就活の収穫_No.3~好きなことあるやん!~

就活してると、「これから何をやりたいんですか?」って聞かれることが多い。逆に、自分も「なんでこの仕事、この会社を選んだんですか?」って質問することも多い。そんな時付随してくるのが、”自分の好きなこと”だ。

「私は昔から人と関わり合うことが好きで・・・」

「僕はずっと海外の文化が好きで・・・」

こんな感じの「それ、逆に嫌いな人なんていなくない?」っていう回答が乱立し若干の憤りを覚える中、僕も僕の好きなこととやらを自問自答せざるを得なかった。「う~ん、パッと出てこない、自分はなんちゅうあやふやな人間なんだ」と人並みに自己嫌悪に陥った後、この問題は自己解決した。何故答えがすぐに見つからなかったか、それは答えが驚くほど身近にあったからだ。


「僕は、理系の領域において、物事を考えることが好きです。」


上記が僕の解である。これは思い返せば、中学まで遡るお話だ。

僕は幸運なことに勉強環境をセッティングしてくれる親の元に生まれたので、中学では盲目的に塾に通っていた。高校受験を乗り切るための学習塾でだ。そこで印象に残っている記憶がある。

中学2年生のある日、数学の授業で愛知県模試の過去問を解いてくるという宿題が出た。本番同様の時間で計って解いてみて、力試しをしてみましょうという趣旨だ。清らな少年の僕は、言われた通り時間を計り、過去問に挑み始めた。

それはA3用紙の右上にあったから、多分大問4辺りではなかろうか。それまで軽快に鉛筆を走らせていた僕の手が、突如として解答欄への侵入を阻まれた。敵は円の内部に三角形やら何やらがごちゃごちゃ共存している、図形の問題だった。

「なんだこれ、全然解けん!!」

焦った僕はとりあえずその先にいた問題をなぎ倒し、再びその問題へ舞い戻ってきた。しかし補助線を引けども引けども全く解けない。答えへの糸口が見えたようで、見えない。そうこうしてるうちに、無情にもタイムアップを迎えてしまった。

しかしこの後、僕は時間延長という反則に打って出た。結局その日は解けなくて、数日後の宿題の答え合わせの日まで、何時間も考えた記憶がある。登下校中、学校の授業中、家に帰って夜ご飯を食べた後、ずっと解法を考えていた。そしてとうとう、僕は答えに辿り着いた。いや、それが正解かどうかはまだ分かっていなかったが、あの瞬間は相当気持ち悪い顔をして「できた~~~~~(≧◇≦)」と感極まっていたのだと思う。その後、塾で答え合わせをすると、案の定僕の答えは正しかった。その問題で「シャッ」と丸をつける音を響かせたのは教室で僕だけで、やっぱり随分な難問だったらしい。先生が、これできたら偏差値○○くらいあるよ!すごいね~、なんて言っていた覚えがあるが、先生、実は僕この問題にテスト20回分くらいの時間かけたんです、あの時言わなくてすいません(笑)


これはあくまで一例に過ぎないが、同じように時間を忘れ没頭した記憶はいくつもある。

浪人した時に解いてきた、数学、物理、化学の難問たち。

研究室で取り組んだ、動力学に基づく運動方程式の立式、小型無尾翼機の飛行実験と解析、非線形方程式の数値計算。

「こうしたらどうなるだろう」「あぁでもないこうでもない」と考えているうちに時間はあっという間に流れており、歩いてる間や電車の中でもあれこれと考える。考え続けられる。can think というより、can't stop thinking。そんな自分がいることに気付いて、こう思った。


そうか、これって、おれが好きでやってることなんだな。


学生の義務である「お勉強」に付随してるし、レポート書くとか発表資料作るとか雑多な作業に埋もれがちで気が付かなかったけれど、実は一番近いところに自分が好きなことがあった。これは大きな発見で、おかげで会社に入ってやりたいことだって胸を張って説明できる(笑)。別に、車のことなら何時間でも語れるとか、パソコンを愛してやまないとか、そんな好きは僕にはない。ただ、


「僕は、理系の領域において、物事を考えることが好きです。」


だから、エンジニアって呼ばれるような仕事に就いて働きたい。

実は単純なことだったんだ。