映画AKIRAの感想
冒頭のシーンの魅力
ネオ東京という華やかでありながら堕ちた近未来都市を爆走する赤いバイクの少年。カーチェイスと爆発と背景のメトロポリスの美しさが掴みとして非常に魅力的。
メカの魅力
バイクにしろヘリコプターにしろ乗り物がかっこいい
時代性
未来都市という設定でありながら、出てくるのは非常に昭和的な世界。首都高のルーレット族のような主人公たちと、過激左派を思わせる革命集団、未熟なコミュニケーションツール。
大人と子どもの分裂とネオ東京
暴走族的な主人公たちは、従来の少年漫画の主人公たちよりは子どもじみたものから離れているが成熟しているわけでもない。テツオは子どもの世界へと誘われながら暴走し、かたや腐敗の中で格闘する大人としての大佐が存在する。主人公の金田はどちらでもない存在として赤いバイクを最後はチームではなく一人で走らせ始める。SF的な世界観と、軍人のメカニカルな大人の世界、そして不気味なアリス・イン・ワンダーランドのようなテツオの幻想世界、そして主人公のいる昭和的不良少年世界観、このバラバラなベクトルを交差させる場所としてネオ東京という世界観を発明したのが天才だと思う。
キャラクターの膨大さ
軍人の大佐、不良少年の主人公、革命集団のヒロイン、マッドサイエンティストの博士、腐敗した金持ち、革命集団のリーダー格、幻想に囚われた改造人間のテツオ、老人のような見た目をした超能力者の子どもたち、アンダーグラウンドな酒場の店長……あまりにもキャラクターが多く、彼らの属する世界観もバラバラであり、2時間の映画では彼ら同士の関係性もストーリーも掘り下げるのが難しい。
結論
これはもうネオ東京という世界を楽しむ映画であり冒頭のシーンに全ての魅力が詰まっている。ストーリーとしての魅力以上に、強烈にクリエイターをインスパイアする何かがある。
正直言ってキャラクターの掘り下げとかがないので私はあまり面白いと感じる映画じゃなかったけど、ディテールの部分に魅力が多いんだろうな。
今の私はこの作品の魅力を言語化するのに必要な知識やフレームワークを持っていないなぁと感じた。
余談
テツオの暴走はナルトの呪印に近いものを感じたが、影響を与えているのだろうか?
調べてみたら岸本斉史はAKIRAに影響を受けたと公言してるらしい。そう言えば昔そんなことをどこかで読んだ記憶がある。
「さんをつけろよデコ助野郎」はAKIRAのセリフだったと知って面白かった。