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M.R.LABO業務紹介:「食」に関するあれこれ 【緊急投稿】

 先日(24年10月4日)、服部幸應先生が亡くなられました。
 機会があれば是非一度お会いさせていただければと、ずっと思ってきましたが、その願いはかなわなくなってしまいました。
 服部先生を知ったのは、あの「料理の鉄人」でのこと。新宿にある服部栄養専門学校については知っていましたが、その校長である先生に関心を持ったのはそのTV番組からでした。
 いつも柔和な表情で、的確に料理の解説をされているのを見て、「きっとすごい人なんだろうな」くらいしか思っていなかったのですが、本当に「すごい!」と思ったのは、先生の著書『食育のすすめ』を読んだ時のことでした。
 後で述べるようにあるキッカケから、それまで以上に「食」に関心を持つようになり、ちょうどそのころに出会った本が『食育のすすめ』でした。

食育に向き合うようになったキッカケ

 私が「食」の大切さを実感し出したのは、震災後に出会ったある方の影響が強いと思います。その方に対しても、私は「先生」と時折呼ばせていただいていますが、「食」に対してとてもユニークな考え方をお持ちで、それは要約すると下記のようになります。
 ・食べ物(食材)は、なるべく丸ごと食べる方が良い
 ・食べたら、体中の細胞が喜ぶものが本物の「食」である
 ・食事には、シチュエーションも大切
 私は当時、その先生が作られたNPO法人の事務局的な役割も担っていたのですが、これらの考え方とその考えを元に作られた製品を広めるべく、機会があるごとに国や都の食育イベントにブース出展してきました。
 ここ数年は、NPO法人が休眠状態になっていることもあり、私も関わってはいないのですが、ちょうど来月(11月)の9・10日に東京都が主催する食育イベントが代々木公園で開かれますので、興味を持たれた方は行かれてみてはいかがでしょうか?(詳しくは[第16回東京都食育フェア]まで)

食育は全世代に対して必要

 食育と聞くと、普通は子供たちに対して「食事や食べ物の大切さ」や箸の使い方などを含む「食事のマナー」、「食材や栄養に関する基本的な知識」などを教えることだと思う人も多いと思います。
 もちろんそちらも重要なのですが、ティーンエイジャーから高齢者まで、大人の食育も同じくらいに大切だと私は思っています。…というのも、服部先生も指摘されているように、子供の教育に「知育」「体育」「徳育」はあるのに「食育」は無かったため、今の若者や大人にしても統一的な「食」に関する教育がなされていないからです。
 以前から気になっているのですが、歩きながらパンやおにぎりなどを食べる人が増えてきています。スーツを着たお兄さんやお姉さんが、昼時の駅のベンチで頬張っているのを見かけると「ああ、仕事忙しいんだな」と納得するのですが、どう考えてもそうは見えない人々の歩きながらの「食事」には、憂慮を感じざるを得ません。
 先述の先生の言葉に「それは(食ではなく)エサを食べているだけ」というものがありますが、まさにその通りで、動物が「単に空腹を満たすだけのために食べている」状態と変わらないと私も思うのです。

食を軽視することの弊害

 そういったずさんな食生活を送っていれば、当然、栄養が偏ってきますので、結果として免疫力が低下して病気になったり、体力低下からケガをしたりという負の連鎖につながってきます。
 高齢者大国になった今、国を挙げて「健康寿命を伸ばしましょう」ということに躍起になっていますが、裏を返せば「病気やケガが増えることで増加する医療費を抑えたい」、「国庫からの支出をこれ以上増やしたくない」という魂胆があるからです。
 そして何よりも恐ろしいのは、そういった貧しい「食への向き合い方」が、彼・彼女らの子供たちに伝染していくことです。負の連鎖が続いていくだけでなく、拡大していくということなのです。
 一方、偏った栄養は「サプリで補えば良い」という考え方もあると思います。もちろん、サプリが悪いと言うつもりはありませんが、大抵のサプリは抽出した「成分」の塊でしかないということも知っておく必要があります。
 例えば「カルシウムを補うサプリ」は、カルシウムという「成分」は入っていますが、たぶんただそれだけのモノです。カルシウムを効率的に吸収するためには、ビタミンDを同時に摂ると良いのですが、果たしてそのサプリにビタミンDは入っているのでしょうか?
 それよりも、頭から骨まで食べられるイワシを丸ごと食べれば、カルシウムはもちろん、ビタミンDも同時に摂れてカルシウムの吸収を助けてくれます。先に挙げたように、私の先生が「丸ごと食べる方が良い」と言われているのはそういう意味があるのです。

 大人の食育の基本は、まず「バランスよく食べる」ということです。栄養バランスを考えすぎて神経質になることはないのですが、普段の食事において少しだけ気をつけるようにしたいものです。「昨日の昼はカップラーメンだったから、今週後半の昼はそれ以外のものにしておこう」とか、「今夜は焼肉だけど、生野菜のサラダも食べよう」とか、そういったちょっとした気づかいができるようになれば良いと思うのです。

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