【仕事を効率化したい教員向け】生徒の授業ノートを点検するの、もうやめません?
こんにちは、べいぶです!
今回は、どうにかして仕事を効率よくして退勤時間を早めたい!と考える先生向けに、「生徒の授業ノートを点検するの、もうやめません?」というテーマでお話していきます。
私はこれまで5校の中学校、高校を経験してきました。その中には、「え、それ何のために?」とか「それ、わかるけどもっと効率良い方法あるでしょ(こっちの方法の方が良いでしょ)」というものが多くありました。日本の学校は総じて時代遅れのものが多く、海外ではネタにされているほどです。
その中の一つが今回のテーマ「生徒の授業ノートの点検」です。
もちろんすべての仕事を効率よく行うことはできないことはわかっています。予算の関係、機材の関係、教員数の関係、いろいろなことに制限があるなかで先生たちはうまくやりくりしている、私も教員なのでそれはわかっています。
しかし、「生徒の授業ノートを点検する」ことは、もうやめるべき仕事の一つだと思います。特に高校生がノートを「キレイに」まとめているかいないか……など、美術の授業でもなければカットすべき仕事の一つです。
今回は、生徒の授業ノートを点検すべきでない理由を3つお話ししていきます。高校を前提にお話ししていきますので、小学校、中学校の先生は参考程度にお読みください。
生徒の授業ノートを点検すべきでない理由①:ノートをキレイにまとめても勉強ができるようになるわけではない
私はこれまで、いくつかの学校でこのノート点検をして成績に入れることを行ってきました。
「ノートをキレイにまとめている生徒は高得点」
「ノートが汚い生徒は低得点」
こんな感じで成績に反映させていました。
私がやりたかったわけではありません。どこも「この学校のこの科目ではそうだから」とみんな一斉にやることになっていたのです。
理由を聞いてみるとだいたいこんな感じです。
「勉強のできない子を救うため」
「テストができなくて赤点を取る子のための救済措置」
つまり、勉強ができなくても授業態度がよくて先生の言うことをちゃんと聞いて実行できれば高校で単位が取れてしまうのです。
しかし、そんなことでいいのでしょうか。
ノートを回収して見てみると、いろいろな生徒がいることに気付きます。
・ノートをカラフルにして「キレイ」にまとめている生徒
・「キレイ」ではないけど大切なことは自分の言葉でメモを取っている生徒
・指示されたことを最低限やってくる生徒
・指示されたことはやってくるけど雑で汚い生徒
・指示されたことをまったくやってこない生徒
いろいろな生徒がいましたが、テストの点数を見てみるとこんなことに気付きます。
『ノートがキレイでもできない生徒はできないし、汚くてもできる生徒はできる』
つまり、ノートをキレイにまとめたからといって勉強ができるようになるわけではない、ということです。
ノートをとることは単なる手段であって、キレイにまとめて満足してしまっては元も子もないのです。
先生の話が効果的で、「これは将来役立ちそうだから覚えておいた方がいい!」と思えば生徒は自然とメモを取ります。そういう授業を先生たちは目指さなければいけません。
高校は義務教育ではありません。合格ラインを越えなければ資格は与えられないのが普通です。しかし学校ごとにその合格ラインを下げてしまうので、どんどん生徒は頑張らなくてもいい状態になっています。
ノートをちゃんととって先生の話をしっかり聞いていれば単位がもらえる、このような甘んじた教育をやっていたら、いつまでたっても日本の教育は変わりません。
私も現場にいる人間なので苦労も事情もわかります。日本の教育を突然劇的に変えるのは難しいですが、目の前のちょっとしたことなら変えられることは可能です。できることからやってみませんか?変化の激しい世の中、学校教育も変化が必要です。
生徒の授業ノートを点検すべきでない理由②:業務が減らない
ノートを回収・点検・評価する時間があるなら、どうすれば生徒が自然と学びたくなる授業ができるかを考える方がよっぽど生産的です。
私もいろいろ実験してきたのではっきりいいますが、ノート点検は本当にコスパが悪いです。先生たちが貴重な時間をかけて回収・点検・評価したところで、生徒が前向きに授業に取り組むかどうかは別の問題です。授業がうまい先生はノート回収などしなくても生徒を惹きつけるし、へたな先生はノート回収したところで生徒の目を魚のような目にします。
だったらいっそのことノート回収をやめてしまい、それでできた時間で授業の構成、単元の構成、学んだことをどうアウトプットさせるかの仕組みを考えるなど、生徒が学びたくなるようなものにしていく努力をしたほうがよっぽどお互いのためです。
私自身ノート回収はしていましたが、いろいろと工夫をしていました。授業を毎年、毎学期、毎単元見直しながら、生徒の目をどれだけ輝かせられるか、学びたい欲を引っ張り出せるかを考えてやっていました。おかげで、生徒から高い満足度を得ることができています。
しかし、学んだことが将来どのように生きてくるのかが大事だし、生徒の満足度が高いことと生徒が何かをできるようになったかどうかは別の問題です。そのため、生徒からの満足度が高いからといってまったく満足はしていません。むしろ、教員としてやっとスタートラインに立てたかのような気持ちです。
ノート回収は、思い切ってやめてみましょう。そのほうが、授業など本来やるべきことにより注力できるので非常に良い効果があります。
生徒の授業ノートを点検すべきでない理由③:生徒を叱ることが減る
先ほども述べたように、ノートをキレイにまとめてくる生徒、普通の生徒、雑で汚い生徒、やってこない生徒、様々います。多くの先生は指示したことを守らせようとし、守らない生徒を叱ります。
雑で汚い生徒ややってこない生徒は、ノート点検されたところで大したダメージを受けないことを知っています。成績は少し下がりますが、そんなこと気にしないのです。
そんなにノートをとることが大切だと伝えたいのなら、テストなどやらずノート点のみで成績を付ければいいのです。「ノートが雑で汚い生徒は赤点」「指示したことをやってきていない生徒は単位を渡さない」などとしてしまえばいいのです。
そうしないのであれば、ノートのことで成績が下がろうが、それは生徒の責任です。冷たく聞こえるかもしれませんが、結局はテストの点数の方が成績に入る割合が多いのだから、生徒もノートをキレイにまとめるより頭の中に問題を叩き込みます。
先生も、ほんのちょっとの成績のために多くの時間をかけて点検をするのはコスパが最高に悪いです。しかもそのことでさらに生徒を叱るのは、お互いが負の気持ちになるだけです。
何度も言いますが、高校は義務教育ではありません。指示したことを守れないのであれば単位はあげられません。成人年齢が引き下げられ、18歳、つまり高校3年生はもう成人になります。学校の先生は良くも悪くも生徒に何かをしてあげすぎです。生徒の自立を促すためにも、自分で考え、判断させる機会をもっと作るべきです。
まとめ
・生徒の授業ノートを点検すべきでない理由①:ノートをキレイにまとめても勉強ができるようになるわけではない
・生徒の授業ノートを点検すべきでない理由②:業務が減らない
・生徒の授業ノートを点検すべきでない理由③:生徒を叱ることが減る
働き方改革で、教員の労働時間がよく取り上げられています。この「生徒のノート点検」は、来年度からすぐにでもやめるべき仕事の一つです。
教員自身が仕事をシンプルに最適化していかなければ、働き方改革なんて進みません。
まずは現場レベルで削れるところを勇気を出して削りましょう。それが、働き方改革が進む一つのきっかけになるはずです。まずはできるところからやってみましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?