さよポニの話「ベストアルバム『ROM』Disc3」
こんにちは。少々間が空いてしまいましたが今回はベストアルバム「ROM」のラストを飾るDisc3の各曲レビューっぽいなにか,やっていきます。年内に投稿できてるといいなあ…。なんて思っていたらあっさり年が明けていました。年末年始はいろいろあるから致し方なし。これにてさよポニ投稿集中月間も一区切りです。この先は私の独断と偏見が以下略。
お気に入りの1枚
3枚組のベストアルバム「ROM」の中で一番好きな1枚です。マウマウ・メグ・クロネコ3人の曲で構成されていて普段のアルバムっぽく感じられるということと何より個人的な推しのメグ曲が入っているのが主たる要因かなと。ふっくん・324Pといったエースを欠いていますがキャッチーなメロディで人気曲を送り出してきたマウマウ,最近のアルバムでは手掛ける曲が増えてきた成長株メグ,さよポニの黒幕クロネコ,と寡作ながらも個性あふれる各メンバーの曲が詰まった魅力あふれる1枚に仕上がっています。
M1 ヘイ!!☆にゃん♡
「青春ファンタジア」収録のマウマウのキュートな代表曲。宇宙人との邂逅というシュールなテーマをキャッチーなメロディで包んだポップな1曲となっております。MVはこちら。
MVも水中・猫耳・競泳水着・制服と属性モリモリに仕上がっています。こういったことを恥ずかしげもなくもあっさりとやってしまうのはなんともさよポニらしいなと思います。
M2 放課後てれぽ~と
「夢見る惑星」収録。さよポニには「放課後黄昏交差点」や「放課後れっすん」といった放課後シリーズともいえる曲たちがあるのですがその中で唯一のベストアルバム収録曲です。放課後シリーズはどれもさよポニの中ではキュートさに振った曲が多いのですがこの「放課後てれぽ~と」もその例にもれずキュートな仕上がりとなっています。こちらもMVがあります。
こちらは360°MVというギミック。ぐりぐり回してみると色んな発見もあり楽しめる仕様となっています。まさにさよポニワールドの「放課後」にテレポートしたような気分になります。
M3 ダンスフロアとかぼちゃのおばけ
「円盤ゆ~とぴあ」Disc2収録。さよポニ・カレンダーの中の10月,ハロウィンがテーマのゆゆ・しゅかがメインの踊れるアイドルチックな曲です。季節ものの曲の中でも特に人気の高い曲でベストに入るのも納得なファンも多いと思います。
MVは2代目神さまちぃたんのイラストを使ったこれまた曲とマッチしたキュートなMV。
クルクル回る光 ユラユラゆれる街並み
オレンジの顔と今 目が合った 目が合った
パタパタ走る音 ゆらゆら湯気に揺れる
キラキラと街の灯が ゆっくりと灯る
といった繰り返しの擬音を多用した歌詞もリズム感と親しみやすさを感じさせるな,と思います。
M4 雨はビー玉のように
ミニアルバム「なんだかキミが恋しくて」収録曲。個人的にはこのDisc3最大の聴きどころです。これまでフルアルバムメインで収集してきたのでミニアルバムのみに収録されており,その上公式の音源もネットになかったため,この曲は完全にノーマークだったので衝撃が大きかったんです。
ホントはちょっと悲しくても 頼りたくはないんだ
君を守るただ一人 ヒーローであり続けたいんだ
というあゆみんメインのハイトーンのサビがとても心地よい曲です。私はあゆみん推しなのでそこがポイント高いです。また,この歌詞もDisc1収録「あの頃」の「きみが願うことのすべてを叶えてあげたいんだ」という部分に通じている気がして感慨深く感じています。Disc3の聴きどころといったらこの後の「テン」と「わ~るど(みたいな)」のつなぎを挙げるファンも多いことでしょうが私はこの曲を推します。
M5 円盤ゆ~とぴあ
「夢見る惑星」のラストを飾る曲。こちらもアイドル仕立てのポップな曲となっています。ですが一方で歌詞はCD=円盤という文化の隆盛に別れを告げるようなある意味ディストピアとも呼べる世界観を創り出しています。MVにも浜に打ち上げられたCDの山が描かれておりCDを必要としなくなったポップス,ひいては音楽を象徴しています。
さよポニは「ポップス」を強く意識した曲作りをしていてその中には過去の名曲のオマージュもされていますが,カセットやレコード,短冊シングルといった収録メディアの選択までこだわっています。そんな彼らがCDというメディアの栄華と衰退を描くというのも彼らが自らに課したタスクだったのかな,って思ったりします。
M6 すーぱーすたー
ここからはメグのターンです。「円盤ゆ~とぴあ」のリード曲で,ここからメグのアルバム収録曲が増えていくターニングポイント的な曲です。この曲もそうですがメグは(おそらく)作曲陣唯一の女性ということもあってかナチュラルにガーリーな曲を送り出しています。MVはモデルの前田エマ主演のこちら。
個人的には「アイドル」としてのさよポニの最高到達点なんじゃないかと思います。これ以降は概念化というかより抽象化したポップスに向かっていくので。でも「アイドル」も語源というか概念的には「偶像」だったりするんだよな,であるなら様々なポップスを吸収してきたさよポニがその段階を踏むのは当然か,なんて思ったり。
M7 フローティング・シティ
「夢見る惑星」収録曲。あゆみんメインボーカルのメグ曲という自分が一番好きなものの組み合わせです。この曲から「あれ,メグ曲好きかも」と気づき始めました。この次のアルバムの「きみのたからもの」でそれが確信となるのですがそれはまた別の話。この曲はアルバムのトレーラーで一部が聴けるので気になった方はぜひフルで聴いていただきたい。
あゆみんのハイトーンのボーカル+メグのガーリーな歌詞+テクノっぽいエレクトリックなアレンジとこれまでのさよポニにはなかった曲となっています。どことなくperfumeっぽいかも?なんて思ったりしています。perfumeとかサカナクションとかエレクトリック系のアーティストが好きなのでさよポニからこういった系統にも手を出てきたのはすごく嬉しかったです。
M8 夜間飛行
最新アルバム「来るべき世界」の4曲目。このアルバムは全12曲中4曲がメグ曲となっておりメグの成長株っぷりが存分に表れています。ファンタジーな世界観とサビが心地いい「ラプンとツェル」,これから紹介する「夜間飛行」,さよポニらしい歌詞が颯爽と駆け抜ける「愛のひらめき」,しゅかの大人っぽいボーカルが光るさよポニ史上最もメロウな「あの星」とどれがベストに入ってもおかしくない程クオリティも高いです。
その中で「夜間飛行」はみぃなの大人っぽいボーカルと少しけだるさを含んだメロディーが特徴のこれまたこれまでのさよポニになかった系統の曲に仕上がっています。言い換えると私のドツボにハマった曲です。歌詞も比較的意味よりも語感とか耳障りを優先している感じでムードが出ていて好きです。
M9 ななめライン急行
「円盤ゆ~とぴあ」Disc1収録曲。元々はホナガヨウコ企画の舞台のために書き下ろされた曲になります。
舞台のテーマに合わせて電車に関連するキーワードを散りばめた歌詞にポップなメロディーとさよポニらしい一曲。初めて聞いた時のイメージは夕焼けの駅のホームだったのですが「フローティング・シティ」→「夜間飛行」の流れで聴くと銀河鉄道のイメージで聴いていて「あぁアルバムの曲順って大事なんだなあ」と思った次第。
M10 テン
Disc3の新曲枠。10周年に合わせて制作された「パーリィーパーリィー☆」な曲になります。ここから3曲はこちらのジングルのようなセリフ部分も多用したこれまでの曲とは違った構成になっています。
メロディー感も控えめでどちらかというとポエトリーリーディング一歩手前の会話感が特徴の曲です。
あの日から聴こえてるハーモニー きみにもきっと届けるよファンタジア
思い出がカナしくなる前に あの星にきみの名をつけてしまおう
といった具合にこれまでのさよポニの曲名やキーワードを散りばめたセルフオマージュも含まれていて10周年曲らしい1曲です。そしてみぃなの「点と点,繋がった?いくよ!」の掛け声とともにわ~るど連作につながります。ここ聴きどころ。メグいわく「明確にファンに向けて作った曲」ということもあり、セリフあり・コールアンドレスポンスありと普段決してライブを行わないさよポニのライブ感あふれるパーリィーな曲です。「パーリィーパーリィー☆」が癖になってしばらく頭の中をループしてしまったのはまた別の話。
M11 わ~るど(みたいな)
ここからはさよポニの黒幕クロネコのターン。クロネコは「アルバムのバランスを考えて足りない曲を作ることが多い」ということもあり曲調に最も統一感のないメンバーとなっています。しれっととんでもない事言っていますよね。でも用語集曰くそうなんです。そしてこの「わ~るど(みたいな)」はクロネコ製作の「新世界交響曲」のカップリング曲として収録された初代問題作。なぜ問題作かというと聴けばわかる。ほとんど繰り返しのないメロディー,セリフ多めメタ多めの構成,濃厚なさよポニワールド的な歌詞,とさよポニを濃縮したような1曲。こういった曲をかけるのはトータルプロデュース(という名の黒幕)をしているクロネコだからこそなのかなと思ったり。そういえばこの曲せいで「空飛ぶ子熊,巡礼ス」も最初クロネコの仕業だと思ってた。
M12 わ~るど2
ベストアルバムのラストを飾る「夢見る惑星」収録曲。前の「わ~るど(みたいな)」の続編的な曲です。これもセリフ多めメタ多めの構成,これまでのさよポニの曲名やキーワードを散りばめたセルフオマージュも含れています。そして
きみと最後に想定外のE難度で
CとDとの続きが見たいから…
という歌詞はCD=円盤の理想郷の次の音楽の形についても触れていて「円盤ゆ~とぴあ」とのつながりを感じさせます。これまでの3曲は音楽・魔法・ループといったさよポニの世界観を総括するような構成になっています。そしてDisc1の最初の曲「新世界交響曲」につながるという演出がニクいなあと思ったり。
さよポニ次の10年は
さよポニのベストアルバム「ROM」これにて一通り書き尽くしました。書いてみて10年間の総まとめにふさわしい豪華なアルバムだなあと改めて思いました。書ききれなかったところやまだ考えたりないところがありますが。それでも純粋に音楽としても楽しめるのがすごいところ。10年間で目まぐるしい進化をした、この音楽・ポップスに対して狂おしいほど真摯でつかみどころないユニットの次の10年はどうなるのか楽しみです。そしてその航路は私たちに一体何を示すのか,か、か、か
以上,お納めください。