見出し画像

学生フォーミュラを知ろう!#5 (設計期編)

 今回からは前回の「スケジュール編」で分けたステップをもう少し細かく掘り下げていきたいと思います。最初は大会が終わった直後から,次のマシンの製作に移る前までの設計期になります。このタイミングは新チームが発足するので,やることが多いです。

新チーム発足

 9月の大会が終わると,最上級生は引退となり新チームが発足します。だいたいのチームはチームリーダーとその下にパワートレイン,シャシーの部門リーダーが付きます。場合によってはマネジメントなどの部門もあるチームもあります。新チームはこういった幹部たち交代,そして各パーツ担当も交代ないし新入生が入ってきたりして来年に向けた体制が決まります。また,大会のドライバーもチームの学生が担当しなければならないので,その交代もあります。

スポンサー報告

 新チームが発足すると,大会の結果と今年度の体制をスポンサーに報告します。だいたいの場合はメールニュースを発行しますが,お世話になっていたり,近い会社には直接出向いてあいさつすることもあります。自分も当時HONDAのバイクのエンジンをチームで使っていたので,ホンダ本社に行って報告したこともありました。

設計方針決め

 今年のマシンに向けて,前年の反省点や効果的だった開発などを持ち寄って開発方針を決めていきます。大方は新チームの各リーダーや前年度のリーダーたちがある程度決め,それをベースに議論して今年のマシンのコンセプトを決めていきます。また,レギュレーションと呼ばれるマシンの規定(マシンサイズやエンジン排気量,安全のための要件など)が変わるのでその読み合わせをして,対応が必要なところはそれも込みで議論します。ちなみにこのレギュレーションは英語表記のため,翻訳から始まります。

テスト走行

 大会が終わってもテスト走行をして前年度マシンで開発をしていきます。大会には間に合わなかったパーツを入れたり,開発方針に沿ったパーツを作って今年度のマシンに載せるかを決めたり,といった作業をしていきます。また,今年度製作するマシンとの比較用のデータをとっておくということも重要です。何せ,エンジンなどのように次のマシンで使いまわすパーツが多くあるので,同時に比較ができないのです。
 この時期には新ドライバーの練習や,ドライバーではないけど乗ってみたいメンバーの試乗会などもあります。万が一大会前に壊すと大変なので,こうしたことは大会後に催してました。

各パーツの設計

 テスト走行と並行して,各パーツの設計を進めます。足回りのジオメトリやエンジン,ドライバーの配置を満足するフレームが決まっていき,そこからつながる各パーツの設計が進んでいきます。CADでパーツを各自作ってそれを集めてまずはCAD上で1台のマシンを作っていく感じですね。隣り合うパーツはいろいろ相談しながら修正していきます。「燃料タンクと排気系はもうちょっと離そう」,とか「ここにホースが通せない」などなど。当然,部品によっては解析ソフトで強度や剛性,流体の流れなどを確認して設計をしていきます。

 こうして各パーツの設計が終わったら,次はいよいよ製作に移ります。次回は製作編。最も大変で,最も楽しい期間です。では,次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?