No.1 コロンビアで揚州炒飯を作る
コロンビアに来ておそらく足掛け5年くらい経つ。
大方の文化は受け入れたつもりでいる。
自称アマチュア料理家の私が、未だに納得いかないのが、Lechonaの存在である。
トリマに行ったとき、はじめてLechonaに出会った時のこと。
「日本の料理はどんなものか教えてくれ」
「何か作ってくれ」
と言われたので、寿司や刺身を紹介した。鯛の活き造り、踊り食いなんてのもあるぞ、と。
コロンビア人は口をそろえて「なんて残酷な食べ物だ!」と活き造りと日本食とアジア料理をなじった。生食など考えられないと。
そんな彼らが食べるLechonaは、豚に様々な食材を詰めてオーブンなり窯なりで丸焼きにする。
取り分けるとこんな感じだ。豚肉に米。極東アジアで生まれ育ってきた私にとっては、明らかに炒飯らしきものである。ちなみに米が黄色いのはサフランを混ぜているからである。
原型をご覧いただこう。
何とも美しさのかけらもないフォルムである。
活き造りではこんなに食材を侮辱した方法で調理しないであろう。
どの口が、「残酷」などというのだろうか。
そして炭化に炭化の組み合わせである。なぜかアレパ。そして豚の皮。
南米では、日本食よりも中華料理のほうが親和性が高いと思う。
炒飯は基本的誰にでも好評である。ただ、ほとんどのコロンビア国民が炒飯を「Wok」だと言う。
本来Wokは中華鍋のことであるが、アジア料理を総称してWokという呼び名が浸透している。これは街中にあふれる似非アジアレストラン、「Wok」グループの仕業であることは言うまでもない。
炒飯は米食文化が発達した国々で様々な形で見ることができる。
中国は説明不要だが、スペインでパエリア、インドネシアのナシゴレン、ピラフ、焼き飯…枚挙に暇がない。コロンビアでは、LechonaやArroz con polloがそれにあたるはずだ。
中国の揚州料理における炒飯が一番歴史があるとされる。
揚州炒飯を作って食べさせたところ、「サルサ・デ・テリジャキ(照焼ソース)が効いてないWokは初めてだ。これが本場の味なのか?うますぎる」と好評であった。
また人の話を聞いていない。WokからChaofanへ呼び名はそう簡単に変わらない。粘り強い炒飯布教活動が必要である。全ての料理はチャーハンに通ず。
おわり