ジェンダーの話で腑に落ちたこと
毎度話題しているボランティア団体で、先日ジェンダー問題に特化した研修があって受講した。
ジェンダー論というのを大学の時に学んでいて、触り程度だけど『性差別しない』という認識を持っていた。今もそれは変わらないし、大多数の人がそんなイメージを持ってるんだろう、と思っている。
大学卒業から10年以上経ち、社会でもジェンダーという言葉が認識されるようになってきて、ずっと気になっていることがあった。それは、『女性であることを足枷と思わない人』のことだった。足枷というのは語弊があるけれど、現実に女性であるということが様々な障害になったり、格差に繋がることが多いと思う。よく聞く、家事分担の話がそれだ。(女性が家事をすべきという風潮または論理の話)
働く女性の中には、『そこそこお金が貰えればいい』という働き方をしている人がいると思う。それはその人の人生だし、結婚や子どもによって働くことをセーブされることが不快でない人、幸せな人もいる。私だって、労働という意味なら結婚したら働きたくない派だし。(喪女なので相手はおりませぬ)でも、この『結婚や子どもによって働くことが
セーブされる』というのが、既に性差別だってことを認識していない女性、結構いる。『子供の世話を旦那に任せると不安』『男の人は面倒を見てあげなければならない』そう言う女性をたくさん見てきたし、もしかしたらこれを読んでくれている女性にも、そう考えている人がいると思う。
私はこれがとにかく気になっていた。給料が安いと文句を言い、賃金の割に仕事が多いと文句を言うのに、何故男性と平等にしようという話と逆のことを受け入れているんだろうか、と。一部の女性が声高に、『私達はもっと働ける』と言っていても、一方で家事育児は女性の仕事という固定観念を持っている人に対抗するつもりがないというのが、なんだか矛盾していてもやもやした。(もちろん、働ける人と家事育児を頑張っている人が同じとは限らないし、同じだけ頑張っている人がいることもわかっている上での話)
そんな中、研修で、『この職業は男性?女性?』という問いかけに答えるというアクティビティをやった。30人くらいの女性だったけれど、たとえば『大工』と聞いたら男性だな、と思う人が9割、『保育士』と聞いたら女性だな、と思う人が9割いた。それから、その研修の中で、『子どものうちから女の子が料理をすると思っている女の子が8割いる』『女の子は4年制大学に進学しなくていいと思っている親が3割はいる』なども知った。
なるほど、価値観や固定観念が刷り込まれているから、みんな矛盾を感じないのか、と腑に落ちた。
ちなみに我が家は、母は専業主婦だったし父は出張の多い仕事だったので、母が家事育児をこなしていた一般家庭だ。でも私はずっと、どうして女の子だからって家事をするのか?と疑問に思っていたクチだ。(意識高いのではなく、単純に家事が嫌いなだけ)姉は結婚して子どももいるが、当たり前に家事育児をしているし、春から職場復帰も目指している。それが普通だ、という価値観が形成されているから、働くことと家事育児が両立出来る女性、という新しい固定観念が生まれつつあるんだろう。
ところでこの話、日本だけではない。よく、『先進国でも日本は遅れてる』『まだまだ男女差別がある』と言うが、イギリスでもアメリカでも似たようなもんだそうで。差別的発想は、環境で構築される価値観で形成される訳ですが、性差別って思うより根深いのね、というのが感想だった。
よく男女差別の話をすると、『映画館のレディースデーがずるい』とか『女性専用車両撤廃しろ』とかの話になってしまうんだけど、これって多分、一部の女性と同じで、一部の男性が、性差別を受けていると感じている結果なんだろうなぁ。男性の中には働きたくない人や家事育児をしたい人もいるわけで、そこにはいわゆる性同一性障害はないんだろう。人が昔から持っている『女性像』と『男性像』を根絶しない限り、それぞれが感じる性差別の感覚は、相容れないままなんだろうなぁ。
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