バーテンダー、石垣忍さんとの出会い その1
このようにジャパニーズ・バーテンダー・ブームが巻き起こるバーシーンで革新的なシェイカーを提供するとなれば、その使い手たちについての理解や知識が欠かせません。
日本酒バーには足繁く通っていたものの、オーセンティックバーやカクテルバーについてはまったくの門外漢でしたから、まずはバーテンダーやバーツールの勉強をしなくてはなりませんでした。
「BIRDY.」の開発当時、私のバイブルだったのが、漫画『バーテンダー』(原作:城アラキ、漫画:長友健篩)。
カクテルのこと、シェイクやステア、ビルドといったカクテルメイキングの技術のこと、さらにはバーテンダーの精神性に触れる意味でも大いに参考になりました。(この漫画『バーテンダー』とは強烈なコラボをすることにあんりますが、それは後日に取っておきます。)
バー巡りをする際の参考にしたのは、バー専門のウェブメディア『DRINK PLANET』や『BAR TIMES』、そして雑誌『BRUTUS』の「100年通えるバー特集」です。
こうしたメディアから「BIRDY.」をおもしろがってくれそうな人、自分と感性の合いそうな人を見つくろい、簡単なサンプルを持って会いにいってみよう。そんなところから地道な広報活動を始めようとしていました。
そうやってリスティングした「会いに行きたいバーテンダー」のなかの一人に、石垣忍さんがいました。
渋谷で「Bar 石の華」というオーセンティックバーを営んでいる石垣さんは、国内外のカクテルコンペティションで輝かしい成績を収めたのはもちろん、いち早く飲料メーカーが開発したRTDカクテルの監修を務めるなど、バーという枠組みにとらわれない活動をしている方のようでした。
そしてなにより、カクテルに対する姿勢、味わい、素材の使い方などにおいて、同業であるバーテンダーたちが石垣さんに一目置いているようなのです。
東京出張の折り、渋谷にある「Bar 石の華」を訪ねた私は、ひっきりなしのオーダーを一人でさばく石垣さんに、「まったく新しいカクテルシェイカーの開発をしている者です」と告げました。
さて、石垣さんの反応は……?
続く