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「自分らしい写真」の確立に向けて_20220203
2021年2月,初めて買ったカメラNikon D5600をフルサイズミラーレスカメラNikon Z6に買い換えた.
写真を始めて半年ほどで,初めて買ったカメラの限界に気づき,制限なく使えるちゃんとしたカメラが欲しくなったためである(D5600がちゃんとしていない訳では無い).決して安くはないが,2年ローンの折り返し地点である今,「買ってよかった」と心から思える良い買い物だった.
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自分らしい写真を撮りたい…
機材による制限がなくなり,レンズ沼の広さ・深さも無限になったことで,自分の写真に言い訳が出来なくなった.もうすぐZ6を使い始めて1年が経とうとしているが,これが「自分らしい写真」だと言える写真は未だに撮れていない.隣の芝生はいつまでたっても青く見え,沢山撮ってきた写真たちも所詮は誰かの真似事でしかなく,稚拙に見えて振り返りたくなくなってしまう.
たかが趣味の写真で,お金を取ろうとしている訳でもないのにそこまで悩む必要があるのか,と思う自分もいる.しかし僕は,自信を持ってアウトプットしたものが他人から評価されて初めて,自己評価に繋がる人間だ,とこれまで生きてきた中で分かってきたので,一刻も早く「自分らしい写真」を確立したい.
最近はそんなことをモヤモヤと考えてばかりいたので,ここでZ6を手にしてから撮ってきた写真たちを振り返って自分なりの写真について分析してみようと思う.相も変わらずレタッチ渋滞が解消されていないので全てではないが,1年間で撮った写真を振り返っていく.
フルサイズの描写に魅せられる
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いきなり写真の話ではなく,カメラの話.
上の二枚はカメラを買った当日,組んでいるバンドのCDジャケット用に撮影に出かけたときに撮ったもの.設定を全く追い込めておらず,RAWで記録することもできていなかったが,水面の滑らかさ,アスファルトの冷たさや粒の細かさの描写に「うお~~!」となっていた.
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研究室を抜け出して撮りに出かけた日の一枚.そういえば初めて買ったニコン以外のオールドレンズであるスーパータクマーをちゃんと使いたくてミラーレスカメラを選んだし,それならいっそフルサイズにしようと思ってZ6を選んだのだった.スーパータクマーの芯があるけどどこかふんわりした描写は,いつも頼りにしている.
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インターンで横浜に行ったとき,わざわざ三脚を持って足を伸ばして行ったみなとみらい.これは夏に撮った写真で,この頃からしっかり影を落とした写真が好みになってきていた気がする.
#デジタルでフィルムを再現したい
もともとカメラを始めたきっかけは,家にあったフィルムカメラで写真を撮ったことだと記憶している.でもフィルムは現像代がかかるし,撮れる写真も確認できなくて不便だからどうしようと思っていたとき,このハッシュタグを見つけた.D5600を買った当初は,これをテーマに写真を撮ろうと思っていた.
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フルサイズミラーレスカメラを買ったことで,どんなオールドレンズでもつけられるようになったし,その描写を周辺まで含めてすべて味わえるようになった.フィルムカメラでも並行して撮り続けていることで,光を探す目も鍛わってきている(と思う)し,フィルム風レタッチもそこそこ納得いく出来になってきたと思う.
Zレンズの凄さ
上に載せた写真の通り,Nikon Z6を買うときは24-70+FTZ Kitを買った.キットレンズであるNIKKOR Z 24-70mm F4Sというレンズは,本当にすごい写りをする.
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(Z6 + NIKKOR Z 24-70mm F4S)
ミラーレスカメラのマウントの中で一番大きな口径と一番短いフランジバックを持つ(2022年2月現在)Zマウントのレンズは,光学的に有利な条件ゆえレンズ設計に余裕があり,見た景色の良さをそのまま素通しするような写りをする.周辺いっぱいいっぱいまで,中心と同じくらい綺麗な描写が続いている.これは超主観的な意見だが,解像度がエグいながらも,嫌味のないまろやかな描写をしてくれるおかげで,ポートレートに向いているのかなと思う.
もともと街の写真屋さんをやっていた祖父の影響なのか,父が「カメラを買うならニコンにしておけ」といっていたから選んだニコンだけど,ここに来て将来性しかないZマウントを選択できたのは良かったなと思った.
ライブ写真撮影
所属する軽音楽サークルでは,誰に依頼されるでもなく,ライブ写真を撮らせてもらっている.ライブ写真は,カメラには最悪の条件で動きものを撮るので,設定やテクニックを学ぶ格好の舞台だった.
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サークルのライブには色んな人の想いが詰まっている.見るだけでその想いを,あの熱量を思い出せるような写真を撮りたい.いつまでも探求し続ける.
ポートレート・撮影依頼を経て
いいカメラを持っていて,割と真面目に写真をやっているので,ありがたいことに撮影の依頼をいただける機会も何度かあった.こちらこそ,撮影の練習をさせていただけるありがたい機会なので,いつも快く引き受けてきた.僕は自然光で撮る写真が好きなので,太陽が出ていない日には基本良い写真が撮れない.そのことに責任は負えないので,まだまだお金をいただけるレベルにはないと考えている.
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(Z6 + Pentax Super Takumar 55mm f1.8)
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(Z6 + Ai Nikkor 135mm f2.8)
風景のスナップはフィルムで撮ることが多く,デジタルでは基本的にポートレートを撮っている.ポートレートで誰かのための撮影をする機会を頂き,その人に喜ばれることで,自己満でやっていた写真が誰かの役に立つ実感を得ることができた.今後ももし依頼を頂けたらその人に喜ばれる写真をいつでも撮れるように,鍛錬を積もうと思う.
自分なりの写真論
この一年間Z6で撮った写真たちを振り返ることができた.ここで,現時点での僕なりの写真論を書き留めて置こうと思う.もちろん,プロとしてやっている写真家の方々や,人気のフォトグラファーのように,バズるほど良い写真が撮れるようになったとは到底思えないので,備忘録的に今の所感を残しておく程度のものである.
自分らしい写真を確立するために,今の僕がどういう写真を良い写真だと思うのか.書き出してみる.
光を捉えられていること.
被写体への愛が写っていること.
もっとたくさんあると思ったけど,この2点にすべてが集約されてしまった.3点目に挙げるとすれば「その他」だろうか.
1つ目,光を捉えられていること.これは写真は光の芸術だと考えている(どこかで読んだ/聞いた気もする)ので,言うまでもなく当たり前の話かもしれない.ただどこまで行っても,上手い人の写真を見ると「光の捉え方が段違いに上手い」と思ってしまう.僕が日常生活の中で出会える光はだいたい撮り尽くしたと思うけど,そういう意味で言えば,良い光に出会おうとすることも「光を捉える」ことに含まれると思う.
2つ目,被写体への愛が写っていること.愛と言うと大げさに聞こえるかもしれない.けど実際,友達や恋人・愛おしい家族を撮った写真には,紛れもなく愛が写っていて,それが僕の心に刺さることが多い.ただ,写真とは,たとえそういう関係性でなくても,自分の琴線に触れたものや景色にカメラを向けたとき,その時の感情が写るものなのだと思う.僕は凝り性な性格から,写真を始めてすぐに膨大な量の知識をインプットしてしまった.これによって好きという感情の赴くままに撮ること,愛を写すことが難しくなったのだと考えている.鍛錬でなんとかなるのかはわからない.好きという気持ちを大切に写真を撮り続けたいと思う.
3つ目,その他については,きっと色彩のセンスや構図のセンスがあると思う.これはデザインの範囲の話だと思うので,僕が「自分らしい写真」を目指していくなかでは意識しなくても学んでいくものだと思う.
超長編の記事になった.来年もこの分量の記事を書けるはわからないが,その時思っていることを綴れたら良いなと思う.
写真という芸術に出会って,心が豊かになったし,自分と向き合うことへの抵抗が少なくなった気がする.本当にいい趣味に出会えた.これからも続けていきたいし,それが誰かのための写真に繋がっていけばいいなと思う.