穴と海について(稽古場レポート)
はじめに
こんにちは〜。デイドリの沢見です。
このnoteは、7月17日・18日に行われる演劇公演、Mr.daydreamer #5『いない(いる)いらない』の稽古場レポートです。
稽古で印象に残った場面について、ゆるっと記録していこうと思います。脚本の内容にがっつり触れるときは、ちゃんとお知らせするので、ネタバレNGの方もご安心くださいね。
「穴」と「海」
本作は、「穴」と「海」がだいじな要素になっています。役者のみなさんに、それぞれについてのイメージを伺いました。
まず、「穴」についてのメモはこちら。
・時間
・自罰
・居場所
の3つにざっくりと分けられるかなあと私は思いました。
【時間】
穴は掘れば掘るほど、確実に前(下)に進んでいきます。(そして、時間も同じように着々と進んでいきます。)ただ、その場の環境(掘る本人が見ている景色)はほとんど変わりません。掘っている本人の感覚と、客観的な結果のズレが特徴的です。この「ズレ」は、脚本に登場する「時間のズレ」と、リンクする部分があります。
【自罰】
暗い、怖い、など穴についてはネガティブなイメージがあります。そんな穴に自ら入っていくことには、「自罰」や「贖罪」の意味があるのでは?と考えました。
【居場所】
穴を掘ることで、自らの居場所を作っているのではないか、と考えました。また、穴は掘れば掘るほど中心に向かっていくけれども、地上の人たちからは距離が遠くなっていくというのも、作品の内容、そして登場人物ケイと共鳴する部分があるなと思いました。
次は、「海」です。
海は、役者のみなさん個人の記憶にもとづいたイメージが多く、印象的でした。
・バスの窓から海を見たときに、海面が盛り上がって周囲を囲まれているように感じた
・足がつかない沖合の海に浮かんだときに、頭だけ海面から出ていて足先にいけばいくほど冷たくなっていき、底知れなさに足がすくんだ
(ネタバレあり)脚本に登場する「モノ」の中で印象に残っているもの
(この章は脚本の内容に触れます。こちらの脚本とあわせて読むと、よりおもしろいと思います。)
役者のみなさんに、脚本に登場する「モノ」の中で印象に残っているものについても伺いました。
「ぐしゃぐしゃの父親の連絡先のメモ」
・ルルはぐしゃぐしゃにするときに一瞬の迷いもないはず
・今まで会ったことがないとはいえ、迷いなく捨てるのがルルらしい
「スコップ」
・ケイとセットのものな気がする
「紙飛行機」
・ルルとケイが楽しそうにやり取りしているのはここだけ
・いきいきした会話のキャッチボールだけど、原稿用紙にはなにも書かれていないのが印象的
「薬」
・紙飛行機とは違い、ルルからの一方的なもの
「スマホ」
・使うことなく壊れてしまう
・この世界ではスマホがどういう扱いをされているのか気になる(子どもは持たない?大人は基本持ってる?)
「メモ」
・野々村の気持ち悪さを、思い切りよく捨てているように見える
「発作どめの薬」「薬の山」
・本当に効く薬なのか気になる、もしかするとヨーグレットみたいなニセモノかもしれない
・ニセモノだとしたら、ケイはそのことに気づいていたんだろうか
・どんな形だったんだろう(粉薬、錠剤、キャンディー…)
「ミルクパンとゼリー」
・過去には違うものも食べていたはずだけど、この世界はどういう状況なんだろうと思った
イメージの共有について
稽古って、「いろんな人のイメージ・記憶を混ぜていくことで、世界が重層的になっていく」のが素敵だな〜と思います。執筆時には脚本家一人分のイメージでしかなかった世界が、役者・スタッフのみなさんのおかげであらゆる方向に拡張し、層が厚くなっていくのはとても楽しいです。デイドリの稽古は、この「イメージの共有」を大切にしているので、これからのレポートでも度々登場していくと思います。
稽古場レポート、ちまちま更新していくので、ぜひ読んでいただけるとうれしいです! またお会いしましょう〜。
7月17日・18日
Mr.daydreamer #5『いない(いる)いらない』
ご予約はこちら