学習者中心のアプローチ
教育を設計していくときに、教える側と学ぶ側のどちらを主軸とするかで、設計方法が変わります。
学ぶ側を主軸として設計する学習者中心のアプローチ。教える側に主軸がある教師中心のアプローチ。
学習者中心のアプローチと教師中心のアプローチの違い
「学習者中心のアプローチ」と「教師中心のアプローチ」。これらのアプローチは、教育の目的や学習環境に応じて使い分けられます。片方が悪というわけではありません。
それぞれの特徴と利点を理解することが重要です。
1. 教師中心のアプローチ
教師中心のアプローチは、教師が授業の主導権を握る形態で、主な特徴は以下の通りです。
教師が主導権を握る
教師が授業の内容、進行速度、評価方法を全て決定します。授業は講義形式が多く、教師が情報を一方的に伝える形となります。
一方向のコミュニケーション
教師から学習者への一方向の情報伝達が中心です。質疑応答の時間があればいい方。学習者が受動的なモードなので、何を質問していいのかも分からない状態かもしれません。
標準化されたカリキュラム
全ての学習者に対して同じ教材や方法が使用されます。個々の学習者のニーズや興味はあまり考慮されません。授業についていけないなら、個別の塾や家庭教師など個別対応してくれるものを探す必要があります。
評価方法の一貫性
テストや試験を通じて学習成果を評価します。成績は学習者の理解度を比較するための基準として使用されます。
2. 学習者中心のアプローチ
一方、学習者中心のアプローチは、学習者が学習の主導権を握り、主体的に学ぶことを重視する方法です。このアプローチの主な特徴は以下の通りです。
学習者の主導権
学習者が学習プロセスに積極的に関与し、自分のペースで学びます。教師は「ファシリテーター」としての役割を果たし、学習者の自律性を支援します。
双方向のコミュニケーション
双方向のコミュニケーションが重視され、ディスカッションやグループワークなどが積極的に取り入れられます。これにより、学習者の理解が深まり、協働的な学習が促進されます。
個別化された学習体験
学習者のニーズや興味に応じた個別化された教材や方法が使用されます。ここでアダプティブ・ラーニングという言葉があります。
「アダプティブ・ラーニング 」は、一人ひとりが持っている個性や能力、適性に合わせてプログラムを進めていく学習方法です。 個人に合わせて学習内容が最適化されていくことで、より深い学びを得ることが可能となります。 このアダプティブラーニングは、文部科学省も強く推奨している学習方法でもあります。
多様な評価方法
これを暗記していたら合格とかテストなどの画一的な評価項目ではなく、多様な評価方法を採用します。学習者ひとりひとりのゴールテープが違い、それぞれがどうしたらゴールしたのかが自分でも計測できるような状態。また、ゴールがまだ遠ければ、適切なフィードバックやフォローアップをしていきます。
3. 教師中心と学習者中心の比較
両アプローチにはそれぞれ利点と欠点があります。
効率性:教師中心のアプローチは、一度に多くの情報を効率的に伝えることができます。大人数の授業や基礎知識や情報の伝達に適しています。しかし、学習者の理解度や興味を個別に考慮することが難しいため、学習者の主体的な学びを促すには限界があります。
柔軟性:学習者中心のアプローチは、学習者のニーズや興味に応じた柔軟な教育が可能です。個別化された学習体験を提供することで、学習者のモチベーションを高め、深い理解を促進します。しかし、個別対応に時間とリソースが必要なため、少人数のグループやオンライン教育などに向いているように思います。
エンゲージメント:学習者中心のアプローチは、双方向のコミュニケーションとインタラクティブな学習活動を通じて、学習者のエンゲージメントが高まります。
まとめ
教育の効果を最大化するためには、教師中心のアプローチと学習者中心のアプローチのバランスを取ることが重要だと思います。
授業の目的や学習者の特性に応じて、これらのアプローチを適切に組み合わせることで、効果的な学習体験を提供することができますね!
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