学生フォーミュラを知ろう! #1(静的審査編)
※8/24追記:デザインファイナルの動画を見つけたので追加しました。
今日は昨日に引き続き学生フォーミュラの話を。全何回になるか見通しついていないですが,「学生フォーミュラ(以下学F)を知ろう!」ということで学Fをいくつかのテーマに絞って紹介していきたいと思います。今回は審査編その①ということで,実際に大会ではどういう種目で各大学がしのぎを削っているのか,という紹介です。
大会で競われる種目は大まかに「静的審査」と「動的審査」のふたつに分かれます。静的審査はマシンを走らせずに競う競技――つまり設計や製作コストの妥当性やビジネスとしての魅力を競うものとなっています。単純に言えば書類審査です。一方の動的審査は実際にマシンを走らせてタイムや効率を競うものです。これらの審査にそれぞれポイントが割り振られており,合計1000ptとなっています。このポイントで総合優勝を競います。
今回は静的審査の紹介です。静的審査のうちコストとデザインは本番9月の前,6月に書類を提出し事前審査が行われ,大会本番で質疑応答がありそれを総合して最終的にポイントが決まります。
コスト(100pt)
コストは読んで字のごとく,マシン制作にかかる費用のことです。ただ,実際に作るのにかかった費用でなく,提供されたテーブルに従って算出する必要があります。そのテーブルには「鉄は重さ辺り〇〇ドル」,「溶接は〇〇mmあたり〇〇ドル」といった具合に材料費や加工費が定められており,それに従ってコストを算出します。安ければポイントは上がりますが,それだけではなくそのコスト計算の妥当性・正確性も問われます。用意する資料は大変なもので,A4ファイルで15cmほどの高さになったこともありました。
デザイン(150pt)
デザインは一般的に使われる意味ではなく「設計」という意味になります。大雑把にいうとこのマシンをどういうコンセプトで,どういう設計をしたのかということを資料にまとめます。審査される項目は設計の適切さや革新性は当然のとして,制作性や整備性なども問われます。大会での質疑応答では,実際に審査員にマシンを見てもらいながら質疑応答となります。そのため,予期せぬ質問が飛んでくることも……。質疑応答後,優秀なチームが2, 3チーム選出され他チームや観客の前で設計の紹介をするデザインファイナルという最終審査の場もあります。
プレゼンテーション(75pt)
プレゼンテーションは「設計したマシンを製造会社に作ってもらう」という設定で,マシンをプレゼンテーションしその技術を競います。作ったマシンをどう売って収益を確保するか,というビジネスモデルも問われます。また,単価設定にはコストが,マシンという商品のアピールポイントはデザインが関わってくるので総合力も問われる種目となっています。
この3つが静的審査の項目です。静的審査は地味ではありますが,総合優勝を目指す上では落とせない項目です。各審査の上位と静的審査の最高得点は表彰もあったりします。「技術者を育てる」というこの大会の目的が色濃く出ているな,と思います。
ということで今回はここまで。
次回は動的審査編。お楽しみに。