ジョージ・メンズコーチは村上春樹です

男磨きという言葉で、発信しているジョージというYouTuberがいて、私は彼の動画をあまり見たわけでは無いが、基本的に男性向けに生き方を指南し強い男になろうというコンテンツである。

朝早く起き、白湯を飲み、散歩に出かけ、瞑想をし、ジャーナルを書き、タンパク質を摂取する。「きつい時こそ、やるべきことをやりましょう」の言葉に象徴されるように、習慣を守ることで可処分時間を増やし、効率的な生き方をする強い人間になる、という内容だ。有名なところだとメンズコーチのジョージとか、マコなり社長などが当てはまる。

https://note.com/tankobunbun/n/n3e7883766ae7

そうなんだと思って動画を観たんだけども、この点に言えば、ジョージは村上春樹とほとんど同じことを言っていないか。早起きをして、運動をして、ルーティンを守り、ジャーナルの代わりに毎日もりもり文章を書くのが村上春樹だ。「きつい時こそ、やるべきことをやりましょう」とか、村上春樹の登場人物も言ってそうな気もするし、と思って検索したらすぐに出てきた。村上春樹が卵を食べるかどうかは知らないが、壁と卵については何かを言っていたはずだ。

村上氏は、長編小説を書いているときは、毎日朝4時に起きて即、パソコンの前に座り、原稿を書きはじめ、4~5時間、ひたすら執筆します。
この原稿の量は、かならず原稿用紙10枚程度と決めていて、短くても長くてもいけません。筆が進まなくても書き切り、逆にもっと書けそうでもピタッとやめるそうです。
その後、走るか泳ぐか、必ず1時間程度運動をします。昼すぎからは自由な時間として本を読んだり、音楽を聴いたり、レコードを買いに行ったり、料理をしたりします。そして夜9時頃には寝て、翌日の仕事に備えます。長編小説を書いている時期は、このような生活を、だいたい小説の第一稿が書きあがる半年間くらいの間、休みもとらず毎日判で押したように繰り返すそうです。

https://president.jp/articles/-/39770?page=2

「ねえ、永沢さん。ところであなたの人生の行動規範っていったいどんなものなんですか?」
「お前、きっと笑うよ」と彼は言った。
「笑いませんよ」
「紳士であることだ」
「紳士であることってどういうことなんですか?」
「自分がやりたいことをやるのではなく、やるべきことをやるのが紳士だ」

ノルウェイの森

ジョージといえば、スポーツが経験ない奴は厳しいということを言っていたり、なんかとにかく「男らしさ」「タフさ」を強調する人間で、村上春樹との世間的なイメージはだいぶかけ離れてるはずだ。でも、そもそも、「毎日早起きして文章書いて運動して栄養あるものを食べなさい」ってまるで優等生だ。彼の言っている「強い男を取り戻す」というのは一体誰のことなんだろう?

昭和の時代の「強い男」をイメージして、私に思いつくのは勝新太郎だ。夜遊びをして大枚をはたき、酒やタバコをかっくらう。記者会見でタバコを吸ってみた動画くらいしか正直動いている勝新太郎の姿を見たことはないけれど、ああいう無意味な不健康さや意地・見栄の張り方が「強い男」のイメージだった。

勝新太郎が毎日早起きをして栄養にあるものを食べているジョージを見たらなんて言うだろう?「強い男」だと思うのだろうか?

ジョージ、お前村上春樹だよ。お前が取り戻そうとしてる強い男とやらを取り戻したところで行き着く先が「やれやれ」でいいのか? ジャズを聴きながらパスタを茹でるのか、お前も?。そう思うと私は別に好きでもなかったけど、なんだかジョージに対して幻滅したような気もする。もっと過激で変なことを言っててほしかった。県庁所在地ごとに女を作るんだ、とか、酒は飲めば飲むほど男根がでかくなるんだ、とか、舐められたらとにかく相手が黙るまで殴れ、とか。ぱっと見の加害性・有害性でブランディングしているようで、実のところ、ジョージはかなり学級委員的なのだ。

あるいは令和において「男らしさ」として受け入れられるものは勝新太郎から村上春樹に変化しているということだろう。村上春樹もジョージだと思えば、フェミニズムで炎上するのも違和感がない。

最後に、chatGPTに頼んで、メンズコーチジョージを村上春樹風に書いてもらった。

君は、今まで部活に入ったこともなく、スポーツの汗にまみれたこともない。筋トレだって、おそらく一度も真剣にやったことがないだろう。実のところ、僕はそれについて少し危機感を持つべきじゃないかと思う。あるいは僕の言いたいことはこういう事かもしれない。このままじゃ、君はどう頑張っても、女の子と寝ることは難しい。

うーん、誰か上手く書いてくれ。




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