「トムソーヤ」 2002年5月頃
全国の中高生が多摩川のアザラシの動向を見守りながら、モンゴル800の『あなたに』と『小さな恋のうた』をカラオケで練習しまくってた頃、僕は中学三年生だった。
僕は駅伝部に入っていて、受験はずっと先のことのように思っていて、弟が新一年として同じ駅伝部に入部してきたことに困惑していた。
そんなある日の放課後の砂場で同じ駅伝部のNくんとMくんと話をしていた。
「最近、だるくね?」
Mくんが言う。
「まあ、先生ずっと受験ガーって言っとうしね」
僕はそのそばで砂山を作りながら相槌を返した。
「俺ら(MくんとNくん)で話しよったちゃけどさ。家出せん?山に」
MくんはNくんと顔を見合わせて、小声で悪い顔をしながら提案してきた。
「山に?まあ、面白そうだけど。いつするの?」
「明日午前3時くらいなら親も起きてないしさあ」
Nくんも顔がワクワクしながら目が輝いている。
「(決行が)早くない?それで家出してどうすんの?」
「食糧とかは俺が絶対バレずに万引きできるから。〇〇は見張りだけしてくれればいいよ」
Mくんは俺に任せとけと胸を叩き、僕ら二人に笑いかけている。
「最高やん、それ。校門に集合な」
Nくんもニコニコだった。
「はあ。まあいいけど」
万引きは引くわと思いながら、僕は二人の勢いに乗せられてトムソーヤみたいな家出の計画に承諾した。
そんで次の日の放課後、僕らは、当然のように駅伝部の活動に参加していた。
「何で全員普通に中学校にいると?」
僕はてっきり二人は登校していないと思っていた。
「〇〇(僕)は?」
「いや、3時に起きたけど、家出したらジャンプ読めなくなるなと思って、寝た」
僕は二人とも実際にここにいるから大丈夫だろうと正直に話した。
「冷たくない?計画に賛成しとったやろ」
Nくんにツッコまれる。
「え?でも二人ともここにおるやん。Mくんは来たと?」
「俺は玄関で鍵かけてるときに親にバレて説教された」
「俺もそう。めちゃくちゃ怒られたから行けんかった」
「僕も同じやん」
「いや、お前は出かけようともせんかったんやろ」
そして、僕は二人に「冷たい」や「誘いがいがない」など説教を受けた。
僕は来なかったのはお前らも同じやんと思いながらずっと二人の話を聞いていた。
所感(2019年7月15日)
今、考えると友達とジャンプを測りにかけてジャンプをとった自分は普通にクズだ。
なんかこの『過去を書く日記』を書き始めて思ったのだけど、僕の人生を振り返ると「誰かの計画や騒動に巻き込まれた」みたいな経験ばかりだ。
これは僕が漫画とかラノベとかにありがちな『巻きこまれ体質』だからとかじゃなく、自分で行動してこなかった結果のような気がする。
巻き込まれた経験が多いのではなく、自分で行動し、人を巻き込んだ経験が少ないのではないかということだ。
反省せねばと今更ながら思った。
日記を書くことよりもどうも見出しを作るのが楽しくなってしまう。
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