雨ときどき、ノコギリクワガタ。
ある6月のいちにち。例年より遅めの梅雨入り宣言のあと、初めて大雨の日だった。早朝から緩急をつけながら降り続いている。「雨の日」への心持ちは、年齢や気分で左右されてきたように思う。
まだ自分が小学生だったころは、雨の日にも外でランニングしていたものだ。雨が汗を流し、汗が雨になる。全身で水分補給しているような、そんな気分だった。雨が降ったら水面に現れるアメンボのように。私の足をいつもよりスイスイと前に進ませるのであった。
だけど、無邪気さを脱皮し、大人になっていく過程のどこか