講座作家 寒川井誠

講座作家 寒川井誠

最近の記事

学習者の自己調整スキルの発達

学習者の自己調整スキルの発達とは、学習者が自分の学習過程を計画し、実行し、評価する能力のことです。 このスキルの発達は、学習者が主体的に学び、自己改善を図るために不可欠です。  1.学習者が自分の学習目標を設定  2.それを達成するための計画を立る  3.その計画に従って行動する  4.最終的にその結果を評価する  5.次の学習に活かす能力 「自ら育つ力を持っている」をどうサポートするかが、講師というかラーニングファシリテーターとしての腕の見せどころです。 =

    • 内発的動機づけと学習への愛の発達

      学習者中心の教育は、この二つを育むことに大きな価値を置いています。 内発的動機づけとは、学習者自身が興味や好奇心から学びたいと感じる状態を指します。例えば、子供が新しい遊び方を自ら見つけたり、大人が趣味の本を熱心に読むことが内発的動機づけの一例です。これは、外部からの報酬や評価による動機づけよりも強力で持続的な学習を促します。 教育者として、私たちはどのようにして学習者の内発的動機づけを引き出し、学習への愛を育てることができるのでしょうか? まず、学習者の興味や関心を引き出す

      • 受講生が主役の学ぶスタイル

        難しい言葉を使うと「学習者中心の教育パラダイム」などと表現されますが、講師が主役なのか、受講生が主役なのか、どちらに主軸を置くかでカリキュラムや教え方が変わりますというお話です。 教育のアプローチは時代とともに進化してきました。 従来の講師主役の教え方から、受講生が主役の教え方に移行することが求められています。 この変化は、学習の質を向上させ、学習者の多様なニーズに応えるために非常に重要です。 学校の環境美化の授業を例に、2つのアプローチの例を考えてみます。 ========

        • インストラクショナルデザインにおける動機づけ

          インストラクショナルデザインにおいて、学習者の動機づけは学習成果に大きな影響を与えます。動機づけを高めるための方法を効果的に取り入れることで、学習者のやる気とパフォーマンスを向上させることができます。 ついやる気にさせられた講座や授業はどんなものがありましたか?また、ご自身で提供するときには、どんなことを意識して学習者のやる気を引き出していますか? 今回はそんな動機付けについてです。 1. 動機づけの理論とモデル 動機づけの理論として、自己決定理論(SDT)とARCSモデルが

          評価とフィードバックの役割

          インストラクショナルデザインにおいて、評価とフィードバックは、学習プロセスの中で極めて重要な役割を果たします。 学習者の理解度を確認し、学習の質を向上させるための基本的な手段です。 講座やセミナーで評価とフィードバックがないやりっぱなしで、学習者がゴールまでたどり着いたのかどうかも把握しないで終わってしまうことも良くある話です。 <1. 評価の目的と重要性> 評価の主な目的は、学習者の学習成果を測定し、学習の進捗を確認することです。 教師や学習者自身が現在の理解度を

          評価とフィードバックの役割

          アクティブ・ラーニングを導入する

          アクティブ・ラーニングを導入することは、学習効果を高めるための重要な手法の一つです。 そもそもアクティブ・ラーニングとは何か?からの具体的な手法、導入時の課題と対策などについて書いてみたいと思います。 1. アクティブ・ラーニングとは アクティブ・ラーニングとは、学習者が主体的に学び、知識を深めるための教育手法です。学習者が講義を受け身で聞くのではなく、ディスカッションや問題解決、グループワークなどを通じて積極的に学習に参加します。対話的で主体的に学習に参加することで深

          アクティブ・ラーニングを導入する

          学習者中心のアプローチ

          教育を設計していくときに、教える側と学ぶ側のどちらを主軸とするかで、設計方法が変わります。 学ぶ側を主軸として設計する学習者中心のアプローチ。教える側に主軸がある教師中心のアプローチ。 学習者中心のアプローチと教師中心のアプローチの違い 「学習者中心のアプローチ」と「教師中心のアプローチ」。これらのアプローチは、教育の目的や学習環境に応じて使い分けられます。片方が悪というわけではありません。 それぞれの特徴と利点を理解することが重要です。 1. 教師中心のアプローチ

          学習者中心のアプローチ

          インストラクショナルデザインとは

          どうやって講座を作ったらいいの?とよく相談をもらいます。対面講座に忌避感が低くなった最近では、オンラインスクールの作り方より増えてきた感じ。 大きく分けると、 ・自分の強みを活かしたテーマは何? という相談と、 ・テーマはあるんだけど、どう作るの? という相談に分けられます。 どう作るの?に対しては、 インストラクショナルデザインを元に 設計の仕方をステップバイステップでレクチャーしています。 <インストラクショナルデザインとは?> インストラクショナルデザイン(I

          インストラクショナルデザインとは

          eラーニングと対面研修を組み合わせたハイブリッド型学習

          テレビの視聴方法は一昔前と比べるとかなり変わりましたよね。 番組表を確認して、その時間になったらテレビの前で番組をみる以外の方法がとれるようになりました。 録画した番組を後から自分の好きな時間に見たり、それを倍速にして見たり。NetflixやAmazonプライムビデオなど、見たい番組をクリック1つで再生したり。テレビではなくスマホで視聴できたり。自由さが増しました。 でも、だからといって、テレビの前に座って時間になったら番組をみるのが無くなったかというとそうではないです。

          eラーニングと対面研修を組み合わせたハイブリッド型学習

          ⚪︎⚪︎の変容がなければ学んでも身にならない

          自転車のヘルメット装着が努力義務になりましたね。 でも蒲田駅調べ(東京都で自転車乗り入れ最多)での実態を調べたところ、 着用率は3.7%だったそうです。 こうした「必要と思われること」と「行われている実態」のギャップは 講座でも起きえることです。 ヘルメットの被り方はわかっている 手に入れる方法もわかっている(何なら家にすでにある) 努力義務が4月から始まったこともわかっている 知識もスキルもある。 でもやらない。 では何が必要でしょう? ここに必要なのは「知識」で

          ⚪︎⚪︎の変容がなければ学んでも身にならない

          「できない」から「できる」になるまで

          最近の趣味はアラブの打楽器のひとつ「ダラブッカ」を練習することです。 スマホでオンラインスクールを見ながらコツコツ練習をして、日曜日に同じ趣味をもつ人たちで集まってビーチで一緒に叩いたりしています。 さて、こうした「筋肉を使って体を動かす」「コントロールする力を習得する」は運動技能の学習と呼びます。 「わかる」のと「できる」のは違います。知識の学習と運動技能の学習ではやること、アプローチが変わります。実際にやってみる必要が出てきます。 この運動技能の学習は何がゴールになる

          「できない」から「できる」になるまで

          学び方の状況を認知する「メタ認知」を取り入れる

          “自己観察は自己進化の初めのステップである“(ゲオルギイ・グルジエフ) まるで幽体離脱のように、 空から自分をみるように、 カメラを通して自分を見るように、 自分を第三者視点から見てみることは、 自己成長と進化への第一歩となります。 学校で授業を受けていたとき、ある科目は「先生がひたすら教科書に載っている文章を黒板に書き続け、それを必死にノートに書き写し続ける」という授業がありました。 これが僕には苦手で、この文章の中からテストが出題されるのですが、理解を深めることができ

          学び方の状況を認知する「メタ認知」を取り入れる

          どんな講座でも最適な流れにできる「コンテナ」という概念

          例えば​120分の講座をつくろう!と思ったとき、どのように組み立てを考えていきますか? 「コンテナ」という概念を持ちたいです。 これはあらゆる講座で最適な流れを作るためのツールとして活用できます。 一般的に120分の講座を考えるとき、一番最初に頭に浮かぶのは「どのように120分を埋めるか」かもしれません。 ですが、 それはテーマごとに新たな内容を一から作り出すという膨大な労力を必要とします。 そこで提案するのが「コンテナ」の概念です。 「コンテナ」の考え方は、 私が高

          どんな講座でも最適な流れにできる「コンテナ」という概念

          学び方のコツを学ぶ(認知的方略)

          バラって漢字で書くことできますか? 難しい漢字の代表例的な立場の文字でもありますよね。 ぼくは漢字検定の試験官をやっていたくせに あまり漢字が得意ではないのですが、 バラは書けるんです。 10年以上前に受講した マインドマップの講座の中で バラの漢字の覚え方のコツを教えてもらう機会がありました。 これは文字にストーリーをつけるというもの。 薔薇 「バラはやっぱり草ですね。土の中に人が2人回ってます」 「薔薇のラも草ですね。その下には微妙の微と、微妙に違う。山の下に一を忘

          学び方のコツを学ぶ(認知的方略)

          問題をシンプル化できればカリキュラムができる

          ドラクエで竜王を倒して平和を取り戻す! そんな問題解決を掲げたとき、 ゴールが遠いです。 そんなときは問題を分解して これ以上ないくらいシンプルな状態にします。 例えば、 ・レベルを上げる(20以上目安) ・虹のしずく(魔王城に渡る橋をかける) ・装備を整える(ロト装備を目指す) まだまだシンプルではなく分解できますね。 虹の雫を手に入れるには、 ・雨雲の杖を手に入れる ・太陽の石を手に入れる ・ロトの印を手に入れる 雨雲の杖を手に入れるには、 ・銀の竪琴を手に入れ

          問題をシンプル化できればカリキュラムができる

          レッスン内での発言に5つの意図をもつ

          昨日は学習成果には5つのタイプがあることを書きました。 ・暗記するよ(言語情報) ・覚えた公式で問題解くよ(知的技能) ・それを選ぶよ、または、避けようとする価値観(態度) ・学びの自分なりのコツ、学びのプロセスの振り返り(認知的方略) ・実際にやってみよう(運動技能) それぞれのゴールテープを意識することが大事と。 実際に講座をするときには15分くらいのミニレッスンを組み合わせていきます。15分の中で何を意図して話すのでしょうか。 例として1つ書いてみます。 ▼ここから

          レッスン内での発言に5つの意図をもつ