昼と夜の狭間にて

息を吞むようにして見ていたのは、
今日が終わりを迎える頃の、夕暮れ時に訪れる、
藍色の空と、向こうに燃える夕日。
その瞬間の街の顔は、見慣れたはずの景色さえ、
まるで遠くの世界に思うような、
桃源郷すら映し出す。

その景色を目の前に、
ただ茫然と立ち尽くす私は、
また今日に残されたままでいて。


私は今日という日に、相も変わらず、
晴れの日に似合わぬ顔を浮かべていました。
訳有って未だ就職活動を続ける私は、
まるでそんなことは遠い昔の話だと言わんばかりに
遊びに更ける友人たちの陰に隠れて、
今日という日もまた面接を受けていたのであります。

そもそもいつまで続ければいいのか、
考えたくもないことであったはずの勝ちや負けだなんて、
そんなことすら頬を霞める私の日々は、
最後の学生生活であるという事実さえ忘れて、
ただ次の面接に向けてのたわごとを、
代わりに思い浮かべていたのでした。

時にそのような思考漂う部屋の中を窮屈に思い、
今日とてたまらず部屋を飛び出してしまいました。
その直前に受けた面接が惨憺たるものであったこともあり、
そういえば散歩でもしてみるかと、
そして昼と夜の合間を見ることになるのでした。

それはほんのひと時の出来事で、
夜を連れてくる前触れに、見慣れた街の顔を変え、
遠くに見る夕日と、夜に移り行く人の世が、
丁度重なるその時が、目を離してはいけないと思わせられるほどに、
その美しさゆえに私は立ち尽くす他にありませんでした。
むしろ自ら望んで立ち尽くしていたのです。

その情景に見とれている間に、
辺りは暗く、すでに月は輝き始めています。

美しきものは、短く、とても儚い。
それは桜に、薔薇に、人の一生に言えることでしょう。


ようやく秋が来たと思えば、すぐに冬がやってきて。
最近の私と言えば、
夏の外から夏を思うように、
私は地面に散った金木犀を見ながら、
その香りを思い出すのです。

今年は紅葉を見に行きたいのです。
紅葉として茂らす葉が散らぬ内に。
季節が過ぎれば、ただの掃かれるものとして、
地面に落ちてしまうその前に。

いいなと思ったら応援しよう!