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オープンダイアローグミーティング No.1:対話することの意味
そもそも対話って何?
オープンダイアローグとは「開かれた対話」という意味である、というのは前回の投稿でお話しましたが、では「対話」とは何なのでしょうか?
中原淳・長岡健両教授の共著『ダイアローグ 対話する組織』によれば、通常私たちがよく使う「雑談」や「議論」との違いを下記のように説明されています。
● 雑談 = <雰囲気:自由なムード>の中での、<話の中身:たわむれのおしゃべり>
● 対話 = <雰囲気:自由なムード>の中での、<話の中身:真剣な話し合い>
● 議論 = <雰囲気:緊迫したムード>の中での、<話の中身:真剣な話し合い>
「対話」は「自由なムードの中での真剣な話し合い」ということですが、まだ少しわかりにくいところもありますので、次に「会話」との違いなども見ていきたいと思います。
会話と対話の違い
一般的に「会話」は、特にゴールを意識しないで話すことと言われていますが、その意味では「雑談」に近いと考えてよいかもしれません。
私が感銘を受けた平田オリザ氏の本に「わかりあえないことから」という名著がありますが、「わかりあえない」かもしれないと思っても、なんとか「わかりあえる」ようにしようとすることが「対話」の目的といってよいのかもしれません。
人はそれぞれ異なる環境で生きてきたこともあり、他の人を100%理解することはできません。ただ、社会生活を営んでいる以上、自分と関わっている他の人のことを理解しようと努力する必要があるはずです。
平田氏は両者の違いをこう定義されています。「『会話』は、ライフスタイルや価値観が近い、親しい人同士でのおしゃべり、いわゆる日常会話。それに対して『対話』とは、あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換、もしくは親しい人同士でも、価値観が異なるときに起こるそのすり合わせ」であると。
どうでしょうか? 「対話」とは何か、なんとなくわかってきた感じがしだしてきたところで、次にそれが必要なビジネスシーンについて考えてみたいと思います。
職場での対話、できていますか?
あなたの職場でのコミュニケーション、指示と返事だけに終わっていませんか? もしくは同僚との雑談や会話しかしていない、ということはありませんか?
「いえいえ、社では会議で議論もしてますよ!」という方もいらっしゃると思います。
ただ、議論をすることはもちろん必要なことですが、相手を言い負かせ、最終的には時間切れで多数決によって結論を出したとしても、言い負かせられた側、そして結論とは別の考えを持っていた人は、充分納得して次のステップに進めているのでしょうか?
会議での決定事項が、自分の中では腹落ちしないままそれに従って行動することで、自己矛盾によって大きなストレスを感じたり、意識していないのに起こるミスやインシデント、場合によっては重要な事故(アクシデント)につながる可能性がないとは言い切れません。
そこで対話をすることで、わかりあえるように努力してみる、もしくは納得できるまで互いの考えをすり合わせてみることが必要になってくるのだと思うのです。
ODMしょう!という習慣づけを目指す
オープンダイアローグミーティングは、結論を出すことを目的として行われるミーティングではありません。
「結論を出さないなんて、この忙しい中、何を悠長なこと言ってるの?」と叱られるかもしれませんが、忙しいからこそ、そういった時間と場が必要なはずです。
「とにかく目標を達成しなければ!」と思ってガムシャラに業務を進めていった結果、貴重な戦力だったスタッフが知らぬ間に離脱することになっていた…といった経験がある人も少なくないと思いますが、そこにはやはり「対話」がなかったためだったのではないでしょうか?
忙しいからこそ、一度立ち止まってみんなでゆっくり話し合ってみる、それこそがオープンダイアローグミーティングの目的でもあるのです。そうして、業務の中や職場の中で「ちょっとした違和感」を感じたスタッフの一人が、「そうだ。ODMしよう!」と提案し実施することができれば、たぶんそのチームや職場は、結果として大きな成果を上げられることになるはずですから…
次回より、オープンダイアローグミーティングの具体的なやり方について考えていきたいと思います。起源となった精神医療の現場では、すでに確たる方法が蓄積され構築されてきていますが、それをそのままビジネスシーンで展開するわけにはいきませんので、試行錯誤しながらの提案になると思います。
ただ、私のなかでは一定の方法が出来あがりつつありますので、もし「一度わが社でもやってみたい」と思われる方は、ご連絡ください。東京近郊に限らせていただきますが、テスト実施も歓迎いたします。
お問い合わせなどはコチラまで、メールをお送りください。