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対話で育てる自分とチームのプロダクトオーナーシップ

この記事は、地味PM Advent Calendar 2022 23日目のエントリーです。

よければ他のアドベントカレンダーで書いた記事もどうぞ!

はじめに

はじめまして!現在、BASE株式会社でプロダクトマネージャーをやっている @tsuboと申します☕
前職クックパッドで『クックパッドマート』というサービスで、アプリのプロダクトマネージャーとして2年ほどPMを経験し、これまでSchooなどスタートアップを数社経験してきました。今年BASEに転職し、現在はショッピングサービス『Pay ID』のプロダクトチームのマネージャーをしております。

プロダクトオーナーシップ

プロダクトオーナーシップは諸説あり、定義されたものがすでにあると思いますが、ここでは「ユーザーのことを考えて、価値のあるプロダクトをつくるため、チームがプロダクトに対して自分ごと化していくこと」と解釈しています。
※ この記事ではAgile Product Ownershipとは、異なる定義・解釈をしています

チームがプロダクトについて、自分ごと化していくことは、すぐにできるものではありません。また自分ごと化しすぎても、エゴやバイアス、ストイック志向になり、健全なバランスが求められます。
そのため、自分ごと化をしていくプロセスを、健全な「プロダクトオーナーシップを育てる」と表現し、自分やチームのプロダクトオーナーシップを育てるための取り組みを記事にしてみます。

プロダクトオーナーシップとミッション

プロダクトオーナーシップと切っても切り離せないの、ミッション共感です。
これまでミッションドリブンな会社でのプロダクト開発を複数社で経験してきました。
Payment to the peaple, Power to the peaple.」「毎日の料理を楽しみにする」「世の中から卒業をなくす」など、様々なミッションの実現に向かってプロダクト開発をしてきたのですが、プロダクトオーナーシップが高いチームには、強いミッション共感があるように思います。

自分やチームは、その会社のミッションに共感して、そのプロダクトチームにジョインしていることが多いと感じます。チームのミッション共感は、採用だけではなく、カルチャーや評価なども大きく影響します。

ただミッションを、自身の原体験や概念レベルで共感していても、それをチームで自分ごと化していくために、多様なチームに合わせて、プロダクトのオーナーシップを育てていくためには、実体験や対話を通じて、実感や相互理解が重要なのでは?と感じています。

自分と対話する

自分のプロダクトオーナーシップを育てるために、そのプロダクトを、自分または誰かにトレースした状態で、とにかく全力でサービスを使って好きになる、熱狂していくように試みます。

前職の生鮮食品ECクックパッドマートで、自分が『毎日の料理を楽しみにする』ために、サービスを熱狂して楽しむ中で、とにかく新しい商品を試し、好きな商品のリピート、お気に入りや商品レビューをたくさんしました。結果、年間で50万円以上の食費をサービスに使いました。

それまで料理をあまりせず、スーパーでサクッと買い物を済ませる自分が、「これを試してみよう、人気商品が品切れ前に買えた、時間忘れて受け取れなかった、注文しようと思ったのに買いそびれてしまった、美味しかった、パートナーが喜んでくれて嬉しい」など、繰り返していくうちに、プロダクトへの情緒、特に愛着と健全ながっかり体験(もっとこうだったらいいのに)がどんどん出てました。お買い物はもちろん、受け取った商品で料理が楽しくなってきて、もっとよくしたくなりました。

もし自分がこの機能が開発された当時のPMだったらどんな要件にして、どう意思決定しただろう?自分が感じている価値や不満を実感しているユーザーさんはどれくらいいるのだろう?今の自分がこの体験をどうしていきたい?と自分のオーナーシップが育っていきます。
その積み重ねで、妄想や独り言がブツブツと増えてきた頃に、ふと「ミッションを体感してるやん」と感じたりします。(ちなみに、感じたことをPMとしてやるやらの判断は、別人格に切り替えます)

ユーザーさんについてチームで対話する

PMやチームマネージャーとして、チームの実体験や実体験を元にした対話を促すようにしています。

まずチームの実体験を促すことです。最近、自プロダクトでどんなお買い物をしたのか?それはどこが刺さって、(お買い物したショップや)商品についてどんな印象なのか、共有し合うようにしています。

現職BASEでは、購入補助の制度・仕組みがあるので、チームの購入体験のハードルが下がるので、できるだけユーザー実体験を促していいます。またプロダクトチーム定例で、チームメンバーにユーザー体験(自社プロダクトでお買いものしたエピソード)をしてもらい、それを語ってもらうのもよいです。それぞれの楽しみ方があり、楽しみ方からユーザーストーリーのヒントがあり、もっとこうしたい、が出てきました。

またそれだけだと実感しにくい、傾向が偏る、物理的に難しいケースもあるので、実体験に触れるため、ユーザーインタビューやUGC(SNSやレビュー)にチームが触れて意識する機会を増やすことがあります。

PMやデザイナー、マーケターがユーザーインタビューをするケースはこれまで何度も経験しましたが、それ以外の職種(エンジニアやCS、Bizなど)がユーザーインタビューに参加(または同席)するという取り組みも過去に試みたことがあります。(ユーザーリサーチの話はこちらを参照)

実体験を共有し合ったり、共通のファクトを元に対話していく過程で、理解が深まっていきます。またその状態でプロダクトのチームレビューをすると、いわゆる要件定義やデザインのレビューだけではなく、体験の裏側のジャーニーや価値を届けるハードルのコンテキストが共有された状態なので、より理解・議論が深まります。

プロダクトをもっとこうしたいよね、こんな風に自分がこまった、ユーザーさんが困ってる、喜んでるね、をお互いに分かち合うことが、とてもとても大切で、地道にその経験や感情を積み重ねるのがチームのオーナーシップが育つのだと感じています。

チーム同士で対話する

普段のプロダクトチーム活動での、プランニングや振り返り、Dailyでの対話はとても効果的ではあるのですが、どうしても目線が足元・目の前に向きやすいので、「コーポレートミッションや事業やプロダクト、組織」についてチームで対話するため、オフサイトミーティング(合宿)を活用しています。取り組んだ概要はこちら

バックグラウンド・職種・社歴・プロダクトやミッションへの共感度も異なる中で、プロダクトについてみんなが自分ごと化していくための共通言語や対話を積み重ねることは効果的です。

また一部のケースですが、採用の面談・面接や会食などに、異なる職種・ポジションで同席をすると、普段とは違う一面が見えて、プロダクトについて初めて理解する候補者に向けて、「その人がどう話しているのかを知る」「自分がどう伝えているのかを見てもらう」機会として、副次的に有効なケースもあります。

対話や相互理解をしていくためには、関係性はもちろん、対話する筋肉のような対話筋があり、それ一長一短に身につけられるものではないと感じています。個人的に、チームの対話を促進するため、ファシリテーションや対話筋を鍛える取り組みのために、参考にしたポッドキャスト「CALTIBASE Radio」の中でも、このエピソードが特に刺さりました。

「前提の開示・問いかけといった対話のための“見えない筋力”は、凝りやすく衰えやすい。対話の場を開き続け、対話に使う“見えない筋力”をストレッチしトレーニングすることを続けるとよいのではないか」
CALTIBASE Radio「組織の対話力を支える“見えない筋肉”の鍛え方」より

特に、前提がずれた指示・納得感の少ない合意形成をする動きばかりしていると、無意識に対話筋が落ちていくので、自分やチームの能力開発だと思って、実践の中で対話筋をあげていく、対話するカルチャーをチームに根ざしていくことが大切だと思っています。

まとめ

プロダクトオーナーシップは、チームにジョイン・チームが組成されたからすぐに生まれるものではなく、自分やチームのプロダクトオーナーシップを実体験や対話、カルチャーづくりの積み重ねによって育てるものだ、についてこれまで話してきました。

対話を進めていくと、自然とオーナーシップを持って、チームが越境し始めます。「このケース、以前インタビューしたAさんやこのUGCでも似たようなことがあがってたので、もっと解決したいよね」「このAPIだと、このユーザー体験のパターンを考慮できないので、こうした方がいいと思うんですけど」「この要件、実機で触ってみてxxxという気づきがあったので、やっぱりこっちにしませんか?」そんなチームの自発的なwillやアクションが増えてくるほど、もっと向き合わねば!と自分やチームが刺激を受け、更にオーナーシップが育ちます。(そんなシーンに直面したら、ついSlackスタンプ押しまくります)

まだまだこれからですが、これらのことを大切にしていきたいと思ってます。みなさんは、自分やチームの健全なプロダクトオーナーシップをどう育ててますか?

noteへのコメントやTwitter DMなど大歓迎です!

 地味PM Advent Calendar 2022 ももう終盤!
お楽しみ!ありがとうございました!


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