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【読書感想文】アロマ妖精とはどのような存在なのか?【アロマの国だより】

 恵野 十未香さん著書『アロマの国だより』を読みました。

人間であったリヒャルディスは長い長い眠りから目覚めると、「アロマの国に赴け」と命を受ける。そこにはアロマ妖精と呼ばれる妖精たちが、医学校などに通い人間の悩みや苦しみを癒そうと励んでいた。人間の切ない「思い」に彼女とアロマ妖精たちが芳香とともに関わっていく。あなたも「香り」の恵みに包まれて、日々に隠された奇跡に気づいてみませんか?

Amazon商品紹介文より

 アロマ妖精という存在は、人間に見えないけれども『愛』の本能を持って人を癒してくれている、というものです。

 ローズマリーやレモンなど馴染みやすい名前で兄弟であったり親戚同士であったりとキャラクターを通してアロマについても覚えやすい構成になっているようです。

 書籍の帯には「アロマが匂い立つ物語」と書いてありました。文章から香がするような感覚がするのだろうか? と思い書籍を購入しました。

 私が穿った見方をするオタクだからだと思いますが、読み始めてすぐ、無償の愛でもって人間を助け癒す『アロマ妖精』という存在について疑問を持ちました。

 人間を愛する本能を持って生まれたため、助けてくれる。そんな都合の良い存在が地球のシロアリもどきである人間にいてくれるのだろうか?

 そんな根幹に疑念を持ったまま、読み進めて行くうちキャラクターの性格に気づきました。
 著者のあとがきから、キャラクターの人物像は精油の香りや含有成分の作用に由来するものだと知りました。

 アロマテラピーへの入り口としておすすめな本、ということでもあります。
 読み進めて『アロマ妖精の性格や性質が生物へ影響した結果から生まれている』と気付いた段階で、最初に持っていた『アロマ妖精の愛』へ対する疑念が消えていきました。

 アロマ妖精である彼らは、自然発生しているものの、人間が香りについて研究していくことも作用して生まれているのではないか。
 アロマ妖精という存在は、精油とそれに対して人間が抱く概念的な存在が交じり合い生まれ変化し存在していくのではないか。

 そんな事を思いました。
 完全にこじつけなのですが、人間とアロマの関係を結んだものが『愛』でありアロマ妖精なのではないかと考えました。

 だからこそ生まれた瞬間から『人間を癒し助ける愛の本能』を持っていることに納得しました。

 この物語の舞台は、現代よりもずっと香りが身近にある世界だと思います。

 帯にある『アロマが匂い立つ物語』という言葉と、アロマ妖精たちが気づかれずとも香りで人を助けているという内容につながると感じたエピソードでは、後半に続くアロマ妖精を見ることができる『フランギパニ家』との出会いが大きいです。

 強い香りのため、老人や子供の前では口を開くなと注意されたローズマリー・カンファーが登場します。

 何か言葉をかけようにも、自身の性質から話すことを禁じられていた彼の思い悩む姿は報われてほしいと応援したくなるものがあります。

 著者のあとがきにもあるように、疲れてやる気が出ない時にすっと気分転換した時。
 香りを通して人は癒されたり、ほんの少し前向きになれたり……。

 この世界では、ふとアロマの香りがした時、人間が気づく気づかないにかかわらず、アロマ妖精たちは何かをささやきかけているのでしょう。

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花屋さんで久しぶりに花を買いました。手前にある濃い緑色のつたのような植物が作中でも登場するアロマのユーカリ(コアラのユーカリとは別)らしいです。

 2巻も出たらしいです。こちらは巻末付録としてアロマ妖精の元になった香の成分解説もあるらしいです。 1巻でも参考資料としてのアロマ本が巻末に載っているので、たくさんある本の中からどれを選んだら良いか分からない時などに役立つ資料かもしれません。