるからちょっと来い。」

しゅん「お、俺が間違ってるわけねぇだろ!」

さとみ「だからそれを今から説明してやるっつってんだからさっさと来いよ。何回も同じ事言わせんな。バイト初日か。」

しゅん「お前…キャラ変わり過ぎじゃ…?」

さとみ、どこからか大きいホワイトボードを持ってくる

さとみ「ほらほら、良かったな。この家にホワイトボードあって。」

しゅん「なんで家にホワイトボードあんの?前から思ってたけど。」

さとみ「こういう時のためだろうがよ。じゃあ行くぞ?」

さとみ、ホワイトボードに表やら絵やらを書きながら説明をし出す。

さとみ「良いか?お前さっきなんか私の事を何にも分かってねぇクソ女だとかほざいてたけどな、何にも分かってねぇのはお前だからな?まずお前は今竹内君相手に嫉妬してキレたよな?間違いねぇな?」

しゅん「嫉妬とかそういうんじゃねぇし…。」

さとみ「嫉妬してたよなぁ??!!」

しゅん「あ、はい。してました。」

さとみ「まずそこから違ぇんだよ。嫉妬ってのはな?本来自分と同じくらいの奴にするもんなんだよ。お前会社の先輩らと草野球やってるよな?」

しゅん「はい。」

さとみ「草野球やってるお前がイチローに嫉妬するか?」

しゅん「いやしないっす。」

さとみ「しないよなぁ?それはイチローはもう遠すぎて嫉妬の対象じゃねぇんだよ。竹内君も一緒だかんな?」

しゅん「え?」

さとみ「てめぇと竹内君じゃ男としての魅力が段違いだ!つってんだよ。」

しゅん「そんな事彼氏に言う?(笑) い、いや、でもそんな事もねぇだろ!!」

さとみ「じゃあ一つずつ潰してってやるよ。」

しゅん「潰してくて…。」

さとみ「まず顔。竹内君のボロ勝ちだな。」

しゅん「だからそんな事彼氏に言う?」

さとみ「あと料理、お前全くしないもんな。はい、これも竹内君の勝ち…あぁ、あとお前私が作ったもんに一口も食べずにマヨネーズかけるあれ、マジでやめろよ?」

しゅん「それ今関係ないじゃないですか…。」

さとみ「で、あとは歌とダンスか。ちょっとこれは見た事ねぇな。おい、ちょっとそこで歌って踊ってみろ。」

しゅん「なにこれ、貴族と奴隷?(笑)」

さとみ「いいから。」

しゅん、渋々嵐の「A・RA・SHI」を歌って踊る

さとみ「はい、これで4対0で竹内君の圧勝だな。」

しゅん「ねぇダンスに対してなんかは言って?いや、でもこれ!竹内が得意なもんばっかじゃねぇか!不公平だろ!」

さとみ「あ?じゃあてめぇの竹内君に負けない魅力なんかあるのかよ。言ってみろよ。」

しゅん「え?あー、えーとガンダムのモビルスーツの名前全部言えるし!」

さとみ「…。」

しゅん「あと…マリオカートのコーナリングスゴいぜ?おれ。」

さとみ「男としての魅力だっつってんだろうが!どこの女が『え、コーナリングスゴい上にOVAに出てくるモビルスーツまで知ってるなんて…素敵っ!私もどっちかって言うとザクⅡよりザクⅠの方が好きなの!』ってなんだよ。」

しゅん「そんなに言うならなんで俺と付き合ってんだよ!!そんなに竹内が一番好きなら竹内と付き合えば良いだろ!」

さとみ「付き合えたら付き合ってるわ!!」

しゅん「え?」

さとみ「お前、私が竹内君とお前を比べてお前を選んだとか思ってないよな??(笑)」

しゅん「この世で一番好きだから付き合うんだろ?!」

さとみ「そこか。お前が勘違いの権化になっちまったのはそこから来てるのか。」

しゅん「勘違い権化なんですか?僕。」

さとみ「あのなぁ、カップルってのは『相手の事がこの世で一番好きだから』付き合ってんじゃないぞ?『恋人が欲しい時にたまたま近くにいて良い感じの人だから』付き合ってんだかんな?」

しゅん「なんか凄い事言ってない?(笑) そ、そんな事言ったら結婚はどうなるんだよ!あれはホントに最愛の人とするもんだろ!!」

さとみ「そういうパターンもなかにはあるかもしれませんが、ほとんどは『結婚したいと思った時に隣に居る人と結婚』してるパターンだと私は思います。お前のどんぐりみてぇな中身スカスカ脳でも考えてみろ。」

しゅん「よくこんな暴言どんどん出てくるな。」

さとみ「この世で一番好きな人とするのが結婚だったら皆福山雅治とかと結婚しちゃうだろうが!」

しゅん「そんな極端な…。」

さとみ「世の男性に言いたい!(正面を向きながら)世の女性がお前の隣に居てくれてるのはお前がこの世で一番素敵だからじゃなくて恋人が欲しい時にお前がたまたま近くにいたからなのだと!」

しゅん「ん?誰に言ってんの?そっち誰かいんの?(笑)」

さとみ「それをわきまえてもっと慎ましく謙虚に生きろ!モラハラなんてもっての他だ。分かったか!(しゅんの方を向いて)バカ!」

しゅん「あ、バカは俺なのね。(笑)」

さとみ「よし、力説したら腹減ったな。なんか作るか。」

しゅん「なんかすみませんでした。いつもありがとうございます。」

さとみ「あ、マヨネーズは…」

しゅん「絶対にかけません!」

さとみ「よし。」



おしまい。

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