会えなくなった人の夢をみた話

※小説です
昔の人の夢を見た。最初は夢だと気付かなかった。メッセージが送られてきていた。いつもの口調だった。俺は現実だとすっかり思っていたから、あ、そうなんだと思った。すぐに既読をつけるのは尻尾振ってるみたいで違うかなと思いながら、そうなんだ、なんて返事をしようかなと考え始めていた。それで、目を開けた。「目を開けた」? ことに俺は不思議になって、あ、これは夢なんだと思った。そうなんだ、と思った。悲しい気持ちがあるとか泣きたいかとか反射的に自分に問いかけて、いや、別にそんなんじゃなくて、「そうなんだ」って思ってるだけだよと自分に言った。そう思いながら、目を閉じたら、これが本当になることはなくても、もう一回夢だと言うことを忘れられないかなということを多分考えてた。それで目を閉じた。夢は夢のままで、変わらなかった。なんでこんな夢を見たんだろう。昨日、ヨネダ2000の動画を見て、誠の喋り方がその人に似てるように思い出したんだっけ。時々、何かを見てあの人みたいだなって思う時があるんだ。俺は後悔したり、残念に思っているのかな。だからこんな夢を見るのかな。そんな気もしないけど、ただ、「そうなんだ」って言葉しか自分の中から出てこないのは、後悔とかを自分の感情の中から取り出すことに怯えているのかな、どうなんだろう? そう思ってみたけれど、俺には、やっぱり、「そうなんだ」、ってことしか思えないみたいだった。また、話したいな。でもそれは永遠に起こり得ないことで、ごめんねとか言ってみてもそれは許されたいだけの俺のエゴで、かといって真心から君の幸せとか安らぎとかを祈れている気も俺にはしなくて、なんかそんな自分のことはそりゃそれで不誠実な人間だなって思ったりなんかして、俺はずっとどうする気力も特になくて、ただもう一回目を閉じれば夢をまた見れないかなって思う。それでなんか普通に謝りたいな。あなたのこと傷つけてしまったよ。その時は辛い気持ちになったんだよな。俺申し訳ないよ。でも、俺泣いちゃったりするんだろうな。そしたら自分のために謝ってるのと変んねえや。俺はただやっぱりそしたら何も言えないな。あなたの前で自己憐憫にも自己陶酔にも浸りたくないな。後悔してるとか、また会いたいとか、別にそんなんじゃないんだよ。ただ、目を閉じれば夢をもう一回見られないかなって俺は休日の朝に思って、なんか流れで涙流しちゃったりしたけど、それもストレス解消になったなとか思うくらいには俺そんなもんだしさ。でも夢の中であなたへの返信どうしようって考えてる時はちょっと胸があったかかったな。だから、夢でしたってのも別に「そうなんだ」って思うけど、ほんとは全部うまく言葉になんないだけなんだろうな。

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